予想外の出来事
「どうしてこうなった・・・。」
俺は,溜め息交じりにつぶやいた。
現在,栄太がいるのは地下にある王宮の牢屋。
保護してもらえたのは良かったが,その後に,職務質問をされ怪しいと感じたのか牢屋で様子を見るとのことだった。
「ここがどこなのかさっぱり分からん。」
そう言いながら,辺りを見回しても特に目立つものもなく,ただ悪戯に時間だけが過ぎていった。
「確かに服装も,此処の人たちと違うし,国の名前もよく分からないし,ビルだの車だの言っても意味不明としか思われないよな・・・。」
「分かっていることは,この世界の名前が『フェリア』で,今いる場所が最大の街の『エスクード』というぐらいか。」
「言葉も日本語ではないみたいだし,よく分からない場所にいるみたいだな。」
海外に行ったこともないから,どういう状態なのかも分からない。
法律がどのようなものがあって,どういう処罰になるのかも分からない。
正直お手上げ状態だ。
「しかも,この牢屋夜には隙間風が吹いて寒いから眠ることもなかなかできないしな。」
とぼやいていると,衛兵が来て,牢屋の扉を開けた。
「ハセガワ出ろ。お前の処遇が決まったぞ。」
内心焦りながら,顔に出してしまってはダメだと思い,無表情で立ち上がり牢屋を出た。
牢屋からの道中,衛兵が独り言のように呟いた。
「こんな不審な者は,処刑してしまえばいいのに。」
背中に冷や汗が流れた。この国の文化では処刑することは日常茶飯事なことなのか・・・。
足取りが重くなる。息苦しさを感じる。
このまま俺はついて行ってもいいのだろうか。もしかすると,本当に処刑されるのでは?
頭の中がごちゃごちゃになる。
こんな知らない土地で俺の人生は終わってしまうのか。
そうこうしているうちに大きな広間に着いた。
奥には玉座があり,玉座までは赤い絨毯,その絨毯を挟むように兵士が1列で整列している。
俺は玉座の前に正座で座らされた。
玉座のすぐ近くに立っている,いかにも大臣のような男が俺を蔑むような眼で見た後に,書状を開いた。
「それでは,今回の不審者ハセガワについての対応を言い渡す。」
胸の鼓動がうるさいくらいに速くなる。
大臣がこちらを観ながら,ニヤッと気味の悪い表情で笑った。
「ハセガワを・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺はその言葉を聞いて呆然としてしまった。
久しぶりの投稿です。頭には今後の展開などができているので、更新頻度が上がるようにしていきます。