表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

485/557

辺境伯領へ3

途中、三人は馬車を降り、さわやかな風が吹き抜ける、湖のほとりへと足を向けた。

陽光を受けてきらめく湖面は、空の青さをそのまま映したように澄み渡っている。

木々の葉はさらさらと揺れ、鳥の声が遠くでさえずっている。


簡易の敷物が広げられると、エフィが手際よく食事の用意を始めた。

温かな香りが漂うと、カナは思わず顔を綻ばせる。


「この先の森を抜けると、辺境伯領に入ります。

夕方には到着できるかと思いますわ」


給仕をしながらエフィが告げる。


「そうなんですね!」


カナは、思わず湖の向こうを見やって頷いた後、ふと思い出したようにエフィを見る。


「エフィさん、辺境伯領って……とってもきれいなところだって仰ってましたよね? 

どんな感じなんですか?」


エフィは穏やかに微笑む。

湖面の光がその瞳に柔らかく滲む。


「それは――見てからのお楽しみにいたしましょう。

言葉よりも、実際に目にした方がずっと素晴らしいですから」


その横で、レイナルトが軽く笑みを浮かべる。


「俺も、この季節に辺境伯領へ行くのは初めてだからな。楽しみではある」


「え、そうなんですね!」


カナの瞳が輝く。


「どんな感じなのか……わくわくしますね!」


湖面を渡る風が、三人の髪をそっと揺らした。





夕刻。

長い森道を抜け、馬車が緩やかに速度を落としていく。

木々が途切れ、視界がひらけたその瞬間――カナは思わず息を呑んだ。


そこには、黄金の光を浴びて輝く広大な花原があった。

白、桃、薄紫、そして黄金――色とりどりの野花が、ゆるやかな丘一面に咲き誇り、夕陽の光を受けて淡く輝いている。

風が吹くと、花々が波のように揺れ、甘い香りが馬車へと流れ込んできた。


だが、カナの目を奪ったのは、それだけではなかった。


淡い桜色の花をつけた大樹。

黄金の小花が無数に咲き、風が吹くたびに光の粒のように揺れる木。

白い花房をいくつも垂らし、甘い香りを漂わせる木。


木々の間を抜ける風が、花びらをひらひらと舞わせ、道に淡い花の絨毯を敷いていく。


「……すごい……きれい……」


レイナルトはその横顔を見て、微笑む。


「この季節の辺境伯領は、特に美しいと聞いていたが……確かに評判以上だな」


花の海の向こうに、白亜の城館が静かに佇んでいた。

咲き誇る木々に彩られ、夕陽の金色を受けて輝く。


やがて馬車が城館の前へと到着すると、重厚な門が開かれる。

護衛たちが整列し、敬礼する中、ひときわ堂々とした人物が姿を現した。

本日、18:00にも更新します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