第十六話 平原での戦闘
初戦闘です。チートはありません。
「にょわぁぁ!?あぶっぇ!?」
飛びかかってきた魔物のタックルをかわし横にダイブした。一回転して、俺がいたところをみると、地面がえぐれて、ひどい状態になっている。こんなの食らったらひき肉だ。俺は振り返り、ひまわりと対峙する。
「こいつはやばいな。逃げた方がよさそうだが、あの瞬発力でこられたら逃げ切れない。覚悟を決めるか」
逃げ切れないことがわかった俺の頭の中でスイッチが切り替わる。
「こいよひまわり野郎。相手にしてやる。」
俺は剣なたをを構えてひまわりとの距離を測る。本当はこれだけ力のある相手だと近距離戦は避けて遠距離から銃を使い倒したい。しかし相手との間合いは2メートルもない。胸のホルスターに入れている銃は距離が近すぎて抜く余裕がないし、今は剣なたが放せない。つまり今この怪物と剣なた一本で相対しなければならないのである。
この言葉に反応したのか否か、ひまわりの魔物はこちらの間合いへすさまじい勢いで入ってきた。その鉄球のような頭を振りかぶり、こちらに振り下ろした。ゴォンという音とともに、頭は地面にたたき付けられ、その威力で地面が無残にえぐれる。俺はそれをサイドステップで躱し、その頭に向けて剣なたをたたきつける。
ゴツリという音とともにひまわりの頭にへこみ傷が付いた。
「ぎぎっぎぎぎ!?」
ひまわりはその体からきしむような音を立てながら驚いたように素早く頭を上げ、数メートル後ずさりした。
「なんだ。軽い一撃なのにえらくびっくりしたようだな?だが俺から間合いをとることは・・・
俺は拳銃を抜いた。間合いが近すぎて抜けなかったが、相手が離れてくれた今なら好都合
まるで悪手のようだな」
炸裂音とともに狙いを澄ませた一撃が魔物の目を打ち抜く。
「ぎぎっぎいぎぎぎぎぎ!」
ひまわりはのたうちまわりながら地面へ倒れる。
「まだ死なねぇか。」
俺はもう一発弾を魔物の花の方へと打ち込む。そしてその場に銃を落とし、素早く駆け寄ると、頭部を剣なたで滅多打ちにした。この痛がりようからおそらく頭が弱点であると考えたからだ。
ゴツン、ゴツン、ガッ、ゴツ、パキッ、バギン
滅多打ちにしていく内に堅い頭の部分にひびが入り、やがて隙間が空いた。俺はそこへ向けて剣なたの先端を突き刺し、ぐるりと回す。
「ギッギギ!?・・・」
ひまわりは一度大きくはねて痙攣した後動かなくなった。
「ふぅ。はっ、はっ、はっ。ぬわわん疲れたもぉぉん」
スイッチの切れた俺はどっと押し寄せてきた疲れに思わずへたり込む。
「ああ^~死ぬかと思ったわ!。魔物めちゃくちゃ強いやんか!こんなくっそ危険な平原での採取で銅貨五枚ってぼったくりやろ!?」
足の横に転がるひまわりの魔物。尋常じゃない勢いで頭を振り、こちらを押しつぶすように攻撃してきた。とりあえず剣なたと銃が効いて良かった。もしだめだったらあの瞬発力でこちらが追い詰められていただろう。
「ああ・・・マジ疲れた。とりあえず町に戻ろう。」
俺は疲れた体で立ち上がる。顔を上げるといつの間にか日は地平線に沈みかけていた。俺は落とした拳銃を拾い上げ、薬莢も回収すると、その場を立ち去ろうとして
「あっ、この魔物回収できるんだろか?せっかくだし持ち帰って換金できるか聞いてみたいな。」
俺は試しに魔物に向けてアイテムボックスの中へしまうよう念じた。魔物死体はぱっと消え、後にはえぐれた地面だけが残されていた。
「よかった。これで持ち帰れれるわ。この魔法ものすごく便利やなぁ。運び屋時代に欲しかったわ・・・」
これがあればぎっくり腰とか無縁そうだ。ほんと痛いゆ・・・ってなるからなぁ(実話)。
「さてさっさと帰るか。暗闇の中帰るのはご免だ。」
俺は街道に向けて歩を進め、ヴェステイアへと帰路についた。