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Recordless future  作者: 宮下龍美
第1章 探偵と殺人姫
16/182

家族の在り方 2

 地下水道での一件から夜が明けた。


 あの後、どうにかこうにか愛美と子狼を担いで事務所まで戻った織は、起きる気配のない狼を家で寝かせて、回復して来た愛美に夕飯を食べさせて一日を終えた。


 そして今日。狼の本格的な治療をするためにと桃を事務所に呼んだのだが。


「これまた、珍しい魔物を保護したね」

「珍しい?」

「たしかに、電気を纏う狼の魔物なんて聞いたことないわね」


 事務所のソファに移動させ、そこで眠ったままの狼を見て、桃はふむふむと観察する。

 狼というのは賢い動物だ。だからその魔物があれだけの高度な知能を持っていてもおかしくはない、と判断していた織と愛美だが、どうやらこの個体は多くいる狼型の魔物の中でも、更に珍しく強力な種らしい。

 おまけに体内には発電器官まで有している。あの電撃が異能ならばまだしも、種としてそのような力を持っているのだ。


「まあ、とりあえずは治療からだね。愛美ちゃんの概念強化じゃ、完全に治せるわけじゃないし」

「毒は抜けてるはずよ」

「外傷も消えてるな」

「それでも、体に蓄積されたダメージは残ってるはずだよ」


 狼の上に展開されるのは、シンプルな術式による魔法陣。復元の魔術でも初歩の初歩。しかし桃の魔力があれば、それはどんな名医よりも勝るものとなる。


 淡く優しい色の光が狼を包む。それは見ているだけの織すら、心が安らぐ光。他の誰かが同じ魔術を使っても、そうはならないだろう。桃の魔力と魔術の腕があるからこそだ。


 やがてその光が収まると、昨日から寝たきりだった狼の体がピクリと動いた。

 瞼が開かれ、ゆっくり体を起き上がらせる。事務所の中を見渡し、織たち三人を視認した後、目には警戒の色が宿った。


「落ち着いて。大丈夫、私たちはあなたの敵じゃないわ」


 穏やかな声で狼を諌める愛美だが、狼は警戒を解かない。グルル、と喉を鳴らして威嚇まで始める。

 恐らく、愛美の言葉は通じているだろう。あの親のように思念は飛ばせなくとも、あれだけの知能を持つ狼の子供なのだ。


「織、銃をそこに置きなさい。それと桃は一度事務所を出て」

「なんでわたしだけ!」

「どう考えてもあんたを一番警戒してるからよ」


 愛美が自分の短剣をテーブルの上に置いたのを見て、織もそれに倣った。桃は渋々と事務所の外に出る。

 この狼にも、桃が持つ尋常じゃない魔力は感じ取れていたのだろう。織の銃や愛美の短剣の存在も察知していた。目の前に武装した人間がいれば、警戒を解かないのも当然だ。


「私たちは、あなたの親からあなたのことを任されたの。急で戸惑うと思うけど、今日からはここがあなたの家よ」


 差し出された愛美の手に、狼が鼻を近づける。スンスンとその匂いを嗅ぎ、ペロリとひと舐め。どうやら、完全に警戒は解いたようだ。もしくは、匂いで愛美が嘘を言っていないのか判断したのかもしれない。


 顔を綻ばせた愛美が狼の頭を撫でれば、狼は気持ちよさそうに目を細める。第一段階はクリアらしい。


 ホッと胸を撫で下ろして織も狼を撫でようとすれば、吠えられた。


「グルルル……」

「なんで俺だけ!」


 しかも威嚇までされる始末。愛美には一瞬で懐いたのに、この差はなんなのか。


「ほら、落ち着きなさい。この男もあなたの味方だから」


 愛美が言葉をかければ、物凄く嫌そうにしながらも威嚇をやめる。随分と表情豊かというか、感情の分かりやすい狼だ。人間臭いとも言う。


「さて、次はあなたの名前を決めなきゃね」


 見たところ、この狼はオスだ。ならそれなりにカッコいい名前を付けてあげたい。ここでいい感じの名前を提案すれば、狼からの好感度も上がって撫でさせてもらえるかもしれない、なんて考える織である。


