39.戻ってきた平穏と
***
「……はい。ああ。シャーロッテ邸の地下ダンジョンにあいつらが来るって話、信じて待ち伏せてたら合流できました。AKさんの言う通りでした。仲間と再会できたのもあんたのお陰です。本当、ありがとうございます」
キリシマから指示を受けたバーレッドは、一人木陰で通話機能を立ち上げて会話をしていたスクルージのもとへやって来た。鎧を脱いでいても存在感がある大きながっしりとした背中向かって声を掛ける。
「通話ですか?」と、直前の動作を不審に思いながら、
「スクルージさん。今の通信の相手って、もしかしてヴァロランドの……」
「バーレッド、お前聞いてたのか……?」
呼ばれたスクルージは振り向き見、口走る。何と言い訳をしたものか考え答える台詞を探る隙に、何故か彼よりもバーレッドの方が青ざめた表情になっていた。
「いや、説明させてくれ! 俺もヴァロランドやAKのことは悪い奴らだと思ってたんだけど誤解なんだ……」
「でも、そんなはず……」
バーレッドは当惑し、焦りと疑問が入り混じった顔で一度かぶりを振る。そして、いや。まさか。と、独り言のような小声で前置きをしてから正面に立つスクルージを真っ直ぐに見つめて唾を飲んだ。
「だって、AKは僕の……赤川の、別アカウントなんですよ?」
END
最後までお読み頂きありがとうございました!
コンテスト用に書いたMMORPGモノ中編でした。
点数評価のほか、長編化希望などありましたらツイッターなどで言って頂けるとうれしいです。
追記
2025年5月、全体で6000文字程度加筆と誤字脱字などの修正をさせていただきました。
第十回ネット小説大賞、一次選考通過しました
カクヨム様戦うイケメン中編コンテスト、中間選考通過しました
普段は長編ファンタジーなどを書いています
https://ncode.syosetu.com/n4400ff/




