第17話: 「左月じいちゃんと馬!…俺の隻眼、家臣と天下獲るぜ!」
「おいおいおい!不動明王みたいに俺の隻眼、もっと強くなるぞ!」天正9年、米沢城(山形県米沢市)の庭。人取橋(福島県本宮市)の戦いから数週間経ったある朝、伊達梵天丸が木刀を手にキレ気味に叫んでいた。立石寺(山形県山形市)で不動明王に憧れ、小十郎との勝負で家臣との絆を深めた勢いで、庭で木刀を振り回している。庭の柵には木刀の傷が目立ち、家臣たちが遠巻きに「また始まった」と呟き合っていた。
近くで片倉小十郎が汗だくで手をバタバタさせていた。苦労人の顔には疲れがにじんでいる。「殿!昨日俺と勝負したばっかりなのに、そんな大声で叫ばなくても分かりますよ!少し落ち着いてください!」と叫ぶが、梵天丸はニヤリと笑い、「落ち着く?小十郎、不動明王みたいに俺の隻眼が強くなるんだ!今日は左月じいちゃんと勝負して、天下への夢がもっとでかくなるぞ!」と言いながら木刀を振り回す。小十郎が「うわっ!」と飛び退き、「胃が……またですか……」と呻く。
「殿、小十郎の言う通りよ。小十郎と勝負したんだから、少しは休みなさい。私だって応援してるんだから」と、片倉喜多が穏やかな声で諫める。小十郎の姉は、梵天丸の肩を軽く叩いて落ち着かせようとする。「喜多!応援なら俺と左月じいちゃんの勝負見てくれよ!不動明王見た俺の隻眼、負けねえぞ!」と梵天丸が叫ぶと、喜多はクスクス笑い、「私は勝負より見守る方がいいよ。殿が元気ならそれで十分」と言って微笑む。梵天丸はムッとして木刀を柵に叩きつけた。
そこへ、鬼庭左月が馬に乗ったまま庭に現れ、渋い声をかける。白髪交じりの老家臣だが、背筋はピンと伸び、槍を手に持っている。「殿、小十郎殿と勝負したばかりで今度はわしか。義姫様にまた飯抜きにされますぞ。わしなら馬で我慢するが」と言う。「左月じいちゃん!飯抜きはもういいよ!不動明王みたいに俺の隻眼、お前と勝負して強くなるんだ!」と梵天丸が返す。「不動明王なら確かに強いですな。わしも馬で走ってそんな強さ欲しいが、殿とやるなら馬で突っ込むぞ」と左月が渋く笑う。
梵天丸がニヤリと笑い、「おお、左月じいちゃん!馬で来るなら最高だ!俺の隻眼、馬と勝負して天下獲る力になるぜ!」と木刀を構える。左月が馬を少し進め、「殿、馬で突っ込むなら覚悟せい。わしの槍も不動明王みてえに強いぞ」と言いながら槍を構える。二人が庭で向き合うと、小十郎が慌てて叫ぶ。「殿!左月殿と馬で勝負なんてやめてください!俺の胃がまた痛くなりますよ!」
「小十郎、うるせえ!左月じいちゃんが馬なら俺の隻眼で勝つんだ!家臣なら強くなれよ!」と梵天丸が返す。小十郎が「胃が……もう勘弁してください……」と呻く。
そこへ、時宗丸がドカドカと庭に飛び込んできた。幼い従兄弟は木刀を手にニヤニヤしている。「殿、左月じいちゃんと馬で勝負だって!?俺も混ぜろよ!足軽より面白いぜ!」と叫ぶ。「時宗丸!お前は後ろでいいぜ!今日は左月じいちゃんと俺の勝負だ!」と梵天丸が返すが、時宗丸は「何!?俺だって足軽斬ったんだぞ!馬くらい斬れるって!」と反論する。「殿が主役です!時宗丸殿は突っ込む前に考えてください!」と小十郎がツッコむが、時宗丸は「うるさい!」と笑って木刀を振り回す。柵に新たな傷が増え、小十郎が「胃が限界です……」と呻く。
小源太が勢いよく飛び込んできた。梵天丸と同い年の幼馴染、小源太は目をキラキラさせ、小さな木刀を手に持っている。左月の息子だ。「殿!左月じいちゃんと馬なら俺も混ぜてくれよ!不動明王みたいに強くなる!」と叫ぶ。「おお、小源太!お前もいいぜ!左月じいちゃんの馬と勝負して、俺とお前で最強になるぞ!」と梵天丸が返す。「小源太、お前は落ち着け!馬と勝負する前に暴れるな!」と左月が諫めるが、小源太は「殿と一緒なら負けねえ!」と木刀を振り回す。