「名前、名前なぁ……フェンリルとか?」

「あんた、それマジで言ってる?」

「……冗談です」


 割とガッツリ愛美に睨まれたし、なんなら狼にも睨まれたのですぐさま取り消す織。結構ガチで考えたのに。


 フェンリルとは北欧神話に登場する狼だ。主神を屠ったとして有名だが、大体においてフェンリルは悪しき者として語られる。それに電気というよりは氷のイメージがある狼だ。

 この狼にはそぐわない。


「名前は大切だよー。いろんな意味でね」


 事務所の入り口から声が聞こえたかと思えば、外に出ていたはずの桃がいた。狼が再び威嚇しようとするが、愛美がそれを諌める。


「魔術的な意味での名前っていうのがどれだけ大切かは、織くんも知ってるでしょ?」

「まあ、一応な。てか桃、そこ俺の机」


 言いながら、桃は所長専用のデスクに腰掛ける。せめて椅子に座れと言いたいが、そんな織の心情も無視して桃は話を続ける。


「例えば、それぞれの魔術につけられる魔術名。織くんのチェインなんちゃらとか、愛美ちゃんのアサルトなんちゃらとか、そういうのだね。あれは魔術を魔術として定義づける上で必要なもの。魔術に意味を付与させて、力を発揮させる。つまり、名前を付けることによってより強力な魔術となる。一種の詠唱短略化でもあるね」


 名前とは、人間がなにかを識別する上で必要不可欠なものだ。魔術世界に限らず、現代社会においても同じである。

 この世界に存在しているものには全て、名前をつけられ意味を与えられる。


 逆に言えば、名前のつけられていないものは人間の認識出来ないものであり、意味のないものでもあるのだ。


「魔術を使う時になんか技名とか叫んでたらカッコいい、みたいな理由じゃないよ? 織くん、わかってる?」

「わ、分かってるし……」


 分かってはいるけど、ちょっとカッコつけてる節が無きにしも非ずな織。そういうのに憧れる年頃なのである。


「そうやって名前をつけられたものは、魔術世界においては現代社会以上に特別な意味を持つ。神話や伝説に登場する武器には、絶対名前がついてるでしょ? それは、その武器の力の象徴だから。人間それぞれの名前一つにしたってそう。偉人と同じ名前を付けることで、その力の一部を拝借したり、なんて事をしでかす魔術師だっているしね」

「そんなこと出来るのか……」

「それだけじゃないよ。織くんも知ってる、黒霧葵ちゃん。あの子の両親は『霧の魔術師』って呼ばれててね。文字通りの魔術を得意としてたの。名前と魔術の親和性故にね」


 たしか、あの二重人格の後輩の両親は事故で亡くなったのだったか。そのような二つ名で呼ばれていたということは、相当腕の立つ魔術師だったのだろう。


 ならば葵たちも同じ魔術が得意なのだろうか。気にはなるが、今は関係ないことだ。


「さて、それじゃあ織くん。魔物に名前を付ける。この事の意味は知ってるかな?」

「いや、そこまでは知らないな」

「じゃあヒント。人間が誰かに名前を付ける時っていうのは、どういう時?」


 どういう時と聞かれれば、そりゃ自分の子供が生まれる時とか、もしくはペットを飼い始める時とかだろう。

 と、そう考えて理解した。


「人間への隷属、か?」

「当たらずとも遠からずかな」

「隷属なんて酷いものじゃないわよ。本当に、人間がペットを飼うのと変わらないわ」


 狼をもふもふ撫でている愛美が口を開く。撫でている愛美も撫でられている狼も実に気持ちよさそうにしていて、羨ましさを感じずにはいられない。

 いや、この場合はどっちに対してそう思えばいいのかは微妙なところだけど。


 ともあれ愛美は、桃の長ったらしい講釈を一言で纏めてみせた。


「つまり、今日からこの子も、私たちの家族ってわけ」


 魔術的な意味がどうやらとか、そういうのは愛美にとってどうでもいい。全てはそこに集約される。

 親狼から託され、自分が救った命。愛美はもう、この狼の命に対して責任を持たなければいけない立場だ。


 優しい笑顔で言ってのける愛美を見て、やれやれと肩を竦める桃。彼女も、愛美が家族という言葉にどのような意味を持たせているのかくらい、理解している。


 だから愛美にはこれ以上なにも言わずに、織に対して注意事項とかの諸々を伝えた。


「一応説明しておくけどね。二人の感情論とかそういうのは関係なく、名付け親になるならその子は二人の所有物になる。魔術的な意味が付与されるの」

「使い魔ってやつか?」

「うん。使い魔ってやつだね」


 数こそ少ないが、魔物を使役している魔術師がいないわけではない。吸血鬼のような上位の種族が、血を分け与えて眷属にするのも似たようなものだ。


 使い魔は、意思を込めて名前を呼べば必ず主人のもとへやってくる。魔力の補給だって相互に出来るから、メリットはそれなりにある。

 にも関わらず、使い魔を持つ魔術師は少ない。それは魔術師の固定観念、魔物とは人に害を与えるものだ、というのがあるからなのだが。そもそも、人間に友好的な魔物が少ないのも原因だ。


