魔女界‐3
ハロウィンの1週間前になると、魔法学校の校庭には、黒色のとんがり帽子に、金色の星の形をしたバッチを、5つつけたものを被って、黒いワンピースを着て、黒いブーツをはいている魔女が9人いて、話をしていた。
「あとは、去年、魔法学校を首席で卒業してランクが青‐0になった魔女さんが、来ればいいだけね」
「そう。あっ、来た」
ランクが青‐0の魔女は、校庭に下り立つと、箒を持ったまま、黒色のとんがり帽子を被った、魔女の所に、急いで走って行った。
「遅くなってすみません!」
「大丈夫よ。魔方陣を描くのが楽しみで、早く、目が覚めて、早く、来過ぎただけだから」
「毎年そうらしい。ランクが黒‐5の魔女は、魔方陣を描くのが楽しみで、早く目が覚め、ランクが青‐0の魔女は、緊張で、前の晩眠れない、という噂を聞いている」
「それより、10人集まったわね。早速、半径3mぐらいのガイドラインを、描いてちょうだい」
「はい」
ランクが青‐0の魔女は、手にしていた箒にまたがり、上空に向かって飛んで行った。魔法学校の校庭が、すべて見渡せる高さまで行くと、そこで止まり、指を1回鳴らし、杖を、出現させた。その杖を持ち、半径10cmの円を空中に描いた。その円の中心に、杖の先をあて、腕を真上にゆっくり振り上げると、空中に描かれた円も、真上に、移動した。
「魔女様方、いきます」
「お願いね」
ランクが青‐0の魔女は、勢いよく、腕を下に振り下ろすと、空中に描かれていた円が、校庭に向かって行きながら、だんだんと大きくなり、地上に着くころには、半径3mの円に、なっていた。
「ありがとう。今度は、魔方陣を描く、お手伝いを、お願いね」
「はい、わかりました」
ランクが青‐0の魔女が、急いで地上に行くと、ランクが黒‐5の魔女が、ランクが青‐0の魔女に、幾何学模様が描かれた紙を、渡した。
「この通りに、描いてね」
「はい、わかりました」
その紙に描いてある様に、地面に幾何学模様を描き始めて、10分程経つと、漸く、書き終わった様で、ランクが青‐0の魔女が、周りを見渡すと、ランクが黒‐5の魔女達は、既に、書き終わった様で、談笑していた。
「魔女様方、遅くなって申し訳ありません。描き終わりました」
「大丈夫よ。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「あとは、魔方陣の上に、保護魔法をかければ、いいだけね」
「見ていても、いいでしょうか?」
「あら、勉強熱心ね」
「去年の子も、そうだった」
「元気にしてるかしら?」
「大丈夫だ。ランクは青‐0のままだが、魔法学校を首席で卒業した魔女だ」
「そうね、新人さん、初めて人間界に行けるからって、浮かれすぎないでね」
「はい」
ランクが黒‐5の魔女達は、魔方陣の外側に、等間隔に立つと、何か呟きながら、杖の先を魔方陣の中心に向けると、魔方陣の中心から、薄い青色のベールに、覆われ始めた。杖先が、ゆっくりと魔方陣の外側まで来ると、薄い青色のベールが、先程描いた、魔方陣を、すべて覆った。
「これで仕事完了ね。解散」
「魔女様方、ありがとうございました」
「いいのよ」
読んで頂きありがとうございました。