第一話から三話 死んだら市役所にいくとは知らなかったゾ
これまでの話を加筆しながらまとめ中です。つまり工事中。安全ヨシ!
「まず年齢を教えてくれるかな」
「24歳です。」
「身長体重はどれくらいあるの?」
「身長が172センチで体重が74キロです。」
「24歳?じゃあもう働いてるんだ?」
「学生です。」
「学生?あっ(察し)」
誰かが面接を受けている?その声を聞いて俺の意識が浮上してきた。目を開ける。ぼんやりとした視界に古ぼけたクリームの壁紙が見えた。周囲を見渡せば無骨な蛍光灯。役所特有のあの申請書を書かされる机。観葉植物君。どうも地方の寂れた役所のような印象を受ける。そして俺はなぜか役所の待合所みたいなところで座っていた。さっきまで俺は中東にいたと思ったが、クォクォヷ一体?。ふと前を見ればカウンターで浅黒い日本人ぽい男が何事かを話している。先ほど聞こえた声は彼らのだろうか。まだぼんやりとしながら、それを見るともなく眺めていると古びたスピーカーから小さくノイズが聞こえ、
「別役さんー別役さんーどぞー」
アナウンスが聞こえた。日本語だな。ええ・・・一体どうなってるんだこれ?俺はまだぼんやりとした頭ながらも疑問が湧いてきた。そしてプツンと音が途切れた途端、俺の足が勝手に進み役所のカウンターへと向かう。まるで操られて居るみたいだぁ(直喩)
俺は足の勝手に進むままに役所のカウンターに座る。前を見れば、黒いコウモリのようなマントを着た男が書類を整えていた。名札にはピーターと書いてある。
「じゃあまず年齢を教えてくれるかな?」
突然年齢を聞かれた。えっ。何それは?突然するぎる。
「は?」
俺は思わず素で返してしまった。
「えっ?」
書類を見ながら作業していた面接官が初めてこちらを向く。黒い耳が着いたローブが揺れる。
「君なんで普通に喋ってるの?」
男はびっくりした表情でこちらを見てくる。
「いや、俺死んだと思ったんですけど。」
答えにならないことを言いながら俺も少し動揺した。そんなびっくりされる話か?むしろこちらがびっくりしてるわ。
「え。あっ(察し)ちょっと電話させてもらうね。」
ローブの男は何かを察したのか。おもむろに懐から電話を取り出す。 懐かしい二つ折りの携帯である。男は電話帳を調べているのか、カチカチとボタンを押している。その様子を見ながら俺はふと学生の頃逆パカって流行ったなと思い出した。携帯の所持が禁止されていたから見つかると真っ二つにされたんだよな。今やったら大問題だろうなぁ。
「あっもしもし、神さまですか?どうもピーターですぅ。ちょっと死ぬはず無い人がこっちきちゃってるんですけど?はい。あっ転生コース?多分違うと思うんですけど。はい、確認とります。はい。承知しました!。じゃあちょっと冥界の総務と連絡しますので。はい。はーいしつれしまーす。」
この人上と電話できるのか・・・。絵に描いたようなやりとりをした後男は一旦電話を切ると、再びカチカチと電話帳からどこかへとかけようとしていた。
「あっどうも冥界総務ですか?こちらシ役所の窓口のピーターですけども。いつもお世話になります。申し訳ないんですけど、死亡者選別課にお問い合わせいただきたいんですけど?はいID114187514810です。身長が173、体重79 年齢が34です。職業は運び専門の傭兵です。はい。お願いします。...ええ。あっ。間違い?死ぬのは98年後?嘘?これマジ?えっ(絶句)あっわかりましたー。はい。
男は電話を切ってこちらに向き直る。そしてすごくいい笑顔で
「あっごめんね。君間違ってこっちきたみたいだわ。多分総務の手続きミスですわw」
なにわろうとんねん
1時間後...
