留守任務 家臣
1481年文明13年 1月 海西郡 荷之上城
仙法師様が上洛なさることとなり傅役ではあるがこの平手監物英秀が留守を預かることとなった。
仙法師様からは上洛する前よりこれからの指針を示されていたのでその計画の実行と監督を行い在京する予定如何によっては纏めて報告を送るように命ぜられた。
さて、まずは何やら、ミズナラ、シイ、サクラ、クヌギ、コナ等の木を根本から切り乾燥させるように命ぜられた。そして時期次第によっては来月頃に生椎茸を買い込み笠を水で洗いそれをおが屑や木片を入れた小瓶に入れ冷暗所で暫く保管せよとのこと。それと同時に乾燥させた木を3尺3寸程に切り分け、溝を彫り試験的に日を分けて小瓶のおが屑と木片で埋めるようにとのこと。
次に瀬戸による焼物について窯の改良と焼物の開発を命ぜられた。なんでも春日井の地にある粘土という粘土を片っ端から調べ焼いてみろとのこと。そしてできた焼物が水を吸わず叩いて甲高い音がした土に牛の骨を粉末にした物と錆びた鉄粉を割合を変えながら混ぜ焼き上げろと言われた。まぁ、これは職人に任せるほかないが…
更に、焼物職人に命じ窯や竈を作る職人と共に山の斜面を利用して階段状に繋がったいくつもの部屋のある窯を作るようにも命ぜられた。
次に関信濃守を中心とした鍛冶屋衆に命じ、細い針金を棒にきれいに巻きつけ、それを以て型を取り棒に針金と針金の隙間状の谷通りに溝を彫り、それを以て鉄板等に穴を開けられる様な刃物を作れと命ぜられた。また、それとは別に溝を彫った棒もなるべく様々な大きさや間隔の物を作くれとのこと。
そして、金属の棒を熱しながら少し間隔空けたり程々に間隔を空けたりしたものが欲しいとのこと。
それぞれの絵図面をも見ても真に珍妙な物に見えるがこれらを何に使うか皆目検討もつかぬが仙法師のことだ凄い物なのだろう。
更に、武具も開発するように命ぜられている。まずは三間半(6.4m)もの長さの槍を作れとのこと。う〜ん…普通は一間半(2.7m)程の長さであるものを左様に長くするとは…それでは突くなり刺すなりできなくなりそうだが…しかもこれは必ず数を揃えろととのこと。まぁ、長くするだけならば然程難しくはなさそうな気もする。
次に、弓も作るように命ぜられた。ただこれも只の弓ではなく竹や木ではなく鉄や銅、動物の骨や筋を用いて短く引くには重い弓を造れとのこと。しかし、弭即ち弦を掛ける部分に滑車を取り付けそれらを利用できるように弦を張れとのことらしい。弓職人に絵図面を渡したらば難色を示されたが取り敢えず試行錯誤してみるとのこと
そして、これは今までの命令からするとかなりまともな部類だが足軽衆の増員募集と馬の買い入れと調教をしろとのこと。何でも騎馬武者を養成し馬廻を作りたいとの事らしい。
しかし、それだけではなく馬や牛で曳けるような荷車も作れと絵図も渡された…
取り敢えずは仙法師様にはこれぐらいにしていただいた。なぜならばこれ以上は人手も時間も足りぬからだ。その旨を述べたところ些かご不満そうではあったが毅然と述べさせてもらった!




