辺境伯領でのお茶会2
やがて、話題は精霊祝祭のことへと移っていった。
カナは静かに息を吸い、エフィに視線を向ける。
「エフィさんには……本当にお世話になったんです」
言葉を選ぶように、ゆっくりと続けた。
「あの時の私は、不安に押しつぶされそうで……。
けれど、エフィさんが支えてくださったおかげで、前を向くことができました。
まさか、こうしてまた出会えるなんて……思ってもみませんでした。
エフィさんには、本当に、感謝してもしきれません」
カナの心からの言葉に、エスティーヌは微笑みながら、エフィへと視線を送る。
「そうでしたか……。
それにしても、エフィ。
あなたの行動は……本当に迅速だったわね」
少しだけ懐かしむように目を細める。
「既にすべての根回しを済ませた後で、カナ様のお側に行きたいと……。
お父様も、それはそれは驚いておいでだったのよ?」
そして、言葉を一度区切り――柔らかく続けた。
「ふふふ。本当に、今のあなたは……」
母の眼差しは、娘の今をまっすぐに映している。
「とても良い表情をしているわ。
充実しているのね、エフィ。
見てすぐにわかったわ」
その言葉に、エフィは静かに微笑んだ。
迷いのない、澄んだ笑みだった。
「お母様……お父様も……」
胸に手を添え、丁寧に言葉を紡ぐ。
「あの時は、私のわがままを聞いてくださって、本当にありがとうございました。
ーーはい。私は……」
エフィは、そっとカナを見ると、真心を込めて言葉を紡ぐ。
「私は、私の“光”の傍にいることができて……今、本当に、幸せなのです」
その瞬間。
カナの頬が、みるみるうちに朱に染まった。
「あ、あの……え、エフィ、さん……
私の方こそ、あ、ありがとうございます……」
その様子に、エスティーヌは微笑み、イリシャとリゼアは顔を見合わせて小さく笑った。
エフィもまた、優しく目を細める。
花咲く辺境伯領の午後は、こうして静かに、優しい時間を刻んでいた。
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