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三十の曲〜おはようございます、仲間よ〜

「ん…?」


その呻き声にソラリスは眠い目を擦りながらその呻き声の主を見た。そしてその目は驚きと喜びで見開き出す。ソラリスは隣で寝ていたルルを揺らし、ルルを起こす。


「ルル、ルル!」

「ん〜…?なぁ、に…ソラ…」

「あっ!ルル!ソラリス!」

「ふぇ?!」


眠そうだったルルが驚きで開眼する。ルルとソラリスの視線の先には何事もなかったように起き上がり、2人に向かって笑顔を向けているユーリがいた。


「ユーリ?」

「はい?ウチはユーリだよー」

「ユーリ!!」

「うわ?!」

「このバカ!心配させやがって!」


ルルがユーリに抱きつき、ソラリスがユーリに向かって笑って叫ぶ。ユーリはルルを受け止め、泣きそうに呻くルルの背を優しく撫でる。そして自分がいる場所に気づく。深い深い森の手前。なぜ、ナオがいないのかも思い出す。


「ここ、どこ?」

「俺達があいつらを追ってここまで来た。けど、暗過ぎて…」


ソラリスが悔しそうに告げる。するとルルが悲しそうに、大変だと告げる。


「ナオの命が危険かもしれないのにユーリは倒れちゃうし場所は分かんないし…もう何日も経ってる。心配だったんだから!!ナオも心配!!」


ルルがユーリから離れた。ユーリはにっこり笑って言った。


「大丈夫だよ、なおみんは無事」


根拠のないユーリの言葉にルルとソラリスがキョトンとするがすぐ我に還り、ソラリスが怒鳴るように叫んだ。


「どうしてそんな事が言える?!なんの根拠があってそう言えるんだ?回復魔法に蘇生はない。もし、ナオが、あいつが命をすでに落としていたらもう一生会えないし戻ってこねぇんだぞ?!」


彼の言う通りだ、ルルの表情も硬くなる。

この世界には回復魔法、つまり傷を治す魔法はあるが死者を蘇らせる魔法はゲームと違い存在しない。もしこの裏の世界でそんな魔法が存在していたのならナオとユーリが呼ばれる理由などない。あったら全員、不死だ。きっと今よりも残酷な世界になっていたであろう。


「ウチを信じて。なおみんは無事、生きてる」


真剣な表情で淡々と告げるユーリ。

それにルルとソラリスは彼女が嘘を言っていないと直感的に分かった。まだ数日と日の浅い2人と2人だが2人の性格や戦い方は分かっていた。

ユーリは大事な事については…いや彼女は嘘を付けない。と言うよりも彼女は嘘を嫌がる。冗談でつくことはあるが。だから2人は分かった。嘘じゃない。


「理由は何?ユーリが嘘を嫌ってるってのは知ってるけど、それだけじゃ信じるのは難しいよ」


ルルの答えにユーリは困ったように苦笑いをした。


「そう、だよね。でも、ほら」


ユーリが右の人差し指であるモノを示す。そちらに目を向ける2人。そこには今まで暗くて分からなかったが明るくなった今、深い深い森に静かにそびえ立つ古びた城が見えた。ここからではまだまだの距離だ。


「「!!」」


その城は昇り始めた朝日さえも遠ざけるほどの瘴気を放っていた。


「よく分かったね!」


「すごーい!」とルルが立ち上がり、その城を見て叫ぶ。


「あそこになおみんがいる…これで信じてくれる?」

「ボクは信じるよ!ねぇソラ!…ソラ?」


ルルがソラリスの顔を除き込む。彼は眉間にしわを寄せ、気難しい顔をしていた。


「俺でも分からなかったのにどうして分かった?」

「ナニ、ソラ。拗ねてんの〜?」

「拗ねてねぇわ!ただ…俺のスキルでも分からなかったのになんでユーリは分かったのか気になっただけだ」


ソラリスの言うことももっともだ。

彼のスキルでならわかるはずなのに今まで気絶していたユーリは見た瞬間、いや起きた瞬間に分かった。不可思議すぎる。

ソラリスの疑問にユーリは体育座りをしながら答えた。


「夢、見たんだ。ウチ、なおみんを取り戻そうとして飛び出して行っちゃったあの後。その夢の中で教えて貰ったの」

「教えて貰ったって…誰に?」


それにユーリはニッと笑って人差し指を口元に当て


「秘密」


と言った。

それにルルとソラリスは何も言わなかった。何故か。それは今の彼女がいつかのナオと同じ感じだったから。それともユーリの顔が聞くなと言っていたからだろうか。


「よし!ナオ救出作戦!開始!」

「急ごう、兎に角早く。早くにこしたことはないからな」


ルルが片腕を天高く上げながら叫び、ソラリスが立ち上がりながら言う。ユーリもうんと頷き、武器を持って立ち上がる。


瘴気を放つ城を3人は見据える。

さあ、早く仲間を助けに行こう。大事な、大切な仲間を。

仲間を連れ去った“敵”に容赦など要らない。


3人は城を目指して深い深い森に足を踏み入れた。

もうそろそろキャラクターの説明書こうかな…

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