「目に見えてその証が出来るわけじゃないけどね。でも、魔力のパスは繋がるよ」


 へー、と生返事を返す織。また一つ賢くなった。いかんせんそのあたりは、学院の講義でも教えてくれないのだ。先も述べた通り、魔物とは魔術師にとって敵であり、使い魔として使役する魔術師はごく少数派だから。


「よし、決めたわ」


 魔女の長ったらしい即興魔術講義が終わると、愛美が満足そうな声を上げた。


「今日からあなたの名前は、アーサーね」


 言った途端、淡い魔力が事務所内に広がった。それはやがて収束し、愛美と狼を繋ぐ一本の糸になる。

 なるほど、これが魔力パスか。狼がその名前を受け入れたのだろう。


「うん、いい名前なんじゃないかな。アーサー王から取ったんでしょ?」

「ええ。まんまその通りね」


 アーサーと名付けられた狼は、機嫌良さそうに愛美の手にスリスリと顔を擦り付けている。心なしか笑顔に見えないこともない。


 さっき桃が説明した通りなら、もしかしたらこの狼も、あのアーサー王の力を使えるようになったりして。


「んじゃ、これからよろしくなアーサー」


 撫でようとした織の手は、アーサーに叩かれてそっぽを向かれた。どうやら、織のことは気に入らないらしい。


 こんなのでこれから先やっていけるのか。早速心配になる織だった。

 俺だってもふもふしたいのに。



 ◆



 アーサーの治療も終わり、無事に名付けることも出来たというのに、桃はまだ帰らない様子だった。

 それどころか二階も見せてくれ、などという始末。それは愛美が断固として拒否したので、今は一階の事務所で仲良くティータイムだ。


「そうそう。ここに来るついでに、南雲から仕事取ってきたよ」

「あんたね、そういうのは早く言いなさいよ……」


 呆れたように言う愛美の足元では、アーサーが丸くなって眠っている。美人と狼の組み合わせはとても絵になっていた。


 さて、それよりも今は、桃が発した聞き逃せない単語だ。


「仕事ってどんなのだ?」

「いつもと似たようなの、って言っても、織くんには分からないよね。簡単に言えば、悪い魔術師を退治しに行こう、ってとこだよ」

「いつも通りね」


 なんだかんだで、話に聞いていただけだった。愛美が人間の命をその手で刈り取る様は一度見たとは言え、こんな軽い調子で命のやり取りを引き受けている。


 慣れたとは思っていたが、やはり織には重くのしかかってしまう。


「具体的には?」

「これまたシンプル。十人くらいの魔術師の集団を壊滅させるだけだよ。報酬は七十万ってとこかな」

「日付と場所は」

「今日、あの街で」


 愛美は再びのため息を我慢できなかった。話が急なのは、まあこの際目を瞑るとしよう。別に珍しくもない話だ。

 問題は、その場所である。


「なんともまあ、懲りないわね」

「また戻るのか……」


 織が生まれ育ったとある地方都市。あそこに、抑止力となる魔術師はもういない。

 織の両親は死んでしまったし、おそらくはルーサーとサーニャも引き上げているだろう。だからこそ穴場だとでも思っているのか。


 織としては、もうあの街に帰るつもりはなかった。あそこでやり残したことはない。帰ったとしても、それは全てが終わった後のことだと。


 だが、こうして仕事として舞い込んできた以上は、仕方のないことだ。そこに私情を挟み込むわけにもいかない。


「今すぐにってわけじゃないよ。夜になってから。それに、わたしも同行するし」

「うちの仕事として受理するんだから、あんたの報酬はなしよ」

「分かってるよー。そもそもわたし、別にお金が欲しいわけじゃないし」


 だろうな、と織は思う。この魔女が今更そんなものを欲しがるとは思わないし、そもそも既に十分持っているだろう。

 桃を突き動かすのは金なんてものじゃなく、あの吸血鬼への復讐心だけだ。


「それで、その魔術師連中はどんなやつらなんだ?」


 まずは情報が欲しい。数にしても、十人くらい、とはまた曖昧だ。愛美と桃がいればなんとかなるだろうとは言え、それでも前情報があれば仕事がかなり楽になる。


「いわゆるテロ組織的な感じかな。国に対するものじゃなくて、わたしたち学院に対する。これまでも、何度か学院の魔術師が襲われたことがあるんだって」

