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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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ヴェルデン王宮-夜のサロン3-

レイナルトは深く息を吐くようにしてソファーの背に身を預けた。

柔らかな沈黙が落ちる。


「さて……ここからは、レオニス殿下とリュシエル殿下の話になるが──」


低く落ち着いた声に、場の空気が再びすっと引き締まった。


「お二人が学院に来られるのは……新学期が始まってから一か月後を目途にしたい」


その言葉に、一同が息を呑む。


「一か月後!? ずいぶん早いね、兄さん」


目を丸くしたセオが、思わず声を上げる。

レイナルトはゆっくりと頷いた。


「学院の新学期と、横断交流に関することで二週間。

さらに落ち着くまでに二週間は必要だろう。

ゆえに、一か月後あたりが妥当と判断した」


そして言葉を区切ると、続ける。


「恐らく──お二人は既に、行きたい学科を決めておられるだろう。

だが、横断交流を経てから正式な所属科を決める形にしたい。

……カナ。お二人へ、その旨を伝えておいてほしい」


「はい。わかりました」


カナは頷く。


「では、俺の話はこのくらいにしよう」


レイナルトは満足げに目を細めると、ゆるやかに上体を起こした。

部屋に再び静寂が落ちる。


「……さて。ここからは──」


彼の視線が、すっとセオとミリアへ向けられた。


「お前たちの話を、聞きたい」


その声に、セオとミリアは背筋を伸ばした。





セオはミリアと頷き合うと、静かに口を開く。


「ノーザリアにおける、北部鉄道事業は順調だよ。

……えっと、確認なんだけど……。

エルハイムとは“王室間の交流”なんだよね?

王国間の貿易ではないとすると……延伸はしなくていい、という理解でいいよね?」


レイナルトは頷いた。


「ああ。検討の結果、“交流”という形に落ち着いた。

その方が、多方面で互いに負担が少ないだろう」


セオはふっと表情を和らげ、笑みを浮かべた。


「わかった。うん、そうだね。

僕もそれが最善だと思うよ。

アルも、ベルトラム卿だけじゃなくて、枢密院にまで話を通してくれたようだし……サラのお父上、ライアスも最前で動いてくれている。

それで、ライアスがノーザリアに戻る前に、伯爵も一緒に、話をしに行くつもりなんだ」


レイナルトは満足げに目を細めた。


「……そうか。かなり順調に進んでいるようで何よりだ。

さすがだな、二人とも」


セオはにこりと頷くと、すっとミリアに視線を向けた。

短い視線のやり取り。ミリアもまた、小さく頷き返す。

レイナルトはそのやり取りを捉え、わずかに眉を寄せた。


「……何かあったか、ミリア嬢」


名を呼ばれたミリアは、ひとつ息を飲むと視線を落とす。


「……はい。

これは……父から聞いた話なのですが……」


彼女は両手を膝の上でそっと握りしめ、俯いたまま、ゆっくりと語り始めた。

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