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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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ヴェルデン王宮-夜のサロン4-

ミリアは、俯いた視線の先でそっと手を握りしめた。

しばしの沈黙ののち、意を決したように顔を上げる。


「我が家は海運も営んでおりますので……東方の情勢が、比較的早く届くのです」


その声には緊張が宿っていた。

レイナルトは静かに続きを促す。


「……東のイリアム帝国が、最近……怪しい動きを見せている、と」


イリアム帝国――奴隷制度を未だに残す、好戦的な大国。


「他国から、大量の武器を輸入している、という噂があるのです。

もちろん、確証はありません。

ですが……父は『静観するには不穏すぎる』と……」


かすかな震えを伴う告白に、セオが黙ってミリアに手を重ねた。


「……それは、確かに看過できる話ではないな……」


レイナルトの低い声に、窓の外の夜風が窓を鳴らした。





ミリアは小さく頷くと、言葉を紡いだ。


「……はい。それと……。

父が言うには、新しく任じられたイリアム帝国の枢機卿が、何かしら関与しているようだ、と……」


「新しく任じられた? おかしいな……。

まだお元気だったはずなのだが、何かあったのか?」


ミリアの言葉に、ユリアンが声を上げる。

レイナルトは顎に手を当て、深く思案の色を浮かべた。


「……ふむ。ミリア嬢。貴重な情報を感謝する。

確かに妙な動きだ。

これは、探る必要があるな……」


レイナルトは顔を上げると、傍らに控えていたエフィに視線を向けた。


「エフィ。何か異変を聞いてはいないか?」


エフィは静かに首を横に振った。


「……今のところ、国境あたりで特別な変化は見られておりません」


「そうか……。とはいえ、情報が情報だ。

監視は強めておいた方が良いかもしれないな」


「承知いたしました。すぐにでも伝達します」


沈んだ空気の中、セオが静かに頷いた。


「……そうだね。

僕もその方がいいと思うよ」


ユリアンもまた、眉を寄せる。


「私も賛成です。

早い段階で動いた方が良いでしょう」


何かが、密やかに蠢き始めていた――。

本日18:00にも更新します!

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