小児病棟の中で学んだ、よつ葉の足跡
「ねぇねぇ、よつ葉ちゃん」
「なぁに?」
担当させてもらっている、こうたくん。
「ボク、検査頑張ったよ」
「採血も泣かなかったし、レントゲンも一人で検査室入れたもんね」
「そうだよ!」
季節感の無い病棟の中で笑顔を見せてくれる、こうたくんの明るさが際立つ。
「ボク、看護師長さんみたいになるんだぁ」
「おぉ、かっこいいね!」
「よつ葉ちゃん、違うよ!」
「えっ? 看護師さんになって看護師長さんになるんじゃないの?」
「よつ葉ちゃん、ハズレ~~」
楽しそうに話してくれる。そして看護師長さんみたいになる宣言の話は更に盛り上がる。
「ボク、みんなに教えてあげる人になるんだぁ」
「凄いね! よつ葉ちゃんも教えてもらわなくちゃ」
「いいよぉ」
「ありがとう」
「よつ葉ちゃん、回診の準備は? 入院受け入れの準備は終わりましたか?」
「えっ?」
「よつ葉ちゃん、えっ? じゃありませんよ。準備は終わりましたか?」
なになに? どういうこと?!
まるで指導看護師さんが二人いるみたいじゃないですか?! 看護師長さんみたいになるって、指示出す人になりたいって事?
「菜須さん、終わってますか? あはは」
指導看護師さんが、よつ葉に確認して大笑いしています。
「回診は既に終わってます。本日の入院受け入れは、ありません」
「そうだったわね。あはは」
この会話を楽しんで大笑いして先にナースステーションに戻っていく指導看護師。
「こうたくん、指示出しかっこよかったよ」
「えへへ、またしてあげるね」
「ありがとう」
「良いよぉ」
病棟の長期入院の子供たちはよく見て知っています。本来なら幼稚園に行ってお友達とお遊戯したりお歌を歌ったりしているはずの子供たち。
「よつ葉ちゃん、算数教えて」
お隣のベッドの男の子に声をかけられる。そこでさくらんぼ算というのを学ぶ。今は、こうして教えるんだぁ……となにげに感心する看護学生。
病棟の中で、病と戦いながらも、学ぶ事を忘れない小学生君に生きる力を教わりました。
小児病棟の中で、子供達から頑張る力を教わったように思います。
みんなはやく元気になぁれ。