カナの夢2
加奈は部屋に入ると、そっとドアを閉めた。
深呼吸をひとつしてから、髪飾りとリボンを外して手に取った。
強烈な違和感が胸に押し寄せる。
「買ったんじゃない……貰った?」
――誰に?
思い出そうとすると、突然、頭の奥が締めつけられるような激しい痛みが走った。
無意識にブレスレットに手を触れる。
その瞬間、堰を切ったように涙がこぼれ落ちた。
「あ、あれ……? 私、どうしたんだろう?」
自分でもわからない涙に、加奈は戸惑いを隠せなかった。
そのとき、階下から母の声が聞こえてきた。
「お茶が入ったわよー!」
加奈は慌てて涙を拭い、部屋着に着替えると、ゆっくりと階段を降りていった。
テーブルには、笑顔の母と兄が並んで座っていた。
加奈は兄の隣に並んで座る。
「勉強してると、甘いものが欲しくなるんだよなー。
加奈、気が利くじゃん」
大学生の兄は笑いながら、大きな手で加奈の頭をぽんぽんと優しく撫でた。
その瞬間、加奈は思わず飛び上がった。
「な、何だよ加奈、どうした?」
兄は驚いた表情で問いかける。
「な、なんでもない……」
加奈は動悸を必死に抑えながら、言葉を絞り出した。
この感覚、どこかで……誰かに……?
頭の奥でまた強烈な痛みが走る。
「……っ」
カナは頭を押さえる。
「おい、大丈夫か……?」
心配そうに見つめる兄と母の顔が揺らぐ。
「お前、なんだか変だぞ? 熱でもあるんじゃないか?」
「うん……なんだかちょっと体調が悪いかも。ごめん、寝るね」
そう言って加奈は席を立ち、自室へと戻った。
ベッドに横になり、腕のブレスレットをじっと見つめる。
なぜだか分からないけれど、これだけはどうしても外せなかった。
外してはいけない気がした。
加奈はゆっくり目を閉じる。
――カナ!!
誰かが、遠くから呼ぶ声が聞こえる。
その声は、知っている。
とてもあたたかくて、心にじんわりと染みわたる。
そう、加奈が大好きな、あの人の声……。
その声に包まれながら、ぐっすりと眠りにつくように、
加奈の意識は、静かに深い闇へと沈んでいった。




