二の曲〜カミサマふざけるなぁあああ!!!〜
一番、説明に苦労しました。のちに修正が入るかもしれない話ナンバーワンです。
入らないようにやりましたが……大丈夫でしょうか……
目を開けるとそこは暗い暗い空間だった。突然の暗闇に驚いた悠龍が奈緒実にすがりつく。
「な、なななおみん!!真っ暗!!なんで?!」
「落ち着いて悠龍」
奈緒実が悠龍を落ち着かせる。と彼女は落ち着いたようで奈緒実から離れて「ありがとっ」と笑った。
「優しいんだね君」
「「?!」」
その声に2人が顔を上げるとそこには暗い空間に浮かぶ一人の少年がいた。白いローブを身に纏っている。奈緒実はその少年を睨みつけながら言う。
「誰アンタ。俺達をこんな所に呼んで何用?」
「まぁまぁそう怒らないでよ」
「ね」、と少年が笑う。が違和感がある。目が笑っていない。その笑みに少し寒気がした奈緒実は悠龍との距離を縮めた。それに気づいた悠龍が奈緒実の体を温めるように両手で優しくさすってあげた。
「僕は君達が楽しんでいるゲームのカミサマさ」
「か…カミサマ?!ええっ?!」
「なんでそんな上にいる奴が?!」
少年の正体に驚く2人。少年、カミサマは2人に落ち着くよう促すとここに連れて来た意図を話し始めた。
「君達に止めて貰いたい…救って貰いたい青年がいるんだ」
「そろそろかな…」とカミサマが呟いたちょうどその時、シュン…と音がして大きな鏡が現れた。
「ご苦労様ー」
(え、何。それ通販とかなんかなの?)
カミサマがどこの誰かに言ったセリフにそう心の中でツッコミをした奈緒実は悪くない。
「これ見てくれる?」
カミサマが2人に言い、鏡に手をかざすと鏡の表面が歪み、何処かの村を映し出した。
「すっごーーい!!」
「すごいでしょ。僕は君達が楽しくゲームが出来るようにこの世界…君達が遊んでる世界とは違うパラレルワールドでいろいろなことをしている」
「つまり、カミサマは俺達が普段遊んでる世界の裏側にいるってこと?」
「まぁ、そういうことだね」
鏡に映し出されている村から黒い煙が上がる。2人が顔を近づけるとカミサマが村をズームアップする。するとそこには魔物の中に紛れて人々を脅かしている青年がいた。
「この青年を君達に救って貰いたい……君達はゲームが平和だったら面白くないだろう?」
「まぁ、面白くないな…」
カミサマの問いに鏡を見ながら答える奈緒実。
「だろう?僕は神だ。だから少しだけ、ここの彼らをいじって君達が遊ぶゲームの世界に影響を与えている。だけど何処をどういじりすぎたのか戦争が暴走、村一個が壊滅してしまってね。村人が2名を残して全員死亡。そこの生き残りが彼。まぁ元々、壊す予定だったからいいけどね」
それに2人は顔を青ざめた。いくら自分達が遊んでいるゲームだからって裏側で人が死ぬのはいいことではない。カミサマもカミサマだ。予定だったから良いわけではない。
カミサマはそんな2人を見て気にしないでと笑っていない笑みで言う。どう気にしないでいろと言うのだ。
「彼は村が壊滅したのは、家族が死んだのは助けさえしなかった僕のせい、原因は僕だって思って、世界も滅ぼそうと闇に身を染めてしまったんだ」
「……で、なんで俺達?」
「人間の問題は人間にお願いしたくてね」
カミサマは鏡を一瞥し、鏡を消すと質問はないかと2人を見た。
「なんでウチらなの?この子を救うのが」
「君達は僕が調べた中では最強だからね」
奈緒実が続けて問った。
「なんで、目が笑っていない?」
「あっそれ、ウチも思った!」
悠龍が同意するとカミサマは不思議そうな顔で言った。
「だって心を捨てたからね」
「「?!」」
驚く2人。なんで心を?
「なんで捨てたの?!」
悠龍が悲しそうに問うとカミサマは当然というような口調で言った。
「心なんかあったら面倒だろう?感情に流されることもないし。さて、裏側に行く覚悟はいい?」
衝撃的な発言のあとにまた衝撃的な発言である。
「は?覚悟って…俺達やるだなんて一言も言ってないぞ?」
「言ってなくてもコレ、終わるまで強制ね」
「「はぁああああ???!!!!」」
カミサマの強制発言に2人は文句を叫ぶ。
やるだなんて一言も言ってないし、ただ説明受けただけなのに?!それにさっきの出来事もめちゃくちゃ気になるし!?
カミサマはそんな2人を無視してパチンッと指を鳴らす。と2人の足元にぽっかりと大きな穴が空いた。
「うわっっっ!!」
「きゃあああああああ!!!」
穴に落ちていく悠龍。奈緒実はすんでの所で淵を掴み、落ちるのを耐えた。
「悠龍!!」
「あれ?落ちてない?さっさと落ちてよー」
カミサマは奈緒実の所に舞い降りると彼女の手を足で蹴った。奈緒美の顔が蹴られた痛みで歪み、手を離してしまった。
「こんのクソカミ!!あとでぶっ殺す!!」
そう叫んで奈緒実も穴に落ちて行った。カミサマはそれを聞き流しながら落ちて行った2人に向かって手を振る。
「頼んだよー【光】と【闇】の戦士達」
立ち上がり、そこを後にしようとするとどこからか花弁が舞ってきた。それを見てカミサマはそういえばと思い出す。
「奈緒実って子、誰かに似てたけど…誰だっけ」
ま、いっかと思い出すことを放棄したカミサマの脳裏にある女性が突然、浮かんだがすぐさまそれは消えた。カミサマはそこを立ち去った。