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六十八の曲〜ソラリスとユーリの本デート!〜

原作者からのリクエストニ弾目!

副題は『恋愛書き慣れてない奴が書くとこ((ry

……もう少し、もう少しだから…我慢して。

もう少ししたら殺っちゃうから。


もう少しで、みんな揃うよ?


***


「ねぇねぇどこ行くー?」

「何処でもいい」

「えー(´・_・`)」


ユーリとソラリスは牧師の家を出て目的なく歩いていた。それでユーリが聞いたのだが当の本人は“何処でもいい”だ。ユーリはうーんと考えながら頭を捻る。それを見ていたソラリスがふと前方を見て


「あそこはどうだ?」

「あそこ?…ん?何あの建物」

「図書館みてぇだけど」

「?ソラリスって本好きなの?」

「…悪いか?」

「いやーソラリスらしいなーって!じゃあ!行こう!」

「ちょっ!ユーリ?!」


と、ユーリは背の高いソラリスの腕を引っ張って走り出す。それに彼も驚きながら着いて行く。

2人が来た図書館は教会のように古びていた。だが本棚は天井近くまであり、長い歴史を物語っていた。


「おや、いらっしゃい」


その声に2人が振り返るとカウンターの所に老人がいた。老人は優しい笑みを浮かべながら言う。


「もう借りる人もいなくなったから何冊でも持ってお行き」

「いいの?!やった!!」

「あ!おい!ったく。ありがとうございます」


老人の言葉にユーリは嬉しそうに本を物色するために走り出した。その背にソラリスが注意しながら老人に礼を言い、追う。

彼がユーリを追って行くとユーリは本の背表紙を指でなぞりながら気になる本を真剣に探していた。それにソラリスは怒る気も失せた。自分も本を探そうと上の方の本棚に視線向けた。


(伝記…歴史学…経済学…小論…ん?)


ソラリスはある本に目が止まった。その本を手に取り、ペラペラとページを捲った後、本を物色中のユーリを呼んだ。


「ユーリ」

「ん?なーにー」

「これ」

「!…えーと?小説?なんで?」

「お前が好きそうな話だったから」

「マジで?!やったぁー!ありがとソラリス!」


嬉しそうに喜びながら本を胸に抱くユーリ。本で思い出したかのようにユーリはハッとすると近くの本棚に寄り、手を伸ばした。が高かったらしく近くの脚立を持って来て登り、本を取ろうとまだ少し高い場所へと手を伸ばした。カタンッとユーリが取ろうとしたであろう本が揺れ、彼女の手中に収まった。が


「取れた!…え」

「!バカやろうっ」


取れた拍子にちゃんと留められていたはずの脚立の金具が揺れ、脚立自身がバランスを崩した。それと同時にユーリもバランスを崩し本を持ったまま後ろから落ちる。突然のことでユーリは受け身なんぞ取れないだろう。ソラリスがそう思い、彼女を助けようとして飛び出した。


「……ん?痛く、ない?」


ユーリは来るはずの痛みがないことに混乱した。なんでだろうと固く瞑っていた目を開けると目の前に呆れ顔のソラリスがあった。


「ふぇ?!」

「ったく、危ないだろ?!ちゃんと確認しろ!」

「う…ごめんなさい…」


いつもはあんまり近くで見ないソラリスの顔が近くにあるため、ユーリは少し頬を赤く染めた。それに今、ユーリがされているのは所詮横抱き。通称お姫様抱っこである。やられたことがないのであろうユーリはそこにも照れていた。


