第十五話 薬草集めをしよう(提案)
王道をゆく薬草集めです。
門を出ること十数分間。俺は元来た道を戻り、ヴェステイアのおかのうえに出た。
「ふぅ。登りはきつい。電動自転車ほしいわ・・・」
汗を拭きながら平原を見渡す。女郎花や金魚草、ススキなどあちらの世界でもみた植物に混じって、みたことのない草花が辺り一面を覆っている。さてこの中から薬草の群生地を探さねばならないが、一体どこだろうか。
「ぱっと見た感じなさそうやな。もう少し道から逸れてみるか。」
俺は胸のホルスターに手を当てた。銃の存在を感じその重みに原始的な心強さを感じる。しかしその一方魔物がこいつでなんとかなるといいんだが・・・と不安にもなる。最大限に魔物を警戒しながら、街道沿いの草むらを調べていく。
「おっ、薬草大発見!」
10分ほど草を掻き分けると組合でみた薬草と同じ草がそこにまとめて生えていた。
「なんや簡単に見つかったな。こんなので本当に金になるんだろうか?」
あまりに簡単に見つかったおかげで逆に心配になりながら、俺は受付のアーニャさんが言っていたように葉を剣なたで刈り取り、すぐにアイテムボックスの中へ放り込んだ。
「ここに生えてる薬草はみんな葉っぱが5枚やな。と言うことは、一つというのは葉っぱ五枚のセットのことをさすんやろな。ままこんだけ簡単にとれるんだから当たり前か」
その後も俺はあたりの薬草を刈り続けた。一応穂先や根も掘ろうと思ったが、穂先の刈り取りが以外に難しく、切る箇所が悪いとすぐに変色し、バラバラになってしまったし、根っこもホるものがないので諦めた。
「ふぅ。大分刈ったな。今ので葉っぱ六十枚か。これで宿と晩飯は大丈夫そうやな」
このへんに群生している薬草をあらかた刈り取った俺は腰を上げて伸びをする。腰が痛い。こういう作業をすると腰に来ると思うようになったのはいつからだろうか。やだやだ。
「あ^シンド。もう大分日が傾いてきたな。どれだけ熱中してたんやろか」
東をみれば日はすでに地平線の少し上にかかっている。午後3時か4時くらいだろう。
「よし帰るか。長い一日だったが、今日はベットでゆっくりできそうやな。」
膝に付いた汚れを叩きながら立ち上がった。そのあがった目線の先にひまわりのような何かがいた。そのひまわりは花が下で頭?の部分がとげの鉄球のようになっており目がついているからひまわりではないとわかった。そのひまわり?がこちらを見ながら上体をくねらせていた。
「ヒェツ!?なんやあれ!?キモっ!?」
ちょっと衝撃的な光景に思わず俺は声を出した。生きているひまわりは俺の声に反応したのか、体を勢いよくくねらせてこちらに飛びかかってきやがった。