第46話: 「輝宗射殺の悲劇!…俺の隻眼、父を撃つぜ!」
「おいおいおい!不動明王みたいに俺の隻眼、もっと強くなるぞ!」天正13年10月8日、米沢城(山形県米沢市)の広間。伊達藤次郎政宗が刀を手にキレ気味に叫んでいた。小手森城(福島県二本松市)を皆殺しにして見せしめを果たした政宗は、収穫祭の準備が進む城内で朝飯を食べていた。刀を腰に差した姿は冷酷さと決意に満ち、家臣たちが遠巻きに「当主の試練だ」と呟き合っていた。
近くで片倉小十郎が汗だくで手をバタバタさせていた。苦労人の顔には疲れがにじんでいる。「殿!秋の朝からそんな大声で叫ばなくても分かりますよ!少し落ち着いてください!」と叫ぶが、政宗はニヤリと笑い、「落ち着く?小十郎、不動明王みたいに俺の隻眼が強くなるんだ!小手森城皆殺しで見せしめ果たしたぜ、次は天下だ!」と言いながら刀の柄に手を置く。小十郎が「うわっ!」と飛び退き、「胃が……皆殺しからまだ落ち着かねえのに……」と呴く。
「殿、小十郎の言う通りよ。小手森城で大変だったんだから、少しは静かにしなさい。私だって応援してるんだから」と、片倉喜多が穏やかな声で諫める。小十郎の姉は、政宗の肩を軽く叩いて落ち着かせようとする。「喜多!応援なら収穫祭見てくれよ!不動明王見た俺の隻眼、次の勢力拡大だぜ!」と政宗が叫ぶと、喜多はクスクス笑い、「殿が元気ならそれで十分よ。愛姫ちゃんも心配してるわ」と言って微笑む。愛姫が静かに現れ、「藤次郎政宗、小手森城の勝利、私も受け入れます。次の未来を慎重に」と微笑む。
その時、広間の奥から義姫がドスドスと足音を立てて現れた。長い髪を結い上げた姿は威圧感たっぷりで、手には扇子を握り潰す勢いで持っている。隣には小次郎がちょこちょこついてくる。「藤次郎!小次郎!朝から騒ぐんじゃない!」と義姫が一喝すると、政宗が刀を手に持つ。「母ちゃん!小次郎!俺、ただ飯食ってるだけだぞ!」
「飯だと!?お前が皆殺しなんて残酷なことして騒いでるって聞いて呆れてきたよ!大名がそんな下賤な真似するなんて、あるまじき行為だ!」と義姫がまくし立てる。「母ちゃん、下賤じゃねえよ!不動明王みたいに俺の隻眼で天下獲るんだ!小手森城で見せしめ成功したぜ!」と政宗が返すが、義姫は扇子を振り上げ、「天下だと!?未熟で血に染まるだけじゃ伊達家の恥だ!でも…勝ったなら認めるよ」と呟く。
輝宗が穏やかに現れ、「義姫、藤次郎が小手森城で勝利したなら、少しはいいだろ。愛姫殿もいるし、収穫祭で家族で祝おう」と言う。その日、畠山義継が宮森城(福島県二本松市)に輝宗を訪ね、所領安堵の礼を述べに来ていた。義継は小手森城の皆殺しを見て降伏を申し入れ、輝宗と伊達実元の斡旋で五ヶ村のみを安堵されていた。義姫が「輝宗、お前が甘やかすからこうなるんだ!だが…見せしめなら、まあ認めるさ」と目を逸らす。政宗が「母ちゃん、父ちゃん、少し認めてくれたなら最高だ!俺の隻眼、愛姫と収穫祭楽しむぜ!」と叫ぶと、義姫が「楽しむだと!?藤次郎、調子に乗るなよ!」と扇子を振り上げる。
その時、家臣が慌てて駆け込んできた。「殿!大変です!畠山義継が父君を拉致しました!」と報告する。政宗が「何!?義継が父ちゃんを!?」と叫ぶと、義姫が「藤次郎!何!?輝宗が拉致だと!?」と目を吊り上げる。輝宗は義継の見送りに出た際、玄関で刀を突きつけられ、馬に乗せられて二本松へ向かっていた。政宗が「小十郎、鷹狩の手勢連れて追うぞ!」と叫ぶ。小十郎が「殿、胃が……鷹狩なのに鉄砲持ってますけど……」と呴くが、政宗は「うるせえ!父ちゃん救うんだ!」と飛び出す。
政宗は鷹狩中だったが、なぜか鉄砲で武装した手勢を連れていた。阿武隈川(福島県二本松市)河畔の高田原で義継に追いつくと、輝宗が馬の鞍壺に押さえ込まれているのが見えた。義姫が「輝宗!何!?」と叫び、愛姫が「藤次郎政宗、輝宗様を…!」と目を伏せる。輝宗が「藤次郎!儂ごと撃て!」と叫ぶと、政宗が「父ちゃん!?」と目を丸くする。義姫が「輝宗!何!?藤次郎、やめなさい!」と叫ぶが、政宗は刀を手に叫ぶ、「父ちゃん、すまねえ!伊達家守るんだ!」と鉄砲を構える。
一斉射撃が響き、輝宗と義継、そして義継の家臣20余人が血に染まって倒れた。政宗が「父ちゃん…!」と呟き、膝をつく。義姫が「藤次郎!何!?輝宗を撃っただと!?」と扇子を振り上げ、愛姫が「藤次郎政宗…!」と目を伏せる。藤五郎が「殿、父君を…すげえ決断だな」と呟き、綱元が「殿、鉄砲で…すげえぜ!」と叫ぶ。左月が馬から降り、「殿、輝宗様を…儂も馬で追えばよかったか」と渋く呟く。
小十郎が「殿、胃が…鷹狩で鉄砲持ってたの、怪しすぎますよ……」と呴くと、政宗が「小十郎、うるせえ!父ちゃんの命で撃ったんだ!伊達家守るためだ!」と返す。義姫が「藤次郎!お前、輝宗を…未熟で血に染まるだけじゃ伊達家の恥だ!でも…守ったなら認めるよ」と呟く。輝宗の遺体を前に、政宗が「母ちゃん、父ちゃん、俺の隻眼で天下獲るぜ!父ちゃんの死、無駄にしねえ!」と叫ぶ。
収穫祭の準備が進む庭で、政宗が隻眼で空を見上げ、「なぁ、父ちゃん。お前、不動明王みたいに強かったぜ。俺も愛姫と家族で天下獲る夢、でかくするからな」と呟く。愛姫がそっと近づき、「藤次郎政宗、輝宗様の犠牲、私も受け入れます。一緒に未来を」と微笑む。輝宗の死を悼みつつ、物語の第四十六歩が、こうして賑やかに刻まれたのだ。
……とはいえ、父ちゃん撃つなんて大変すぎるぜ、と政宗は思ったんだけどな!




