第二章 第一村人発見!!
再び物置小屋から外へ出た。
先ほどの十本足ネズミはいなくなっている。
ネズミの食べかけの林檎を見ると、表面は青色に黄色の斑点だが実の中は茶色くドロドロしていた。
「‥うわぁ、喰いたくねぇ‥」
見るだけで空腹が収まりそうだ。
もっと他に食べれそうな植物があるかなと探してみると、オレンジ色のイチゴらしき植物を見つけた。
少し刺激臭がするが、これなら食べれそうか?
はい、無理。
少し舐めてみたら舌が痺れるのなんのって。
幸い痺れは5分程度で治まった。
以前テレビで果汁を腕に付けてしばらく様子見するってのを見たことあるから、謎のイチゴ果汁で試したんだけどね。
痺れ以外は無害なのか、俺の皮膚が強いのかは解らない。
ああ、こんな事ならディスカバリーチャンネルの男vs野性を詳しく観ておくべきだった。
実は水はわりと早くから発見していた。
物置小屋の裏手にチョロチョロと手のひら位の太さの細い川を見つけたからだ。
上流に行けばまともな川があると思ったんだが、細い川の上流は濁って臭い沼があるだけだった。
沼に流れ込む川が無い所を見ると、沼底にわき水が存在しているみたいだ。
沼には米粒みたいな小さい虫が集っている。
臭いと虫のビジュアル面で飲むのを躊躇うが、煮沸かろ過すればイケる気がした。
器が欲しい。
できれば火にかけられる鍋が良い。
そこで物置小屋を詳しく物色したところ、毛布の影に昨日まで飲んでたペットボトルを見つけた。
中の水はすでに空っぽだが、ペットボトルは使える。
ペットボトルに布団を千切った布と細かい砂利と砂と小石で簡易的なろ過機を作ってみた。
本当は墨が必用だが火起こしが難しそうなので、そのうち考える事にする。
いや解ってるんだ。
コンセントが生きてるならプラグとケーブルで電気を使えば枯れ葉に点火可能なのだろう。
だが、スマホの充電ケーブルを着火に使ってしまうと、スマホに充電が出来なくなってしまう。
唯一の現世との繋がりであるメルクマにアクセス出来なくなるのは避けたいのだ。
数時間後‥
「腹痛い‥」
はい無理!俺この世界で生きるのに向いてないわ。
飲み食い無しの絶食三日目に突入した。
予定なら注文したインスタントラーメンが本日発送されるはずだ。
そう思った矢先、例のシャラーンという着信音が鳴った。
【冬馬様、先ほど郵便局から発送しました。商品到着までしばしお待ち下さい。】
異世界に郵便局員が来るんかい!と突っ込みを入れたい所だが空腹でちからが出ない。
物置小屋の布団の中で餓死待ちをしていた時、物置小屋にあるはずの無い呼び鈴が鳴った。
最後の気力を振り絞りつつ入り口を開けると見覚えのある格好をした男が立っていた。
「えーっと冬馬さんですね。メルクマからゆうパックです。」
現実世界で時々見かける普通の郵便配達員だった。
配達員に言われるままサインをすると、郵便配達員は「それじゃどうも!」と帰ろうとするので思わず声をかけた。
「あの、よくこんなジャングルみたいな所まで来れましたね。」
「ジャングル?ここは○○荘の2号室ですよね。ああ、コンクリートジャングルって意味ですか?まだ配達残ってるので失礼します。」
と配達員が言った途端、配達員の姿が消えてしまった。
俺は空腹の限界だ。
小包を破る様に開けると‥あった!インスタントラーメンだ。
俺はインスタントラーメンを生のままかぶりついた。
うまい!!胃に染みるとはこの事だ。
スープは面に直接ふりかけた。
ベビースターラーメンみたいでいける。
やがて腹が満ちて来た。
腹が満ちたので、少し情報整理をしよう。
配達員の言ってた○○荘2号室とは、俺の現世の部屋番号だ。
郵便局員には、この物置小屋が俺の部屋に見えていた様子だ。
俺が現世に戻ったというよりは、この部屋に荷物を届けに来た時だけ郵便配達員が現れるってのが正解じゃないのか。
今後色々と試せば、攻略の糸口が見えて‥‥
じゃねぇよ!!
メルクマの最低価額は送料込みで300円からだ。
残金500の俺は次の注文がラストチャンスになる。
何か出品すれば良いのだが、こんな異世界ジャングルで何を出品すればいいんだよ。