プロローグ: 「サンドイッチマンの仙台探訪!~独眼竜の街へようこそ~」
《フィクション番組・登場人物もフィクションです》
「はい、どうもー!サンドイッチマンの伊達みきおでーす!」
「富澤たけしでーす!よろしくお願いしまーす!」
2025年4月3日、仙台駅前の賑わう通り。
カメラが映し出すのは、春の日差しに輝く青葉通りのケヤキ並木と、楽しそうに歩く観光客たち。そこに立つ二人のお笑い芸人が、マイクを手に元気よく挨拶する。
「いやー、富澤、俺たちの地元・仙台、やっぱ最高だな!」と伊達がニヤリと笑う。
「そうだな、伊達ちゃん。春の仙台は桜もキレイだし、牛タンも旨いし…って、俺ら何の番組だっけ?」
と富澤が首をかしげる。
「おいおい、ちゃんと覚えとけよ!『サンドイッチマンの仙台探訪』だよ。視聴者に仙台の魅力を紹介する番組だろ!」
「あ、そうだった!じゃあさ、まずはあの有名なとこ行こうぜ。ほら、仙台城跡!」
シーンが切り替わり、二人は仙台城跡に到着。
眼下に広がる仙台市街を見下ろす石垣の上に立つ伊達政宗の騎馬像が、堂々とそびえている。
「おおー、これだよこれ!伊達政宗公の像!」
と伊達がテンション高く指さす。
「カッコいいよな、この隻眼の独眼竜。兜の三日月が映えるぜ」
と富澤が感心したように頷く。
「だろ?俺、伊達って名前だけど、この政宗公には敵わねえよ。小大名からスタートして、豊臣秀吉や徳川家康と渡り歩いて、この仙台を大大名にしちゃったんだからさ!」
「へえー、すげえな。でもさ、伊達ちゃん、政宗って目が一つだったんだろ?それで天下狙うって、どんだけタフなんだよ」
と富澤が目を丸くする。
「そうそう、5歳で疱瘡にかかって右目失ったらしいけど、そこから這い上がったんだぜ。戦国時代に遅刻しまくったり、家臣振り回したり、ドタバタしながら仙台作ったんだから、笑えるくらいスゴいよな!」
「遅刻しまくりって…俺らみたいじゃん」
と富澤がボソッと呟き、伊達が
「全然違うわ!」
とツッコむ。
二人が笑い合う中、カメラが政宗像をズームアップ。
風に揺れる三日月の兜がキラリと光る。
「でもさ、この仙台の街歩いてると、やっぱ政宗公の魂感じるよな。青葉城も、街並みも、全部あの人から始まったんだもん」
と伊達がしみじみ言う。
「だな。牛タンも政宗公のおかげで…って、関係ねえか」
と富澤が自分で突っ込んで笑う。
「まあ、とにかくさ、こんなスゴい街作った政宗公の人生、もっと知りたくなるよな。どんなドタバタでここまで来たんだろ?」
と伊達がカメラに目を向ける。
「だな。俺らも知りたいし、視聴者の皆さんも気になるよな?」
と富澤がニヤリ。
二人が同時にカメラを指さし、声を揃えて叫ぶ。
「ってことで!伊達政宗公の人生を知りたいですね!」
画面がフェードアウトし、戦国時代の米沢城へと場面が切り替わる。
物語の幕が、今、上がる――。