その時、庭の奥から鋭い声が響いた。「梵天丸!何!?今度は左月と勝負だと!?」義姫だ。梵天丸の母ちゃんが、ドスドスと足音を立てて現れる。長い髪を結い上げた姿は威圧感たっぷりで、手には扇子を握り潰す勢いで持っている。隣には竺丸がちょこちょこついてくる。「母ちゃん!竺丸!俺、左月じいちゃんと馬で勝負して不動明王みたいに強くなるんだ!」と梵天丸が木刀を下ろすと、義姫が一気にまくし立てる。「不動明王だと!?お前が家臣と馬で勝負してるって聞いて飛んできたよ!大名の若殿がそんな下賤な真似をするなんて、あるまじき行為だ!」
「母ちゃん、下賤じゃねえよ!不動明王みたいに俺の隻眼で天下獲るんだ!左月じいちゃんも家臣なら強くなるだろ!」と梵天丸が返す。「家臣だと!?足軽と斬り合い、左月と馬で遊び回るのが強さか!品位を持て!」と義姫が扇子を振り上げるが、声は少し柔らかい。
竺丸がニコニコしながら言う。「母ちゃん、兄ちゃんの隻眼、不動明王みたいでカッコいいよ!左月じいちゃんの馬も強いね!」
「竺丸、お前までか!梵天丸、弟を巻き込むな!」と義姫が一喝するが、輝宗が穏やかに現れる。「義姫、梵天丸が左月と勝負して強くなるなら、少しはいいだろ。お前も雉肉汁くれたんだし、家臣も大事だぞ」と言う。「輝宗!お前が甘やかすからこうなるんだ!だが……左月とやるなら、まあ少しは認めるさ」と義姫が目を逸らす。「父ちゃん!母ちゃん、少し分かってくれたなら最高だ!俺の隻眼、左月じいちゃんと天下獲るぜ!」と梵天丸が叫ぶ。義姫が「天下獲ると!?梵天丸、調子に乗るなよ!」と扇子を振り上げ、梵天丸が「うるせえ!」と笑う。
喜多が穏やかにフォローする。「義姫様、殿と左月殿が元気でいいですね。私も嬉しいですよ」と言う。「喜多、お前は優しすぎる!厳しくしないとダメだ!」と義姫が返す。時宗丸がニヤニヤしながら言う。「母ちゃん、殿が左月じいちゃんと勝負なら俺がカバーするよ!足軽斬ったくらい平気だ!」
「時宗丸、お前も黙れ!お前まで足軽斬ってたら許さん!」と義姫が怒鳴る。小源太が目を輝かせて叫ぶ。「殿、左月じいちゃんと馬なら俺も混ぜてくれよ!不動明王みたいに強くなる!」
「小源太、お前までか!左月、お前の息子だぞ、なんとかしろ!」と義姫が怒鳴ると、左月が渋く笑う。「義姫様、小源太は元気なだけですな。わしも殿と馬で勝負なら楽しめますよ」と言う。「左月、お前までふざけるな!この家、どうなるんだ!」と義姫が叫ぶ。
輝宗が穏やかに言う。「梵天丸、左月と勝負するのはいいが、家臣を大事にしろよ。お前が元気なら俺は嬉しい」と笑う。「父ちゃん、もちろんだ!左月じいちゃんも俺の家臣なら不動明王みたいに強くなるぜ!」と梵天丸が返す。左月が「殿、馬で突っ込むなら覚悟せい。わしの槍も負けんぞ」と笑うと、梵天丸が「左月じいちゃん、最高だな!俺の隻眼、天下獲る力になるぜ!」と叫ぶ。竺丸がニコニコしながら言う。「兄ちゃん、左月じいちゃんと強くなったら俺も嬉しいよ!」
「竺丸、お前、最高だな。父ちゃん、母ちゃん、左月じいちゃん、みんなで俺の隻眼、強くなるぜ!」と梵天丸がニヤリと笑う。
そこへ、虎哉が飄々と現れ、「梵天丸、家臣と欲が膨らんだな。執着は捨てなさい」と言う。「虎哉じいちゃん、執着が俺の燃料だよ!左月じいちゃんと馬で勝負して、俺の隻眼もっと強くなるぜ!」と梵天丸が返す。輝宗が「夢がでかいな」と微笑み、義姫が「品位だけは忘れるな」と呟き、喜多が「殿と左月殿、良かったね」と笑う。小十郎が「胃が……」と呻き、時宗丸が「母ちゃん強いな」と笑い、小源太が「殿、頑張れ!」と応援する中、物語の第十七歩が、こうして賑やかに刻まれたのだ。
……とはいえ、家臣と馬で勝負するのは大変そうだな、と梵天丸は思ったんだけどな!




