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第一章

【この物語は一人称で展開します。】

さて、どこから話したら良いものだろうか。

とある朝に目覚めたら知らない天井が広がっていた。


「知らない天井だ・・」と独り言を呟いてみる。

一人暮らしの俺は誰が聞いてる訳でもないのだが、この前たまたまだが二週間誰とも会話しなかった機会があり、久し振りにコンビニへ買い物に出掛けると、頭で描いた言葉が出ないでやんの。

人間たまに声を出さないととっさに出なくなるものなんだな。


シャラーン!


この音はスマホの受信音だ。

いつもの定位置である枕元のスマホ置き場に手を伸ばしてみると‥


「‥あ?」


あれ?どこいったと喋ろうとしたのだが、最初の一文字しか発音出来なかった。

だが、まあいいさ。

声が出なくても別に生活に困る訳じゃない。

そんな事よりスマホだ。

確かに着信音が鳴ったのだから近くにあるはずだ。


寝馴れた万年床から這い出してみると、ここが自分部屋では無い事が良く判った。

テレビやゲーム機が無い。

間取りが違う、と言うかどう見ても物置小屋だ。

壁が板張りで良く見れば隙間から外の風景すら見える。

外の風景も見慣れた町じゃなくて森の中らしい。


スマホは‥あった。

いつもの定位置の反対側だった。

すらに刺さりっぱなしの充電器も健在みたいだ。

壁のコンセントに繋がっている。

充電中のマークとダイオードが発光しているので、ちゃんと通電している様子。


ただスマホのホーム画面がおかしい。

いつも遊んでるソーシャルゲームや天気予報やニュースのリンクが消えている。

唯一残っているアプリは俺の収入源であるフリーマーケットアプリである【メルクマ】だけだ。


ためしにメルクマを起動するといつもの熊のゆるキャラが表示されているホーム画面が表示された。

出品中だったゲームソフトが三件売れているけど、この状況でどうやって発送すれば良いのだろうか。

俺が寝ている間に物置小屋に拉致られたのが一番加納が高そうだ。


拉致という単語が思い浮かんだので、近くに犯人が居るんじゃないかと急に恐くなった。


シャラーン!


メルクマからのシステムメッセージだ。

また何かが売れたのだろうか?


メッセージボックスを開いてみると運営からのお知らせだった。

【はいはーい、冬馬くんこんにちは!

いきなりで驚いたかと思うけど、冬馬くんってば部屋で孤独死しちゃったのよね。

テクニカルサポートとして異世界に転生させました。

チャンスは一度だけよ。

もう一度死ぬとサポート出来なくて正式に死亡となります。

今後ともメルクマをよろしくお願いします。】


異世界?孤独死?んなベタな‥


シャラーン!

再びシステムメッセージが現れた。

【冬馬様、商品が無事に届きました。

こんな素早い発送ありがとうございました。】


先ほどの売れたゲームソフト三件が到着済みになっていた。

俺は送った覚えが無い。

残高を調べると1480クマペイと表示されている。


「って!俺の50万クマペイが消えてるじゃねぇかよ!!」

あまりに驚いたので声が出た。


クマペイはメルクマ内の電子マネーで、必用な時は指定口座に1クマ1円で振り込まれる仕組みだ。


シャラーン!!

【テクニカルサポートです。

冬馬くんの50万クマペイは転生サービスにより消費されました。

今後ともメルクマをよろしくお願いします】


「マヂかよ‥」

正直、現実味の無い転生だの転移だの孤独死より

目に見える数字であるコツコツ貯めていた50万の喪失の方がショックがデカい。


ショックのせいかお腹が空いてきた。

物置小屋には食べ物らしき物は見当たらない。

ならば外に出てみるしか無い。


俺は物置小屋のドアを開けて外へと出る事に決めたのであった。



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