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その一   結婚したい人がいると言われました

 口論の切っ掛けは幼馴染み同士で互いを心配して生じた行き違い。

 もちろん最初はウィルに気を遣って話したし、彼もそんな感じだったと思う。

 それがついヒートアップした。


「私が婚約するかどうかなんてほっといてよ。ウィルだって相手はいないんでしょ?」

「いや、望まぬ相手だが婚約者候補はいる」


「え……婚約者いたの?」

「マリー、違うんだ。婚約者じゃない。婚約者候補だ」


「それならその婚約者候補と婚約すればいいじゃない!」

「期限ぎりぎりまで婚約はしない」


「……どうして?」

「家柄や財力で決められた相手との婚約は望んでいない」


「……そうなんだ。でも婚姻は家のために避けられないでしょう?」

「ああ。だけど、それでは互いに幸せにはなれない」


 ウィルはそう言って私の目を見つめた。


「大好きな人がいる……結婚したい人がいるんだ」

「そ、それは……誰?」


 私は彼に見つめられて少しだけ期待した。

 これだけ仲良く話せるのだから、もしかしたらその人が私なのかもと。

 しかしウィルはすまなそうに目を伏せる。


「言えない」


 それを聞いて心臓をナイフで切りつけられた気がした。

 相手は幼馴染みのはずなのに、想い人がいるという告白になぜかショックを受けて言葉が出なくなる。

 そのまま息苦しくなって気を失った。

 急に倒れたので、ウィルにものすごく心配をかけてしまった。


 彼とずっと一緒にはいられない。

 それでも仕事と人間関係に疲れ果てた私にとって、たっぷり甘やかしてくれる彼の存在は特別に違いなかった。


(彼に好きな人がいても、大切な幼馴染みには変わらないわ。できればこれからも彼と長く一緒にいたい。でも一体どうすれば……)


 ウィルは剣の修練で週末だけ家へやって来る。

 私のおじい様に剣を習うためだ。


 だからウィルと会えるのはこうして週末に一度だけ。


 会える時間は少ないけど、彼と幼馴染みなだけでも恵まれていると思う。

 だってウィルは本当に素敵だから。


 彼に「大好きな人がいる」と言われてしまった。

 「結婚したい人がいる」と言われてしまった。


 私はただの幼馴染み、だからずっと一緒にはいられない。

 それは分かっていたこと。

 

 多くを望む気はない。

 ちょうどウチは貧乏だし、これまで以上に仕事を頑張ることにしよう。

 ウィルとはこれからも幼馴染みとして過ごせれば十分幸せなのだから……。


でも彼の様子はこれまで以上に……。

その様子は次話で!

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