「つーことは、かなりの手練れってことか?」

「個々としてはそこまでじゃないかも。常に複数人で動いてるから、そのせいだろうね」


 学院に所属してる魔術師は、いずれも腕の立つ者ばかりだ。そんな彼らが襲われたとなれば、油断は出来ない。

 さすがに死者が出ていれば織の耳にも入ってくるだろうから、今のところは大きな被害はないようだが。


「で、そいつらが今はあの街に潜伏してるらしいことが分かったんだけど、問題が一つ」

「というと?」

「サーニャとルーサーは、恐らくまだあの街にいる」


 その言葉に驚きがなかったのは、織自身、どこかでそんな予感がしていたからだろうか。そして桃が同行すると言った理由も、恐らくそこだ。


 初めてあの廃墟で遭遇した時、ルーサーはサーニャを逃したと言っていた。実際、桃や愛美もあの場でサーニャの気配や魔力は感知したかったはずだ。


 しかし相手は吸血鬼。体を霧に変えることすら出来るとも言われている。ルーサーの言葉に嘘は見えなかったが、あの時あの場にいた可能性だってゼロではない。


「ルーサーが廃墟周りに張った結界。あれ、まだ消えてないんだよね。だから中の魔力反応を見ることは出来ない。でも逆に、そこから出てしまってさえいれば、どうとでもなるの」

「出た様子すらなかったってこと?」

「いや、そうじゃないんだけどね……」


 愛美の問いかけに、桃は言葉を濁してしまう。それどころか曖昧な笑みすらも浮かべている。桃自身、自分の行き着いた考えが理解できない、と言った様子だ。


「結界から出てる反応はあるんだ。でも、その度にあの廃墟に戻ってるみたいで」

「……え、あそこに住んでるのか?」

「嘘でしょ……」


 それが事実なら、織たちは今まで何度も空ぶっていたということになる。

 ルーサーの正体についてあれこれ考えて、やつらがどこに潜伏し直したのかも探って。だというのに、結局あの場から一歩も動いていないとは。


 とんでもない肩透かしを食らった気分だ。


 二人の痕跡を見つけるどころか、本人たちと出くわしてしまう可能性すらある。


「じゃあさ、もうルーサーが壊滅させてるってことはないか?」

「可能性としてはゼロじゃないかもね」

「向こうには織よりも強力な未来視があるんだから、その可能性の方が高いと思うわよ?」


 そう、そこなのだ。ルーサーには未来視がある。それも、織の持つものよりもよほど強い力だ。

 あの二人が本気で逃げに徹したなら、織たちは痕跡すらも見失ってしまうだろう。だが、その様子は今のところ見られない。


 それどころか、まるで自分たちの位置を桃に教えているようなものだ。

 ルーサーの正体については、ある程度の推察が出来た。現在地も殆ど特定できたと言っていい。

 しかし、その目的だけは全くの不明。


 一体あの二人は、何がしたいのか。なんのためにあの街に留まり、織たちになにも打ち明けないでいるのか。


「ここで考えすぎても仕方ない、か……」

「また空回りで終わっちゃいました、じゃ目も当てられないしね」


 なんにせよ、実際にあの街へ行って自分の目で確かめないことにはなにも分からない。


 とはいえ簡単に口を割るとも思えないから、まずはルーサーの仮面を剥ぎ取るところからだ。



 ◆



 夜。草木も眠る丑三つ時、とはよく言ったものだ。不気味な暗闇に覆われた街の路地裏には、生命の息吹を微塵も感じられない。


 生まれ故郷に再び降り立った織は、愛美と桃の二人とは別行動だった。

 ただし、臨時のパートナーがあてがわれている。


「よろしくな、アーサー」


 隣について歩く白い狼へと一言投げかければ、やはりソッポを向かれてしまった。こんな調子で大丈夫なのだろうか。


 アーサーは今日、怪我が完治したばかりだ。だから織も愛美も留守番を任せるつもりだったのだが、アーサー自身が付いて来たがっていたので仕方なく。


 この街に来てから桃が再び精密に探査を行ったところ、相手は十二人。三グループに分かれていたらしい。織たちも手分けすることになったのだが、そうなると織自身の実力に一抹の不安が残る。

