対策
1480年文明12年 10月上旬 塩畑城
小六(蜂須賀正家)を麾下としたことを父 良信に報告をした。するとやはり相当に驚かれてしまった。だが、喜んでもくれたようだ。
何せ我々弾正忠家は守護やその配下の守護代などの威を借る実質土豪に過ぎない。更に言えばそれらの威もあくまで不安定で内部分裂をしている幕府に保証とも言えない保証を受けているに過ぎないのだから…
今は正に乱世だ。国人・土豪・地侍が実力によってその権威を示しそれを以て幕府に働きかければ認められてしまうことなど多くある。伊達家など最たる例だ。
故に、我々は威を借りて国人等を纏め郡を治めねばならない。そんな中で裏社会とも通じ、水運を握る蜂須賀党を麾下に治められた事は計り知れない影響力を保持することとなったのだ。
さて、そんな蜂須賀党首・小六からとある情報を得た。それは、我らが本家「大和守家」と和議を契った「伊勢守家」が和議を破り尾張を征さんとする陰謀を企てているとのことだ。当然慎重に事を行わんとしているようだが我らの陣営側に不満を持つ地侍や国人などを懐柔しようとしている動きがあるということだ。
その情報を直ぐ様、父 良信に伝え自分はこれを好機と捉え具申したのだった。
「父上、敵が策を講じているならば我々もそれ相応の備えをせねばなりません」
「仙法師よ、その通りだ。しかし、あまり大事に備えをすれば相手も勘付くというものよ」
「はい。故に自分はまずは塩畑城外に建設している城下町(勝幡町)に細工をしこの城に釘付けにできるようにしたいと思います。また、密かに兵を募り城外に伏し機を計って挟み撃ちにできるように致せば最上かと」
「うむ。そこまで考えておるならば、その方に任せる。俺も俺が出来うる事を行う」
そうして自分はおおっぴらとまでは行かずとしても兵力を持つ事ができるようになった…少し予定より早くなったが【はなし】と【賭け】を進めねば…