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奉仕

「どうしてこうなった・・・。」

照り付ける日差しの中,栄太は汗だくになりながらドブさらいをしていた。

「あの大臣,絶対性格悪いだろ!」と悪態をつきながら,大広間での出来事思い出しながら作業をする。


~1週間前 大広間にて~

「ハセガワの処遇を言い渡す。」

(俺は内心ビクビクしながら聞いていた。このまま処刑されてしまったらどうしよう。あの兵士が言っていたように処刑されてしまうのか?俺の人生これでお終いか?)


大臣は俺の様子を見ながら,気味の悪い笑みをこぼしながら話す。

「今回捕らえたエイタ・ハセガワはセントラルの国民ではなく,言動にも不審な点が多いため,そのまま無罪で釈放するには危険な可能性が高いと考えられる。また・・・」

(話が長い。このまま生殺しの状態は精神衛生上良くない。いっそのこと結論をスパッと言ってもらった方が気が楽だ。)と不安を募らせながら,頭の中で考え込んでいると,

大臣はニヤッと気味の悪い笑みをこぼしながらこちらを見ながら言った。

「・・・。以上のことを考慮したうえで,ハセガワを一か月間の奉仕活動の刑に処す。」


「・・・・・・はっ?」

俺はその言葉聞いて,呆然とした。

(えっ?奉仕活動!?どういうことだ!?危険な人物なんだろ?兵士が言ってた処刑はどういうこと?)

困惑しているのをよそに,大臣はそのまま続けた。

「奉仕活動をするとしてもそのまま逃げられると面倒な為,作業の様子を監視させようと思っているのだが・・・。」と大臣は,チラッと隊長と呼ばれていた,ナイスミドルの騎士に目を向けた。

「騎士隊長ハワード,騎士隊から監視をする人材を出してほしいのだが,誰が適任だろうか?」


騎士隊長ハワードは表情を変えずに答える。

「それであれば,我が隊の副隊長であるアレンが適任かと。」

騎士隊長は,歴戦の猛者であるように,筋肉質であり,オーラが他の兵士と段違いだと思った。

その隊長が指名する人物だから,恐らくガチムチで,如何にも強いおっさんが監視につくのだろうと想像していたのだが,予想は大きく違っていた。


「分かりました。この任務全う致します。」と答えた人物を見て,驚愕した。

答えた人物は20歳ぐらいの赤髪の好青年だった。その人物は栄太が森の中でも声をかけてくれた気さくな人物であった。


「・・・な,なんだと。」

栄太は驚きを隠せず,声に出していた。



そんなことが王宮であり,今はドブさらいをしている。

この仕事も一週間しているため,多少は慣れてきたのだが,気分は上がらない。


「エイタさん。お仕事の方は順調ですか?」とアレンが笑顔で話しかけてくる。

「エイタさんのお陰で街中の水路は非常に綺麗になりましたよ。住民からも助かったという声も多いですよ。」と屈託のない笑顔で話すため,こちらとしても悪い気分ではないが,

「それにしても,大広間でのエイタさんの表情は良かったですね。あの呆然とした顔。予想外すぎて頭がついていってない表情は最高でした。」

アレンは好青年なのだが,少し性格に難があるようだった。

話をする分には,人懐っこく,表情も豊かな為話していて苦にならないのだが,人が困っている表情が好きな変わり者のため,少し距離を置いている。


「今日で,水路の掃除も終わりですので,明日から外壁の草むしりですかね?それとも,王宮の窓掃除が良いですか?」と笑顔で言う。

「たまらないな・・・。」とため息交じりで栄太が言うと,

「奉仕活動ですので,人がしたくない仕事をお願いするに決まっているじゃないですか。」と目を輝かせながらアレンは言った。

「奉仕活動はそういうものですけど,かなり大変ですよ。周りの人からは好奇の目で見られますし,気持ちのいいものではないですよ。」と栄太が答えると,

「そうですね。エイタさんは黒髪なので目立ちますね。」


この国では,周りの人は茶髪の人が多く,黒髪は珍しいようだった。

後は,毎日騎士に連れられて掃除をしているため,気になっている人が多いのも事実であった。


「アレンさん,この奉仕活動が終わった後はどうなるのですか?」と素朴な疑問をアレンに投げかける。

「エイタさんの場合は,元々この国の民ではないので,国民として衣食住を確保してもらいうために,仕事をしてもらうようになります。希望があれば,その職に就くことができるかもしれないですし,我々としては冒険者みたいな危険な仕事ではなく,安全な仕事に就いてほしいと考えています。故郷ではどのようなお仕事をされていたのですか?」

アレンからの質問に栄太は少し困った。

栄太の日本での職業は、こちらでは馴染みのない仕事の可能性が高いのと,その仕事はセントラルにとって問題を抱えてしまう可能性があるためだった。


「自分がしていた仕事はやりがいのある仕事でしたよ。」とその場はテキトーに誤魔化した。


もし,日本でしていた仕事ができるのであれば,この世界でも前向きに頑張れるのではないかと思いつつ,この奉仕活動が終わったら,無理を承知で言ってみようと考えながら,ドブを綺麗にするのであった。

2話と最初の言葉が一緒になってしまいました。

次回は栄太の就職活動です。

早めに更新できるように頑張りたいと思います。

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