 ということで、アーサーは愛美の言いつけに従って、織を守るために嫌々同行しているのだった。


「ったく、俺の何が気に入らないかね」


 こいつもオスだし、まさか愛美に惚れてるだなんてことはあるまいな。

 いやいや、アーサーは魔物で、狼だ。まさかそんな、あるはずがない。

 ご主人様に悪い虫がつかないように、とか言われた方が納得できる。


 まあ、アーサーを命の危機から救ったのは愛美だ。この狼もそのことを理解していて、だからこそ愛美には懐いているのかもしれないけれど。


 しばらく路地裏を歩いていると、桃に教えてもらったポイントの近くまで辿り着いた。慎重に息を殺して歩き続ければ、やがて人の気配が。

 話し声も聞こえてくる。


「他のグループから連絡は?」

「まだだ。そろそろ規定の位置についてもおかしくない頃合いだと思うが……」

「まさか、学院に勘付かれたか?」

「落ち着けよ、諸君。まだそうと決まったわけじゃなかろう」


 数は四。桃が探知した通り。地面には大きな魔法陣が描かれている。

 そのうち三人は、その表情に焦りの色を見せている。他のグループから連絡がない、ということは、愛美と桃は上手くやっているのだろう。


 だが、ただ一人だけ。明らかに異質な雰囲気を纏うやつがいた。

 焦る三人に比べれば随分と落ち着いている。地面の魔法陣へと視線を落として、仲間の安否など気にする素振りすら見せない。


 傍らに控えているアーサーは、明らかにその男に向けて威嚇していた。声は出していないものの、鋭い視線で睨みつけている。


「待てよアーサー。まだだ、まだ待て……」


 織の指示を聞いてくれているのか、それとも自分で判断しているのか、アーサーは今にも飛びかかりそうではあるものの、動かずに待機してくれている。


 さて、どうするべきか。

 焦っている三人は、織とアーサーだけでもどうにでもなる。だが、問題はあの男だ。


 灰色の髪の男。

 直感でわかる。やつは強い。織よりも、もしかしたら愛美よりも。桃と同じか、それ以上。


 それが分かってしまうほどに、やつの纏う雰囲気が異質だった。


 この街全体を探知した桃からは、こんな報告聞いていない。魔力を隠している? たしかに、雰囲気こそ異質だが、おかしな魔力は感じられない。だがどうやって?


