初めての授業
「最初に計算で教えていくのは,数の数え方です。」
数を数えられないと簡単な計算さえもできない。ましてや,仕事でも利用できるレベルとなると,それなりの知識が必要にもなってくる。
「それじゃあ,数え方を教えていきますね。」と話して1から100までの数字を教える。
この世界でも基本は10進法が使われている。
お金の単位は『マルス』という単位だが,日本の円とほとんど変わらない。硬貨が違うだけで,
10マルス=小銅貨1枚,100マルス=中銅貨1枚,500マルス=大銅貨1枚,1000マルス=小銀貨1枚などといったものだ。
低年齢の子たちは聞きなれない数字が多くあったようで,最初は苦戦気味だったが,すぐに慣れた。
高年齢の子たちは,耳にしたことがあったようで,問題なく数えられた。
全員が慣れたところで,100よりも大きな数についても説明する。100の次は101だとか,
100よりも10大きい数は110など。2000よりも100小さい数は1900になるとか。足し算・引き算の基本となる大きいや小さいなどの説明もしてみたが,子どもたちの呑み込みが良い。
特に低年齢の子たちが抵抗なく受け入れてくれることには正直驚いた。
ある程度大きな数を教えた後に,数字と数を一致させていく。意外と言うことはできるけど,数字になると分からなくなる子どもは多い。
実際に日本でも,数は言えるが数字になると良くわからなくなる子どもたちも居たし,数式になると途端に拒否をする子もいたぐらいだ。
あくまで,丁寧に。特に低年齢の子たちの顔を見ながら説明する。
実際に教えてみると,すんなり分かってくれた。今は砂を利用して子どもたちは好きに数字を書いて,読んでいる。中には,自分が書いた数字を別の子に読ませるという,クイズをしている子たちも居た。
どれくらい大きい数があるのかという質問も出てきたので,大きな数の単位まで教えた。まぁ,大きい単位はよっぽどのことがないと使うことはないのだが……。
そんな風に数に慣れることをして,今日の計算の授業が終わった。
俺は子どもたちに問いかける。
「今日のことは分かりましたか?」
全員が分かったという反応してくれたので安心をして,話していく。
「今日習ったことは,繰り返し学ばないと知識として使えるようになりません。人間は忘れる生き物です。毎日たくさんのことがあってそれを全部覚えることができる人は,とてもすごい人ですが,そんな人は滅多にいません。だから,みんなには“復習”をしてもらいます。」というと,
低学年の子たちは「「「ふくしゅう?」」」と頭を傾ける。
何人かの子たちは,仕返しをする復讐と勘違いしている子もいるようだ。
「そう“復習”です。復習というのは,今日勉強したことをもう一度思い出したり,繰り返したりすることを言います。この復習をすることで,みんなが覚えることができて,思い出すことができるようになります。この復習を忘れてしまうとせっかく勉強した内容が思い出せずに困ってしまうのです。」と説明すると,思い出せないのは嫌とか,せっかく覚えたのにもったいないとか言ってくれたので,大丈夫だろうと感じ,
「なので,毎回覚えたことは寝る前にもう一度思い出して寝ましょう。そして,朝起きた時にも思い出せるかどうか確認してみましょう。」と言って授業を終了した。
今日の内容自体は全員ができるようになってくれたことに満足しつつ,初めての授業が終了した。