「と、とりあえず!降ろしてぇぇえ」

「分かったから暴れるな。怪我はしてないな?」


降ろしたユーリに心配そうにソラリスが聞く。ユーリは大丈夫だと頷くと「はい!」と取った本を突き出した。


「……?」

「…ソラリスに合いそうな本見つけたからはいっ!」


ちょっと背伸びをして渡すユーリにソラリスはクスッと笑い、本を受け取るとポンと頭を撫でた。ソラリスは手元の本を弄びながら言った。


「そろそろ出るか」

「出てどーするの?行く場所ある?」

「………時間的に飯」

「ふぇ?」


ーグギュルルルー


その会話の後、ちょうどよく、誰かのお腹が腹減ったと懇願した。もちろん、いるのは2人(老人省く)だけなのでどちらかであるが。

正解はユーリで、盛大になったお腹を手で抑えながら真っ赤になっている。


「…っふ」

「え」

「ははははっ!盛大だな」

「う、お腹減っただけだもーん!」


ソラリスが口元を抑えて笑うとユーリは開き直ったのか「お腹減ったー!」と繰り返す。ソラリスは「悪い悪い」と笑いを堪えながら口元を抑えている。


「んじゃ、飯食いに行くか」

「当てあんのー?」

「一応」


そう言って歩き出すソラリスをユーリは後ろから追う。図書館を出るときに老人に礼を言って出た。老人曰く、「仲が良いねぇ」だそう。


外に出て2人が向かったのは街からたまたま来ていた出張お菓子屋さんだった。ソラリスによると昨日たまたま見つけたらしい。お菓子と言っているのに大盛りらしい。図書館はいいがなんで此処に出張来たとユーリは思っていた。


「いらっしゃいませ〜何に致しますか?」


屋台よりも少し丈夫そうな店舗の中から店員が2人に向かって言った。


「何にする?おごる」

「いいの!?やったー!じゃあねー」


ユーリが喜び、どれにしようか悩み出す。それを見ていた店員が微笑ましそうに笑って尋ねた。


「ご兄弟ですか?」

「違う。こいつは仲間だよ」

「そうですか〜とても仲がよろしいように見えたので〜」


店員の言葉にソラリスは笑った。嬉しそうに。ユーリはちょいちょいと彼の服の裾を引っ張って決まったことを伝えた。

ユーリが頼んだのはバニラのソフトクリーム、ソラリスが頼んだのはチョコ味のビッククッキーだった。


「なんか珍しいね、ソラリスがクッキーなんて。しかもチョコ味!」

「悪いか?」

「うんん、意外だっただけー買ってくれてありがとうー」


店員から受け取った普通サイズよりも大きいソフトクリームを付いて来たスプーンで掬ってちまちま食べるユーリ。美味しそうに食べる彼女を一瞬見た後、ソラリスは自身が買ったクッキーに被り付いた。うん、チョコ味だ。ちなみに2人は本をポーチに入れたので両手は空いている。この後の予定はないが本が手に入ったので牧師の家に戻って読書タイムだろう。

なので今、歩いている。


「…ちょっと甘過ぎたか…」


そう零すソラリスにユーリが言った。


「ウチの食べる?バニラだからあんま甘くないよ?」

「嗚呼、貰うわ」

「はーい、ちょっと待ってねー。h」


ユーリの言葉は突然途切れた。理由はユーリがスプーンで掬って方ではなくソラリスが本体の方を食べてしまったからだ。これにはさすがのユーリも驚く。


「本当だ。あんまり甘くない」

「あー!なんでそっち食べちゃうのー?!スプーンで取った意味ないじゃーん!」


ユーリが怒る。ソラリスはあんまり気にしていないよう。だがせっかく掬ってくれたのだからとユーリが持つスプーンの方のソフトクリームも口にした。


「ん」

「なっ!」


ソラリスがユーリのスプーンを持つ手の手首を掴み、少し自分が屈みながら食べた。食べた後、ソラリスは屈んだ背を元に戻しながらユーリに礼を言った。


「ありがと」

「い、いいえー」


ちょっとユーリの声が裏返ったのは秘密である。突然で驚いたのかユーリはほうけている。


「先行く」

「!待ってー!」


ソラリスが先へと早足に歩き出してしまったのでユーリは急いで後を追った。この後は牧師の家で読書タイムでした。

もうこいつら兄弟じゃね?

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