「いや、言い訳してる場合じゃないか……」


 愛美と桃は上手くやってくれている。自分だけ仕事を果たさないわけにはいかない。

 弱腰になる自分に喝を入れて、織は術式の構成を始めた。


 まずはあの魔法陣だ。なにをしでかすつもりなのかは知らないが、どうせ良からぬことを企んでいるのだろう。


「アーサー、まずはあの三人からだ。奥の男には手を出すなよ」


 コクリと頷いた狼を見て、魔法陣を展開させる。同時に、アーサーが飛び出した。


「な、なんだっ⁉︎」

「魔物だ!」

「くそッ、こんな時に!」


 突然現れた狼に混乱する三人の魔術師。しかし、アーサーにそんなこと関係ない。一番近くにいた魔術師へと襲いかかり、その首に牙を突き立てる。


 まずは呆気なく一人片付けた。残りの二人がアーサーへと攻撃を放つが、それは織の張った防御陣に阻まれる。


「そいつだけじゃないぜ」

「学院の魔術師かッ……!」


 苦々しく吐き捨てる魔術師へ向けて、アーサーの電撃が放たれた。防御する暇すら与えず、二人目が電撃に焼かれる。


 そして魔導収束を発動させた織が、地面に広がる魔法陣を瓦解させた。


「貴様!」

「おっと危ない!」


 懐からナイフを取り出した残りの一人が肉薄してくるが、動きが遅い。蒼に刀で追い回された時のことを考えれば、こんなもの遅すぎるくらいだ。


 身を翻して容易く躱し、織が反撃するよりも早くアーサーが喉元を噛みちぎった。


 結局アーサーが三人ともにトドメを刺してしまい、織自身が手にかけることはなかった。そのことにホッとする自分がいるが、そんな場合ではない。


「……仲間がやられたってのに、随分と余裕かましてるんだな」


 残った一人。灰色の髪の男は、余裕綽々な笑みを浮かべて戦闘を見るだけだった。

 常にこちらも警戒していたとはいえ、まさかなにも手出ししてこないとは。


「仲間? ハハハッ、それらはそんなものではない。ただ少し、利用していただけさ」

「利用? お前はこいつらの一味じゃないのか?」

「まさか。徒党を組まなければ学院の犬一匹も狩れない、こんな三流以下の魔術師と一緒にしてもらっては困る。ただ、彼らは餌にするには丁度良かったものでね」


 ホルスターに入れたままの銃に手をかける。

 こうして正面から向き合って、ようやくわかった。


 こいつはマズイ。逃げなければ殺される。


 織の直感は正しかったことになる。織や愛美どころか、桃よりも強い。ともすれば、人類最強の男に届くほど。


「アーサー、愛美と桃を呼んできてくれ」


 狼の判断は早かった。言われるや否や、強靭な四肢を使い路地裏を駆けていく。

 織を見捨てたわけではない。あの二人を呼ばなければならないことくらい、アーサーにも理解出来ていた。


 アーサーにとって織は気に入らない相手かもしれないが、それでも主人の大切な人であるのは事実だ。そんな人間を見捨てるようなことはしない。


「おや、いいのか? あの魔物は君よりも強いだろう」

「もっと強いやつ呼んでくるから問題ないんだよ」

「ふむ、なら一度退いた方が賢明だろうか」

「バカ言え、逃すと思うか?」


 そもそも、逃げるつもりなんてないくせに。

 全身に吹き出す嫌な汗と緊張感を押し殺し、必死に強がる織。相手から見ればさぞや滑稽に移っているだろう。


 だが、織の方こそ逃げるつもりはない。せめてこいつが何者なのかだけでも聞き出さなければ。


「少年、勇気と無謀は違うものだ。その判断を誤れば、容易に命を散らすことになるぞ?」


 その言葉を聞いた、次の瞬間だった。


「なッ──」


 織の体は、ビルの壁まで吹き飛ばされていた。なにが起こったのか分からない。ただ、全身に走る痛みと頭から流れる血の感触だけが、自分が攻撃されたのだと理解させる。


 骨は折れていない。背中を強く打っただけだ。立ち上がれる。


 立ち上がって、どうする?


 今の攻撃一つ見切れなかったのだ。俺程度が立ち上がって、どうにかなる相手なのか?

 このまま殺されるのがオチなんじゃないか?


 恐怖が這い上がり、全身を支配する。体が動かない。足に力が入らない。


「本命はかからなかったが、まあ良い。あの探偵の息子ならば、ここで殺しておかねばな」

「お、前……」


 まさか。そう思った頃には、男の前に展開された魔法陣から光が漏れていた。

 溢れ出る異常な魔力は、織も知っているものだ。あの日の夜に、ルーサーと共闘した時に、魔物から感じたもの。どうして今頃気付いたのか。


 あれを食らったらマズイ。本当に殺される。どうにか魔導収束の術式を構成しようと足掻くが、いつものように構成出来ない。


「では、さらばだ。両親と同じところへ送ってやる」


 放たれるのは、たしかな殺意が込められた光の奔流。織だけではない。その後ろにあるビル群も、全てを破壊し尽くすだろう。


 しかし。


 死を覚悟した織の目前に現れた銀色の炎が、その光を遮った。



 ◆



 廃墟の僅かな灯りは、夜の暗闇には心もとない。深夜二時を過ぎている今では、すぐ目の前にいる相手の顔すら曖昧だ。


 織が死にそうな状況から、時間は少し遡る。


 その日、ルーサーはいつものように廃墟でハンバーガーを食べていた。もちろんサーニャに買ってきてもらったものだ。自分は街を出歩けないから、いつも代わりに食料を買ってきてもらう。


 今日は大きなベーコンとチーズが入ったハンバーガーだ。挟む具材によって味が変わるのは面白いし、なによりどれも美味しい。


「よくもまあ、飽きずに同じものばかり食べるな」

「同じじゃありませんが。そもそもこれ、サーニャさんが選んできたものじゃないですか」

「ハンバーガーなんてどれも似たようなものだろう。些細な違いしかない。それこそ、個人の好みによって変わる」

「つまり、サーニャさんはこのハンバーガーが好きなんですか? 食べます?」

「いらん」


 吸血鬼に人間と同じ食事は必要ない。何度言えばこの少女は理解してくれるのだろうか。

 それとも、未来の自分は人間と同じような食事をしていたのか。


 サーニャとてかつては人間だった。故に嗜好の一つとして人間と同じ食事をすることはあれど、ハンバーガーが特に好きなわけではない。サーニャが好きなのは日本料理だ。断じてこんなジャンクフードではない。


