魔女界‐2
魔法学校の校舎は、2棟あり、それぞれ、3階建てで建てられている。建物自体は、細長いビルが2つ並んでいる様に見えるが、中は異空間になっているらしく、凄く広い。
2つある校舎のうち、左側にある、校舎の3階部分の長辺方向の壁の右側から、左側に向かって、橙色のとんがり帽子の絵が5つ、描かれている。1番右側に描かれているとんがり帽子には、金色で星の形をしたバッチの絵は、描かれていないが、左にいくにしたがって、1つずつバッチの絵が増えていき、1番左側にいくとバッチの絵は5つ、描かれていた。2階と1階部分の、長辺方向の壁には、3階部分と、殆ど同じ絵が描かれているが、とんがり帽子の色が違うだけだ。2階部分のとんがり帽子の色が赤色で、1階部分は、白色のとんがり帽子になっている。
右側にある、校舎の1階部分と2階部分も、左側にある校舎の壁に、描かれている絵と殆ど同じで、とんがり帽子の色が違う。1階部分は、とんがり帽子の色が黄色で、2階部分が緑色だ。3階部分の壁には、黒いとんがり帽子に金色で星の形をしたバッチが5つと、ネックレスが1つ、描かれているものが、5つある。5つ同じ絵が描かれているが、ネックレスについている宝石が、それぞれ違う。宝石の種類は、左側からダイヤモンド、ピンクサファイア、マンダリンガーネット、イエローサファイア、エメラルドだ。
右側にある校舎の、3階部分の1番右側には、エメラルドの絵が描かれている部分にある、休憩室に向かって、緑色のとんがり帽子を被った魔女が「先生ー!」と、叫びながら勢いよく飛んで行っている。
「なんだ? あっ!」
休憩室のなかにあるソファーに座り、本を読んでいた黒いとんがり帽子に、金色で星の形をしたバッチが5つ、ついている物を被り、エメラルドが1粒、ついているネックレスをしていて、黒いワンピースを着て、黒いブーツをはいている魔女は、休憩室の窓の外から、休憩室に向かって飛んで来る緑色の魔女に気付き、慌てて窓を開けに行った。
「先生、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。ちゃんとすり抜けられるから」
「そうか? この間の授業の時は、壁に激突ばかりして、箒の柄を折って、しまいには、顔面を壁に激突させていたのは、何処の誰だっけ?」
「私だけど、家に帰ってからお母さんに教えてもらったら、ちゃんと出来るようになりました。一応これでも、ランクが緑‐5だから、落第するわけにはいかないから……」
「そうだな。出来るようになって、良かった」
「はい。それより、先生にお願いがあって、来ました」
「……、ハロウィン関係の事だろ?」
「そうです! 私だけじゃないけど」
ランクが緑‐5の魔女が、笑顔で返事をした後、直ぐに黄色、橙色、赤色、白色のとんがり帽子を被った魔女達が、次々と箒に乗ったまま、休憩室の中に入って来た。
「やっと、追いついた……」
「まさか、お前たちも、なのか?」
「はい」
「とりあえず、箒から下りて、箒を消そうか」
「はい」
黄色と、橙色のとんがり帽子を被った魔女達は、直ぐに箒を消すことが出来たが、赤色、白色のとんがり帽子を被った魔女達は、中々消せずにいた。
「さすがランクが黄‐5、橙‐5だな」
「ありがとうございます」
「ランクが赤‐5、と白‐5だと、全速力で飛んで来たあと、箒を消すのは、まだ、無理か。少し魔力を分けてあげよう」
黒いとんがり帽子に、金色で星の形をしたバッチが、5つついている物を被り、エメラルドが1粒ついているネックレスをしている魔女が、ランクが赤‐5と白‐5の魔女達の頭の上に、手をかざすと、ランクが赤‐5と白‐5の魔女は、漸く、箒を消すことが出来た。
「先生凄い!」
ランクが緑‐5の魔女が、黒いとんがり帽子に、金色で星の形をしたバッチが5つ、ついている物を被り、エメラルドが1粒、ついているネックレスをしている魔女に、そう言うと、その魔女は「お前も、ランクが私と同じ、黒‐5になって学校の先生の試験に受かって、ネックレスを女王様から頂けば、出来るようになる」と、言った。
「そうなんだ」
「ありがとうございます」
「……、それで、お願いはなんだ?」
「去年、人間界のお菓子を食べ損ねてしまったので、今年こそは必ず食べたくて、先生に、お願いをしに来ました」
「どれくらい、食べたいんだ?」
「山ほど食べたいです!」
「食べきらないだろ」
「自分専用の異空間に、入れておくから大丈夫です!」
「……そうか? ……本当に、大丈夫か?」
「大丈夫です!」
ランクが緑‐5、黄‐5、橙‐5、赤‐5、白‐5の魔女達は、声を揃えて言った。
「……、わかった。出来るだけたくさん、もらってくるよ」
「ありがとうございます」
ランクが緑‐5、黄‐5、橙‐5、赤‐5、白‐5の魔女達は、嬉しそうだ。
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