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プロローグ
高校からの帰り道、 肌をジリジリと焼く太陽による日差し、そしてそれらをこれでもかと跳ね返すコンクリートによる照り返し。
二方面からの熱線により体からは汗が滲み、カッターシャツが張り付いて気持ちが悪い。
「あー、冬が待ち遠しい」
冬になれば夏が恋しく、夏が恋しい、誰しもが思うであろうことを無識京介も同じように考えながら、手でパタパタと扇ぎながら歩いていく。
「うわ、……最悪」
ここの赤信号、異常に長く待たされるんだよなぁ。
普段なら特に気にならないが気温が40度を超えるような日にはかなり辛いものがある。
足を止めると先程までは気にならなかった蝉のミーン ミーン と言った鳴き声が耳につ忌々しげに鳴き声のする方を見る。
その時であった。
『危ない‼︎‼︎』と男の声が聞こえとっさに振り返ると、そこには距離にして三メートルと迫ったトラックがあった。