 今度は寿司でも買ってきてやるか、と考えてみる。当然、この少女は食べたことも見たこともないだろう。

 なら、少し高いやつを買ってやってもいいかもしれない。


 年相応の子供と変わらぬ、幼い笑顔。ルーサーとしての仮面を脱ぎ去った朱音は、いつもそんな表情でなにかを食べている。

 人並みの人情があるのなら、もっといいものを食べさせてやりたいと思うだろうし、サーニャはそこまで人間を捨てたわけでもなかった。


 そんな笑顔を浮かべていた朱音の顔が、真剣なものへと変わる。目を細め、どこか遠い場所を睨んでいた。


「虫が入り込んで来たみたいですね」

「だな。それに、この魔力は……」


 サーニャも感じられる。人間の魔術師が十一人と、人間ではない反応が一人。


「どうやら、上手くおびき寄せられたみたいです」

「ついに来たか」


 ルーサーが派手に動けば、やつとて黙って見ていないとは思っていたが。まさか、こんなにも早くやって来るとは。


 先日、ルーサーが桐生織と共闘した際、吸血鬼グレイの眷属が相手だった。それは当然のように、グレイ側にも伝わっているだろう。

 そして向こうからすれば、ルーサーは予想外の闖入者に違いない。


「ようやく姿を現したな、グレイ」


 友の仇であるその名を呼ぶ。

 霧の魔術師と呼ばれた二人も、探偵の二人も、人間とは言えサーニャの友人であることに変わりはなかった。

 あろうことか、友人を殺した冤罪まで着せられたのだ。長く敵対して来た関係ではあるが、今回ばかりはサーニャとて許すつもりはない。


「可能なら、ここで仕留めたいですが。出来そうですか?」

「無理だとは言わんが、難しいだろうな。やつの異能は厄介極まりない。あれのおかげで、これまで何度取り逃がしたことか」


 グレイの異能は、物質創造。

 分かっているのはそれだけだ。その異能でどこまでのものを作れるのか、どれだけの量を作れるのかも定かではない。


 だが、今はかつてとは違う。サーニャには心強い味方がいる。


「……マズイことになりましたね」

「どうした?」


 苦々しく呟く朱音の瞳は、橙色に輝いていた。彼女の持つ異能。その一つである未来視が発動している証拠だ。


 つまり、朱音はなにかしら悪い未来を見たと言うことになる。


「父さんたちが、この街に来ます」

「急ぐぞ。ただし、転移は使わない。魔力は温存しておけ。やつらを殺させないのが最優先だ」

「はい」


 朱音が仮面を被り、二人は廃墟から飛び出して街へと向った。



 ◆



 織の目前に広がった、銀色の炎。

 見覚えのある炎だ。だから、そこから出て来た二人を見ても、さしたる驚きはなかった。


 それでも、だ。


 その長い銀髪を見て、織の胸には、多少の動揺があった。

 あの日見た未来と、今見ている現実。それが、あまりにも矛盾を孕んでいるから。


「おやおや、これは懐かしい顔を見た。何十年ぶりだ、サーニャ?」

「黙れ。貴様と会話に興じるつもりなどない」


 銀髪の女、サーニャが吐き捨てると同時、灰色の男に氷の刃が殺到する。魔力は感じられなかった。つまり、これが彼女の異能だ。


 しかし凶刃が男に届くことはなく、突然その場に現れた壁に防がれる。これも、魔力を介していない。

 異能と異能のぶつかり合い。魔術よりもよほど強大な力を持つとされるそれらが、こんな狭い場所で十全に発揮されている。


「大丈夫ですか?」


 氷で出来た剣を持ったサーニャと、同じく異能によって作り出したのであろう槍を持った男が激突したのを横目で見ながら、織は差し出された手を取った。


 ルーサーだ。相変わらず仮面をつけているから表情は読めないが、こちらを気遣って心配してくれていることは分かる。


「悪い、助かった」

「いえ、なんとか間に合って良かったですが。とにかく、ここから逃げてください」


 織が問題なく立ち上がったのを確認して、ルーサーは懐から短剣と銃を取り出す。

 織と同じ銃。愛美と同じ短剣だ。いよいよ、ルーサーの正体が見えてきたかもしれない。

 それは桃の推察通りではなく、織の予感通りではあるのだが。


 だからこそ、織はこの場から逃げることを良しとしなかった。


「それは聞けないな。俺には、この場にいてもいい権利があるはずだ」

「……あの男が何者か、分かっているのですか?」

「吸血鬼グレイ。桃が二百年追い続け、俺の両親を殺したやつだ」


 我ながらどうかと思う。さっきまで恐怖で足が竦んでいたのに。今だって、やつに立ち向かう勇気があるわけでもないのに。


 それでも、織は逃げない。逃げたくない。


「そう、でしたね。桐生織とは、そう言う人間でした……」

「は? おい、それってどういう……」

「いいですか、ここから動かず、ジッとしていてください。じゃないと、すぐに死にますから」

「あ、おい! 待てよ!」


 小さく漏らした呟きは、果たしてどのような意味があったのか。織の制止も聞かず、ルーサーは戦闘へと乱入した。


 今すぐにでも言葉の意味を問いただしたいが、ルーサーの言う通り、あそこに織が加わればすぐに殺されるだろう。


 歯がゆいが、見守るしかない。


「貴様がルーサーか! 私の眷属を随分と可愛がってくれたようだな!」

「無理矢理魔物に血を飲ませただけでしょう。眷属だなんて、よく言いましたね」


 サーニャと入れ替わり前に出たルーサーの短剣が、グレイの首筋目掛けて振るわれる。それを槍で防ごうとするが、無駄だ。ルーサーの持つ異能の前では、あらゆる防御が意味を持たない。


