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35.終戦

ほとばしる閃光。激しく降りしきる光の帯。視界のすべては瞬間的に白一面となる。


「うっ! うわわあああああ!」


天井付近で発生した稲妻が着弾し散り散りに炸裂した。勢いに吹き飛ばされそうになり踏ん張りながら衣服を押さえるルタ。悲鳴を挙げる彼を横切って、キリシマはバーレッドと黒鎧の男が戦っているほうへと駆け出した。


「まだだ! 猛り唸れ! 我が雷達! 悪意を切り裂き殲滅せよ!!」


雷を呼び出して放てばそれで終わりではない。そこから先の動作こそが、魔術師レベル上限到達者である彼の本当の実力を明示する。本領発揮、腕の見せ所。光に包まれて叫びよろめく大蝙蝠に杖を振り上げ、爆雷の起動からいかづちの操作へと魔法の詠唱を変え唱え続けるキリシマ。幾重に集まっていた光の束の中から一筋が生き物のようにするりと離れ彼の杖に絡み付く。


「ゆけ!」


その光は弾けるように杖から放たれ再び空中へ飛びあがる。そうしてまた地面に刺さるように落ちる頃には(いかづち)へ変わり爆発する。落下した稲妻が地面で跳ね返るように動作し、蝙蝠の方翼を直撃。そのまま貫き通してモンスターを壁へと縫い付けて消滅させた。キリシマは続けざまに地を蹴り飛ばし、次のターゲットへと狙いを定める。


「伏せろ! バーレッド!」

「!! キリ……シ、マさ、ん……?!」


月蝕という魂を妖刀に喰われる代わりにパラメータを底上げする能力スキルを使い、全霊を掛けて黒鎧の男との戦闘に集中していたバーレッドは一時反応が遅れ敵から身を離す隙を失ってしまう。赤くなった瞳をもとに戻しその中心にキリシマを映す。我に返った頃には手遅れだった。キリシマが放った閃光をかわす時間がない。


「……!」

「なぬ! 貴様! 何を……!」


雷がバーレッドの後ろ髪を掠め彼の体を光の渦に飲み込んでいく。身を捻ろうとしたところを庇ったのは意外なことに敵対していたはずの黒鎧の男だった。巨躯をバーレッドの横腹へとぶつけ雷の軌道の中心から彼を弾き出す。

払いのけられた味方が宙に浮く姿に一旦は固まるキリシマだったが、すでに滅却を命じて放った雷の攻撃は敵に情け容赦を持っていなかった。定められたターゲットへと稲妻が空気を裂いて駆け、巨大な刃を形作った雷の大技が黒鎧の男の胸へと直撃した。


「んな……っ?!」


頭部に向かって駆け上がり全身を巡った雷は裁きの炎へ変化し、脇目をふる隙も与えず一気に燃え上がる。たちまち炎上する焔の内側。炎に焼かれた黒鎧の男の傷ついた装備にヒビが入り、壊れ、崩れて蝋のように溶け出した。そうして壊れたヘルムの隙間から見えた人物の目は、キリシマにもバーレッドにも覚えのある人物ヒトが持つトパーズ色の穏やかな瞳。

炎の橙が反射する黒い鎧に身を包んでいた仇敵の正体を知り、


「えっ」

「ル……」


驚愕の真実に杖を取り落とすキリシマ。


「ルージ?! き、貴様だったのか!!!?」

「ひっ、回復ヒールっ! それとあと鎮火! なにか水の呪文……!」


三者のすぐ側に駆け寄ってきたルタが慌てて炎の中に割り入り治癒の魔法を唱えれば、キリシマも鎮火のための呪文を探してコマンドを開いた。





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