第六話 古ぼけた小屋
2019/01/20 某世界的ジーンズの名前を伏字にしたゾ。感想でお知らせくださった方ありがとうございます
「よっしゃ。ついた!。とりあえずここで休ませてもらおか。いつ夜がくるかわからんしな。」
小一時間ほど歩いて小屋についた俺は草を手で掻き分け、入り口に行くと扉を手で押した。あっ、開かないわ。鍵やなこれは。・・・よっしゃ!体当たりで無理やりあけたろ!
「あっこれ引き戸だわ。」
体当たりしようとして気がつく。ちょっと恥ずかしい。横にスライドさせるとすんなり開いた。外の明かりでそこには古ぼけ机と箱が置いてあるのが見えた。隅にはかまどがあり、煮炊きできるようだ。
「何の小屋なんやろこれ?麦畑の番人用なんか?」
中へ入ると少し古い木の匂いがする。奥が区切られていてどうやらそこには
「おーええやん。ベッドもついてんのや!」
マットレスはないが、ベッドがあった。俺はひとまずベッドに座る。
「ああ疲れた。もう歩きたないわ。」
硬いベッドでも座れるだけ上等である。落ち着いたところでふと俺は神様が言っていた事を思い出した。
「そういや神様が何か手持ちのもんと持ち物くれるって言ってたなぁ。いやもともと持ってるもんはもらうもんじゃないか。ままええわ。とりあえず持ち物調べよか。」
俺はとりあえず服を調べる事にした。
今の俺の格好といえば、するどい破片でつばが切り裂かれたフィールドキャップ、ズタボロのトレンチコート、腹の部分に大穴が開いた血まみれのシャツ、もはや大ダメージジーンズとかしたリーバ○ス、何か破片が刺さっているが大きな傷はない安全靴である。そして胸の前のホルスターには御守り代りのm1911 が入っていた。
「あらためて見るとボロボロだな。この小屋の中だと幽霊見たいやな。」
的外れなことを言いながら、全てのポケットを調べると、全部でこれだけ出てきた。
よく手入れされた古いm1911 と空弾倉
45acp 弾8発分
血まみれのタバコ1箱
安物のオイルライター
破片で穴の空いた10ドル
レシート
カロリーメイト
無傷のライターオイル
キーホルダーの10徳ナイフ
ミニマグライト
車の鍵
破片の刺さって壊れたスマホ
「これだけか。なんとも心許ないわ。ん?」
最後に胸ポケットを漁ると何か紙が出てきた。
「これはあの受付の男から見たいやな。」
別役正勝様
この度はこちらの不祥事とアポロン様の気まぐれによりご迷惑をお掛けし大変申し訳ございません。本来なら十分に話しをして異世界への転移か、元の世界へ輪廻するかを話すべきだったのですが、このよう突然放り込む形となりましたことお詫び申し上げます。お体の方は治しましたが、服にはてを加えられませんでした。申し訳無い。またアポロン様が伝えたように別役様の元の世界の所持品を二つ送ります。
ここまで読んだところでゴトリと足元に何か落ちた。
「あ、これ俺の剣なたとリペアツールやんか。」
どういう仕組みかわからないが大学時代に買った剣なたと、いつも銃の手入れに使うリペアツールが落ちていた。
「いやたしかに欲しいと思ってたけど、せめて選ばせてくれよな...」
ちょっと不満に思いながら手紙を読み進めていく。
送ったものはあなたが今欲しいと思ったものが送られたはずです。どうぞお役立てください。またこの世界について、お話します。...
この後ダーっとこの世界について書いてあるようだった。それをざっと読むとこの世界が予想よりファンタジーな世界であることがわかった。手紙曰く
この世界は魔法が誰でも使える世界である。
自身のステータスも念じれば見える。
各自アイテムの収納空間を持っており、その広さは人による。これも念じるだけで出し入れ可能。
この世界は人だけではなく獣人、エルフなどいろいろな人類がいる。各々得意分野、食の嗜好が違うので住み分けされる。また獣と魔物が存在し、人類の生存を脅かしている。
物理法則は地球と同じではないことがある。
などである。
「まるで安っぽいライトノベルの世界だ。なんだこれはたまげたなぁ。」
たまげながら、最後まで読む。
最後にこの度のこと本当に申し訳無く思います。今天界で補償のための会議を真っ当な神様たちとしております。その結果をまたお知らせしますので、申し訳ありませんが異世界でお過ごし下さい。
天国の門(シ役所)受付総責任者 シモンペテロ
読み終えた手紙をそっとベッドに置く。そうか一応補償する気があったのか(困惑)やっぱあの神様まともじゃなかったんやなgo is dust 。
「まぁまぁええわ。せっかくやしさっそくステータスを見てみるか」
名前 別役正勝
バイタル 正常
体力100/100
魔力 30/30
スキル
無し
魔法
複製8級
装備
裂けたフィールドキャップ
ズタボロのトレンチコート
血まみれのシャツ
裂けたジーンズ
一部破損した靴 耐久値 24/60
1927年製のm1911 耐久値88/100
持ち物
空弾倉
45acp 弾8発分
血まみれのタバコ1箱
安物のオイルライター
破片で穴の空いた10ドル
レシート
カロリーメイト
無傷のライターオイル
キーホルダーの10徳ナイフ
ミニマグライト
車の鍵
破片の刺さって壊れたスマホ
またぎの剣なた
リペアツール
「おお、なんかfps 見たいに出てきた。」
ステータスってなんかカッコいい。かっこよくない?
ちょっとテンションが上がる。
「ああ、しかしこんなの見ると異世界に来たんやなぁと感じるわ」
思えば突然すぎた。テロリストの爆弾でやられて気がつけば天国。挙句間違えて天国行きになったことが発覚して、有無を言わさず何故か異世界に落とされた。
「...俺何も悪いことしてないのに何でこんな目にあってるんやろ?だんだん腹たってきたわ。」
そもそも理由もなく雑スギィな感じで異世界送りになったのも納得できないんだよなぁ。とりあえず異世界来てから実感がなかったせいか淡々とこの小屋までたどり着いたけど、ちょっと落ち着いたらだんだん自分の世界から離れた実感が湧いてきて寂しくなってきた。
「寂しくなってきちゃった。もういいよ。やばい、やばい」
寂しさを振り切り今しなければならない事を考える。こういう異様な頭の切り替えができるようになったのは傭兵時代の経験からだ。今はこの異常事態の中で非常に役立っている。
「とりあえず装備とできることはわかった。あとはどうにか人もいるとこにでて、この世界で生きる術を探さんといかんな。」
その他に具体的に何ができるか考えたものの眠気が襲ってきた。
「何れにしても少し休んでからだわ。眠らないと頭が働かない。」
俺は木のベッドに横になった。硬いが今はゆっくり休めそうだ。外からは夕日の光が入ってくるが、寝るのに支障があるほどではない。30分も経たず俺は眠りについた。