表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小大名出身の俺が疱瘡で苦しんで独眼になったけど豊臣や徳川と渡り歩いて仙台の大大名になっちゃった件について  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/61

第16話: 「小十郎と木刀勝負!…俺の隻眼、家臣と強くなるぜ!」

「おいおいおい!不動明王みたいに俺の隻眼、もっと強くなるぞ!」天正9年、米沢城(山形県米沢市)の庭。人取橋(福島県本宮市)の戦いから数週間経ったある昼下がり、伊達梵天丸が木刀を手にキレ気味に叫んでいた。立石寺(山形県山形市)で不動明王に憧れ、家族との絆を深めた勢いで、庭で木刀を振り回している。庭の柵には木刀の傷が目立ち、家臣たちが遠巻きに「また始まった」と呟き合っていた。

 近くで片倉小十郎が汗だくで手をバタバタさせていた。苦労人の顔には疲れがにじんでいる。「殿!不動明王に憧れるのはいいですが、そんな大声で叫ばなくても分かりますよ!少し落ち着いてください!」と叫ぶが、梵天丸はニヤリと笑い、「落ち着く?小十郎、不動明王みたいに俺の隻眼が強くなるんだ!お前と勝負して天下への夢がもっとでかくなるぞ!」と言いながら木刀を振り回す。小十郎が「うわっ!」と飛び退き、「胃が……」と呻く。

「殿、小十郎の言う通りよ。不動明王に憧れたんだから、少しは静かにしなさい。私だって応援してるんだから」と、片倉喜多が穏やかな声で諫める。小十郎の姉は、梵天丸の肩を軽く叩いて落ち着かせようとする。「喜多!応援なら俺と小十郎の勝負見てくれよ!不動明王見た俺の隻眼、負けねえぞ!」と梵天丸が叫ぶと、喜多はクスクス笑い、「私は勝負より見守る方がいいよ。殿が元気ならそれで十分」と言って微笑む。梵天丸はムッとして木刀を柵に叩きつけた。

 そこへ、時宗丸がドカドカと庭に飛び込んできた。幼い従兄弟は木刀を手にニヤニヤしている。「殿、小十郎と勝負だって!?俺も混ぜろよ!足軽より面白いぜ!」と叫ぶ。「時宗丸!お前は後ろでいいぜ!今日は小十郎と俺の勝負だ!」と梵天丸が返すが、時宗丸は「何!?俺だって足軽斬ったんだぞ!お前より俺が強いって!」と反論する。「殿が主役です!時宗丸殿は突っ込む前に考えてください!」と小十郎がツッコむが、時宗丸は「うるさい!」と笑って木刀を振り回す。柵に新たな傷が増え、小十郎が「胃が限界です……」と呻く。

 その騒ぎを見ていた鬼庭左月が、馬から降りて渋い声をかける。白髪交じりの老家臣だが、背筋はピンと伸び、槍を手に持っている。「殿、時宗丸殿、小十郎殿と勝負するのもほどほどに。義姫様にまた飯抜きにされますぞ。わしなら馬で我慢するが」と言う。「左月じいちゃん、飯抜きはもういいよ!不動明王みたいに俺の隻眼、小十郎と勝負して強くなるんだ!」と梵天丸が返す。「不動明王なら確かに強いですな。わしも馬で走ってそんな強さ欲しいです」と左月が渋く笑うと、小源太が勢いよく飛び込んできた。

 梵天丸と同い年の幼馴染、小源太は目をキラキラさせ、小さな木刀を手に持っている。左月の息子だ。「殿!小十郎と勝負なら俺も混ぜてくれよ!飯抜き我慢したから負けねえ!」と叫ぶ。「おお、小源太!お前もいいぜ!不動明王みたいに俺と小十郎で勝負して、最強になるぞ!」と梵天丸が返す。「小源太、お前は落ち着け!勝負する前に暴れるな!」と左月が諫めるが、小源太は「殿と一緒なら負けねえ!」と木刀を振り回す。

「殿!俺と勝負するならちゃんと木刀持ってください!胃が痛いのにこんな目に遭うなんて!」と小十郎が叫ぶと、梵天丸がニヤリと笑う。「小十郎、うるせえ!不動明王みたいに俺の隻眼で勝つんだ!お前も家臣なら強くなれよ!」と木刀を構える。小十郎が渋々木刀を手に持つと、二人が庭で向き合う。「殿、不動明王なら俺の胃も守ってくださいよ!」と小十郎が呻きながら構えると、梵天丸が「胃は知らねえ!行くぞ!」と突っ込む。二人の木刀がカチンとぶつかり、小十郎が「うわっ!」とよろける。

