六十五の曲〜思い出の海岸で見た夢は〜
夢を、見ていた。何故分かったか。それは目の前に広がる海岸と海のおかげだった。そう、此処は、あの海岸。茜色に染まったこの場所でよく2人で遊びに来ては茜色が黒になる前まで遊んだ。
今は少し薄暗い。右の方角を見ると廃墟の教会があった。あんなもの、あったっけ?幼い頃の記憶を辿るが、見当たらない。とりあえず、行ってみよう。
夢の中の思い出の海岸を歩き、廃墟の教会へと歩を進めた。
廃墟の教会へと足を踏み入れると中の状況に感嘆が零れた。割れたステンドガラスから月光が差し込み、なんとも言い難い幻想的な雰囲気を醸し出している。
「♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜」
歌声が聞こえた。優しく、暖かな声。声のした方を見るとそこには女性がいた。腕の中には赤ん坊がいるようで赤ん坊に向かって微笑みかけながら歌っていた。
「♪あなたを想う子守唄〜♪心という意味を与えながら♪」
子守唄…のようだ。あの歌だと思ったけど違ったみたい。だけど…この歌聞いたことある気がするんだよね。なんだっけ名前…。
待ってこの歌…本当に子守唄?…違う…これは…
「♪〜♪〜…ふふふ、よくお眠り。私の愛しい子」
女性は赤ん坊を優しく撫でる。優しく、暖かな笑み。すると女性は赤ん坊を連れて廃墟の教会を後にした。その後を追おうとする。
?!
あ、足が動かない?!な、なんで?!そうこうしているうちに目の前に、赤が、広がった。
ーそして、目が覚めたー