 短剣は槍を真っ二つに斬り裂き、勢いそのままにグレイの首を斬る。

 頭が飛び、鮮血が吹き出す。それでも、二人は臨戦態勢のままだ。


 グロテスクな音と動きで、グレイの首が再生される。織は思わず目を覆ってしまった。


「ほう? 中々に面白い異能を使う」

「やはり、首を飛ばしただけでは死にませんか」

「吸血鬼の再生能力を舐めるなよ。やつを殺すには、太陽の光しかない。それ以外の弱点は全て克服している」


 太陽が昇るまで、まだ三時間以上はある。まさか二人は、それまでグレイの相手をするつもりだろうか。


 いや、二人がそのつもりでも、グレイにそこまで付き合ってやる義理はないはずだ。


「再生するにしても、魔力を使うはずですが」

「なら再生出来なくなるまで斬り続けるか?」

「いえ、魔力を奪った方が早いです」


 ルーサーが術式を構成し、魔法陣を展開させる。そこから射出される鎖は、織も以前その目で見て、自身も実際に活用したもの。魔導収束の鎖だ。


 当然グレイは躱そうとするが、鎖はどこまでも標的を追い続ける。


「珍しい術だが、使い手がこの程度ではな」

「チッ……」


 グレイの放った魔力弾に弾き落とされる鎖。間断なくサーニャが斬り込むが、瞬時に作り出した槍で容易く迎撃される。


 だが、おかしい。グレイの魔力は異常なほどの量と質であり、さきほどの魔力弾もたしかに強力なものだった。

 しかし、ルーサーには賢者の石があるはずだ。それを活用すれば、グレイの魔力に負けるはずがない。


 なんらかの理由で使わないのか、もしくは使えないのか。


「未来から来たからどの程度か気になっていたが、まさかこれで終わりではあるまい?」

「我を無視するとは、随分と余裕だな!」


 音を超える速度で、何度も交錯する二人の吸血鬼。一度大きく退がるグレイへと、サーニャが展開した氷の刃が放たれるが、灰色の吸血鬼は体を霧へと変えて消えてしまった。


「ルーサーとやらの力も確かめられたし、この場に留まる理由はない。私は失礼させてもらうよ。ではサーニャ、またどこかで会おう」

「待て!」


 叫ぶサーニャに構わず、吸血鬼の気配は完全に消えてしまう。

 結局見ていることしかできず、なにも聞けることなく逃げられた。だが、織にとっては命があるだけでも十分だ。


 それより、今は改めて二人に礼を言わなければ。グレイの気配も魔力も、完全にこの場から消えている。


 だから、三人とも完全に油断していた。

 織のみならず、サーニャとルーサーの二人も。一先ずの難は去ったとばかり。


「……ッ! ルーサー、下がれ!」


 最初に気がついたのは、サーニャだった。

 音もなく突然現れたのは、漆黒の髪を靡かせた殺人姫。その短剣が、ルーサーの顔目掛けて逆袈裟に振るわれる。


 咄嗟に反応して同じ短剣で防ごうとするが、遅い。同じ体術を使うルーサー自身が、一番理解している。

 先手をあちらに取られた時点で、既に手遅れなのだと。


()った……!」


 しかし、僅かでも反応できたのは救いだったのだろう。刃は直撃せず、被っていた仮面を斬り、フードが脱げる程度に留まった。


 織の方へと下がってくる愛美は、まだ警戒を解かない。


「まて愛美! あいつらは今は敵じゃない!」

「は?」


 どうやら、とんでもない誤解をしているみたいだ。愛美とルーサーの間に入る織は、事の経緯を愛美に説明する。


 吸血鬼グレイが現れたこと。サーニャとルーサーの二人が助けてくれたこと。グレイはついさっき逃げたこと。

 だがそれでも、愛美は依然として刃を収めない。


「だからって、ここであいつらまで逃すわけにはいかないでしょ」

「いやお前、さっき本気で殺す気だったろ!」

「殺すつもりでいかないと逃げられるでしょ」

「そりゃそうかもだけど……!」

「その人の判断は正しいですよ」


 二人の会話に乱入して来たのは、まだ年若い少女の声だ。

 聞いた事のない声。しかしそれがルーサーのものだと分かったのは、口調が同じだからだろうか。


 織が振り返れば、ルーサーは真っ二つになった仮面を手で抑えていた。脱げたフードから露わになっていたのは、長い黒髪。


「良いのか?」

「ええ。遅かれ早かれ、ですから。それに、こうしてグレイと遭遇してしまった以上、隠していても仕方ありません」


 仮面を取り、その素顔が晒される。

 織はある程度覚悟していたが、愛美は絶句している。

 その顔は、愛美と瓜二つと言っても差し支えないほどに似ていて。しかし、違う。似ているだけだ。断じて同一人物などではない。


「あなた、何者なの……?」


 絞り出したような声で問いかける愛美に、ルーサーは、今にも泣き出しそうな笑顔を浮かべて答えた。


「未来から来た、あなたたちの娘です。って言ったら、信じてくれますか?」

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