男によれば、ここは天国の門らしい。普通はここでこれまでの自分を洗いざらい話して門を潜るか、生まれ変わって生きるかを決めるらしい。それだけではなく、ここでこの世の生物の調整や命の取り扱いも行うらしい。
「つまりおれは死ぬはずがないのにミスで死んだと」
「もうほんとに申し訳ありませんでした」
とりあえず目の前の男を腹筋ボコボコにパンチくらわしたところで落ち着いて話を聴く。
「俺復活ぅーみたいな話ないの?」
「いゃ。ちょっと前まであったんですけど、問題が起きてダメになっちゃいまして。」
ええ・・・できるのかよ。なら
「できるのかよ!はよしてくれ!」
「いや、無理..クビになっちゃう!」
男は必死に首を振る。
なんやねんその態度。俺はあまりの身勝手さに激怒した。
「はぁ!?なったらええやん!クビにぃ!お前にとっては沢山の命の一つかもしれないけど、俺の命はもうないねんで。わかる?この罪の重さ!?」
あまりにいい加減なことを言うので目の前の天使?に切れてしまった。当たり前だよなぁ!
「だいたい何でだめなんや?できるんだったらやってくれよ!」
こちらとしても理不尽に殺されて、復活できるけど出来ませんでは納得いかない。
「いやちょっと前にうちの手違いでマスタードガスで死にかけたちょび髭のドイツ人生き返らせたら、なんかドイツの総統になって予想以上にえらいことになっちゃって。調整のために連合国の人をいろいろ復活させたり弄っていたら本来死んではいけない人がすさまじい人数死んでしまって大変なことになったんです。それでもう取りあえず生き返らせないという方針になりまして・・・」
ええ・・・ユ虐おじさん、お前らに仕業かよぉ!?(驚愕)?もしかして第二次大戦って調整ミスの結果か!?こいつら邪神のだぐいじゃ・・・
「まぁまぁ、そう焦んないでよ」
後ろから男らしく、しかしどこか軽薄に近い親しみを感じる声が俺の後ろから聞こえた。背後から熱い太陽で照らされるような、そんな暑さを感じる。
「アポロン様」
男が真っ青になって俺の後ろを見た。俺は振り返ろうとしたが、ゾッとするほど神々しいものを感じ、振り返れなかった。みては行けない。触れては行けない。そう本能が命令している。
振り向かず、アポロン?に尋ねる
「じゃあどう償うんだよ。なぁ!」
こちらとしても引き下がれない。文字通り命がかかっているのである
「ああいいね!本能を押さえつけて神相手にここまで喋れるとは!英雄の資質だね。じゃあその命異世界で使うってのはどう?」
何が楽しいのか嬉しそうな声で俺の問いにアポロンはなんの脈絡もなくこう答える。そしてそのまま軽薄そうな声で続けた。
「舞台は剣と魔法で文明は中世!チートはそうだなぁ。君の今付けてるものと、この地球の持ち物二つ持って行っていいよ。あと複製の魔法もつけちゃおうか。」
ええ・・・もう異世界に行く前提で話しが進んでいる。アポロンは勝手に話を進める
「いやそんなのいらないから戻して」
俺はアポロンにそう抗議する。当たり前だ。まだ地球には使い切れていない給料と酒が残っているのである。返してほしい。
「魔法いいでしょ?そこ神界の手の回らないとこなんだよね。だから君がちゃちゃと行って文明レベル上げて、英雄になって終わり!簡単でしょ?」
いや聞けよ。どうして無視するんですか?(電話猫)
「いやだから
「ジタバタするんじゃねえ!ばら撒くぞこの野郎!(豹変)」
ええ・・・ダメみたいですね。マジ話しが通じねぇ。
「では別役くん。新たな世界へ入ってどうぞ!」
突然足元に旅の扉的なものがあきボッシュートされた。
「おお↑おおおお↓おおお!?」
浮遊感に77歳のじいさんみたいな声が出た。風の音は感じないが、高速で落下しているにはわかる。こうして10秒ほどの浮遊感を味わった後俺の意識は突然途切れてしまった。