七十二の曲〜龍神に好かれた戦士と妖刀と名刀に好かれた戦士〜
「よっ」
ナオが大剣を振ると敵が風圧で後退する。そこにナオが蹴りを入れ、気絶させて行く。
「こんの!」
ーバンっ!ー
ならず者の一人が銃弾を放った。それをナオは仰け反り、交わすとそこに斬りかかって来た短剣を持った男の手首を大剣を持っていない片手で掴むと捻り上げ、腹に柄で一撃を加え、後退させる。そこへ雄叫びを上げながら男共が迫る。ナオは呆れたように鼻で笑い、叫ぶ。
「華炎冬雷!」
その途端、ナオの大剣に炎、雪の結晶、雷がまとわりつく。それをナオがブンッと振れば、それらは花びらも伴って男共に突き刺さる。突き刺されば、雷で感電し気絶。結晶に当たれば、雪に埋れ気絶。炎に当たれば、熱さと火傷で気絶。気絶の三拍子だ。
「てめぇ!女だからって勝てんと思ってるのか、よっ!」
ガキンッ!とナオと大柄で屈強な男が持つ斧が交差する。ギリギリと力では男が上だ。火花がチリチリと散り、ナオを押し込んで行く。
「っ」
「この勝負もらっt「ハァ?馬鹿なんじゃねぇの?」なっ」
突然のナオの言葉に男は驚く。そして恐怖した。ナオの瞳には怒りが満ちており、その瞳を見るだけで心臓を握り潰されている気分になる。ナオはぐぐっと大剣で斧を押し返す。
「誰が降参だなんて言った」
「ぎゃはは!背後がガラ空きだぁ!死ね女!」
「!」
ナオの強気な発言を嘲笑うように彼女の背後から剣を持った別の男が迫り来る。ナオはそれを横目で確認すると斧を持つ男の方に意識を集中した。
背後がガラ空き?そんなの知ってるよ。だって
「だーかーらーなんで後ろ見ないのー?」
「え?!」
「てぇい!」
バッとナオの背後を取ろうとした男が吹っ飛ばされる。そして新たにナオの背後に来たのは
「お前が守ってくれるんだろう相棒?」
「ハハッ!仰せのままにー!」
ユーリだ。ユーリはバッと一踏みで数人の男達の群れの中に突っ込むと2本の刀を使って彼らをねじ伏せて行く。中には魔物を召喚する輩もいるがこちらの方が戦術的にも攻撃的にも有利なのは変わらない。
「…爆風妖」
ブワッとユーリが斬りつけるたびに爆風がし、敵を気絶させる。着々と減る敵。
ナオは斧を持つ男を武器ごと押し返すと回し蹴りを放つ。彼は近くの木まで吹っ飛んだ。
ナオは再び、やって来た別の剣を持った男を足蹴りして倒れさせるとガンッと顔面横に大剣を突き刺した。
「ひッ?!…」
「よっわ」
撃沈。そんな男に弱いと呟くナオ。と2人が相手したならず者達はほぼ全員片付いた。残りは、2人と同じ大剣を持つ男と刀を持つ男のみ。
「ユーリ」
「はいよーナオ!」
バッと両者が駆け出す。ガッ!と先程よりも大きな火花を散らし、敵の大剣とナオの大剣が交差する。力の押し合いにもナオは負けず、ガキンッ!と大剣を振り切る。敵がよろめく。そこにナオは足を踏み込んだ。
「羅刹紋凱!」
そう叫ぶとナオの大剣に無数の棘が巻きつき、そのまま敵に斬りつけた。敵は小さい呻き声を上げ、大剣を落として倒れた。ナオは大剣の切っ先についた微量の血をブンッと振ってなくすと言った。
「………女だと思って舐めたのはどっちだ?」
ユーリの2本の刀と敵の刀が交差する。ユーリが片方を引いて敵に突きつけると敵は後方に一回転してよけ、助走をつけてユーリに襲いかかった。ユーリも助走をつけて駆け出す。
「舞踊乱舞」
ユーリの2本の刀に♪のようなモノが巻きつく。そして相手と武器が交差する。と♪が敵の動きを制御した。そこにユーリが踊るように攻撃を仕掛ける。敵は刀をポトリ…と落として倒れた。ユーリはスッと刀を振り、言った。
「ウチらに勝てるわけないでしょ?」
ナオ&ユーリ、殲滅完了