 その時、庭の奥から鋭い声が響いた。「梵天丸!何!?また小十郎と勝負だと!?」義姫だ。梵天丸の母ちゃんが、ドスドスと足音を立てて現れる。長い髪を結い上げた姿は威圧感たっぷりで、手には扇子を握り潰す勢いで持っている。隣には竺丸がちょこちょこついてくる。「母ちゃん!竺丸!俺、小十郎と勝負して不動明王みたいに強くなるんだ!」と梵天丸が木刀を下ろすと、義姫が一気にまくし立てる。「不動明王だと!?お前が家臣と木刀で勝負してるって聞いて飛んできたよ!大名の若殿がそんな下賤な真似をするなんて、あるまじき行為だ!」

「母ちゃん、下賤じゃねえよ!不動明王みたいに俺の隻眼で天下獲るんだ!小十郎も家臣なら強くなるだろ!」と梵天丸が返す。「家臣だと!?足軽と斬り合い、小十郎と木刀で遊び回るのが強さか!品位を持て!」と義姫が扇子を振り上げるが、声は少し柔らかい。

 竺丸がニコニコしながら言う。「母ちゃん、兄ちゃんの隻眼、不動明王みたいでカッコいいよ!俺も小十郎と勝負したい!」

「竺丸、お前までか!梵天丸、弟を巻き込むな!」と義姫が一喝するが、輝宗が穏やかに現れる。「義姫、梵天丸が小十郎と勝負して強くなるなら、少しはいいだろ。お前も雉肉汁くれたんだし、家臣も大事だぞ」と言う。「輝宗!お前が甘やかすからこうなるんだ!だが……小十郎とやるなら、まあ少しは認めるさ」と義姫が目を逸らす。「父ちゃん!母ちゃん、少し分かってくれたなら最高だ!俺の隻眼、家臣と強くなるぜ!」と梵天丸が叫ぶ。義姫が「強くなると!?梵天丸、調子に乗るなよ!」と扇子を振り上げ、梵天丸が「うるせえ!」と笑う。

 喜多が穏やかにフォローする。「義姫様、殿と小十郎が元気でいいですね。私も嬉しいですよ」と言う。「喜多、お前は優しすぎる!厳しくしないとダメだ!」と義姫が返す。時宗丸がニヤニヤしながら言う。「母ちゃん、殿が小十郎と勝負なら俺がカバーするよ!足軽斬ったくらい平気だ!」

「時宗丸、お前も黙れ!お前まで足軽斬ってたら許さん!」と義姫が怒鳴る。小源太が目を輝かせて叫ぶ。「殿、小十郎と勝負なら俺も混ぜてくれよ!不動明王みたいに強くなる!」

「小源太、お前までか!左月、お前の息子だぞ、なんとかしろ!」と義姫が怒鳴ると、左月が渋く笑う。「義姫様、小源太は元気なだけですな。わしも小十郎と勝負なら馬で突っ込みますよ」と言う。「左月、お前までふざけるな!この家、どうなるんだ!」と義姫が叫ぶ。

 輝宗が穏やかに言う。「梵天丸、小十郎と勝負するのはいいが、家臣を大事にしろよ。お前が元気なら俺も嬉しい」と笑う。「父ちゃん、もちろんだ!小十郎も俺の家臣なら不動明王みたいに強くなるぜ!」と梵天丸が返す。小十郎が「殿、俺の胃も大事にしてくださいよ……」と呻くと、梵天丸が「胃は知らねえ!お前、家臣なら俺と一緒に強くなれ!」と笑う。虎哉が飄々と現れ、「梵天丸、家臣と欲が膨らんだな。執着は捨てなさい」と言う。「虎哉じいちゃん、執着が俺の燃料だよ!小十郎と勝負して、俺の隻眼もっと強くなるぜ!」と梵天丸が叫ぶ。

 騒ぎが収まると、梵天丸は縁側に座り、夕日を見上げた。隻眼で夕日を見つめる顔は少し静かだ。「なぁ、小十郎。お前、家臣なら俺の隻眼みたいに強くなれよ。天下獲る夢、でかくするからな」と呟く。小十郎がそっと近づき、「殿、胃が痛いけど頑張りますよ……」と呟く。竺丸がニコニコしながら言う。「兄ちゃん、小十郎と強くなったら俺も嬉しいよ!」

「竺丸、お前、最高だな。父ちゃん、母ちゃん、小十郎、みんなで俺の隻眼、強くなるぜ」と梵天丸がニヤリと笑う。輝宗が「夢がでかいな」と微笑み、義姫が「品位だけは忘れるな」と呟き、喜多が「殿と小十郎、良かったね」と笑う。小十郎が「胃が……」と呻き、時宗丸が「母ちゃん強いな」と笑い、小源太が「殿、頑張れ!」と応援する中、物語の第十六歩が、こうして賑やかに刻まれたのだ。

 ……とはいえ、家臣と強くなるのも大変そうだな、と梵天丸は思ったんだけどな!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