交渉
この頃は祖父の命令である注釈本及び書き下し本を書いているのだが、母の伝と教養習得為に織田家中よりそこそこの人材が集まった。それ故に、元の屋敷では手狭となり利便性を考え、しっかりとした事業所とするべきとした結果、清須城下にそこそこ大きい屋敷を父が受領し製作している。
「ははうえ、ざっき(雑記)する かみがもうありませぬ」
「そうなのですね。しかし、紙は高く貴重ですからね…どうしましょう」
「ははうえ、じぶんにかんがえがあります」
母に簡潔に説明と説得をして城下の油問屋の可田屋に赴いた。
「初にお目にかかります。可田屋当主の勘兵衛にございます。賢母と名高い近江の方様と神童・仙法師様にお会いでき光栄にございます。本日はどのようなご用向きで?」
中々の美丈夫だな…しかも鍛えられいる。武家商人と言うやつなのであろう。そもそも可田屋は美濃土田氏の縁戚であり勘兵衛の家はその分家であり、海東郡を拠点としている。
「この度はわらわではなく、仙法師がそなたに要件があり参ったのです」
そう言うと、勘兵衛は少し訝しそうに自分を見た。
「かんべいどの、こたびはつくってほしいものがあり まいった」
そう言うとますます困惑して聞いてきた
「はい…しかし、仙法師様。我ら油を商うだけであり、何かを作っているわけではございませぬ。此度の儀に関して何かお力になれることとは…」
「かんべいどの。とうとつですまぬが、ひゃくぶんはいっけんにしかずという。ろうそくをにほんしょもうしたい。ひとつはひをつけてもらいたい。」
そう言うと不思議がりながらもろうそくを用意してもらった。
「このろうそくを、われらがもってきた はりで…このようにけずるようにするともじをかけますな」
勘兵衛は真剣にじっと見ている
「そして、これをけそうとおもうならけずるか…このように溶かすかしたらもとにどるのだ。これのせいしつをりようすることで、ほんのようにしてもちはこび ざっきちょうにしたいのだ」
そう説明すると勘兵衛は冷徹な顔付きとなり獲物を見つけたかのような表情で蝋燭みながらおもむろに口を開いた。
「仙法師様、これは必ずや尾張だけでなく日ノ本中…若しくは海の外にも売れるやもしれませぬ。このようなお話を持って来ていただきありがたき幸せにごさいます」
よし!食いつきは相当よいな…ここからが本番だ。
「いや、かんべいどの…こたびはこれだけではないのです。ほかにもまだ、つくっていただきたい ぎがございます。ただ、その ぎをきいていただくまえにこうしょうとまえりましょう」
そう言うと自分も獲物を前に舌なめずりをするかのように勘兵衛を見つめながら交渉を始めるのであった。