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ハロウィンのお菓子  作者: 知美
人間界
8/15

人間界‐4

 キッチンに行くと、娘夫婦がお菓子の材料をボールに入れ、材料を正確に量っていた。ランクが青‐0の魔女とエプロンをつけた女性以外は、道具を使って重さを正確に量ることが珍しい様で、作業を食い入るように見ている。

 ランクが青‐0の魔女が手をキレイに洗っていると、エプロンをしている女性が話しかけていた。

「やっぱり、魔女界に帰られる時間は、夜の9時なんですよね?」

「そうです」

「今からだと、もしかしたら、間に合わないかもしれないです」

「それなら大丈夫ですよ。わたくし達が、魔法で早く動けるようにします。何倍速なら、間に合いますか? それにわたくし達も手伝います」

「3倍速でお願いします」

「はい、わかりました。魔女様方、聞いておられましたか?」

「聞いてたよ」

 ランクが黒‐5で、エメラルドが、1粒ついているネックレスをした魔女が答えた。

魔女達は「せーの。」と、言った後、指を3回鳴らすと、その空間でのみ、3倍速で動けるようにした。すると、みんな忙しそうにせっせと動いている。

 魔女達は娘夫婦とエプロンをつけた女性に、お菓子の作り方を教えてもらいながら、最初の4時間で紅茶味のクッキー、かぼちゃのパウンドケーキ、レモン味のシフォンケーキ、縦、横、高さが5cmのチョコレートケーキとイチゴのショートケーキをそれぞれたくさん作った。

 残り2時間になると片付けを始めた。

「魔女様、お疲れ様です」

「いえ、こちらこそありがとうございます。助かりました」

 ランクが黒‐5で、エメラルドが、1粒ついているネックレスをした魔女が答えた。

「あとはラッピングだけですね、魔女様方」

 ランクが青‐0の魔女が言った。

「そうだな。お前にまで、手伝わせて悪かったな」

「大丈夫です、気にしないでください。それより洗い物を終わらせて、ラッピング作業に入りましょう」

「ありがとう、そうだな」

 使った物を洗い片付け終わると、作業台の上に紅茶のクッキー、かぼちゃのパウンドケーキ、レモン味のシフォンケーキ、縦、横、高さが5cmのチョコレートケーキとイチゴのショートケーキがそれぞれバットの上に並べられていた。

「チョコレートケーキとイチゴのショートケーキは、倒れないように箱に入れるにしても、そんなに箱が、……ないです」

 エプロンをつけた女性が、そう言ったのを聞いていたランクが青‐0の魔女が「これで大丈夫ですよ」と、言い指を1回鳴らし、杖を出現させ、杖で透明で仕切りがある箱を描いた。

「そうだな。それならケーキは倒れない」

 ランクが黒‐5の魔女達は、たくさんの透明で仕切りのある箱を、次々に作り、娘夫婦とエプロンをつけた女性がお菓子をキレイに箱に詰めていった。それをランクが青‐0の魔女が、作った異空間の中に入れていった。

「これで完成! 魔女様方、お疲れ様でした」

「どうにか間に合ったな」

 異空間にお菓子を入れ終わると、3倍速で動ける魔法を解いた。すると、時計は夜の8時30分を指していた。

「あっ、ヤバッ! ありがとうございます。本当に助かりました」

「どうにか間に合って良かったです。帰り道、お気をつけてお帰り下さい。あと、これが今回作ったお菓子のレシピです」

 エプロンをつけた女性が、お店の外まで見送ってくれた。そこには娘夫婦の姿はなかった。

「はい、ありがとうございます」

 魔女達は急いで箒を出現させ、魔方陣がある広場に向かって飛んで行った。

「あれ、魔女様達は?」

「広場に向かって行ったけど。あなた達こそ、どこに行ってたの?」

「今回使ったレシピと材料を、分けてあげようと思って準備しに行ってた。急いで追いかけないと。ここから広場まで車で20分、かかるんだから」

 娘夫婦は、たくさんの小麦粉やチョコレートなどが入った袋を、抱えていた。

「レシピは渡したけど、なんで材料まであげるのよ」

「魔女界で人間界のお菓子は、大人気なんだって。詳しくは車の中で話すから、とりあえずこれを車に載せなきゃだから手伝って」

 荷物を車に乗せ終わると、エプロンをつけた女性と娘夫婦が車に乗り、旦那さんの運転で広場に向かった。

読んで頂きありがとうございました。

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