十五の曲〜信じる、信じないの意志〜
ルルとソラリスを仲間に加えた『ブラックローズ』。紋章の予備はなかったため、紋章なしになってしまった。
都から出て、次の近いところを目指して彼らは歩き出した。
「……仲間にはしたが」
突然、前を歩いていたナオが呟いた。それにルルとソラリスは首を傾げ、ユーリは慌ている。
「俺はお前らを信じたわけじゃないからな……裏切るかもしれないんだからな」
「だ、大丈夫だよ!ボク達は裏切らないからっ!」
そう大丈夫だと言うルルとそれに力強く頷くソラリス。その2人を振り返りながらナオは彼らを白々しい目で見ると再び歩き出した。
「なおみんー!……えっと、ごめんね」
ナオの背を見送り、2人に謝るユーリ。3人はナオを追って歩き出す。
「まあしょうがないさ。誰だって最初は信用できないものさ」
ソラリスがポンッとユーリの頭を叩いた。だがユーリは浮かない顔をしていた。
「そんな簡単なもんじゃないんだよね」
「え〜?どういうこと?」
ユーリの言葉にルルが聞くと彼女は苦笑いをしてナオを追って走り込み、彼女の背中から彼女に抱きついた。前のめりになって転びそうになったナオがユーリに怒鳴る。それをユーリは笑いながら謝る。そんな彼女らを見て2人はクスリと笑って彼女らを追った。
***
「キャッ」
「なんだよルル…て、あ?!」
突然声を上げた2人の視線の先には魔物。大きな、狐の姿をした魔物だ。九本の長い尾を優雅に左右に揺らしながら彼らを見ている。緑の目を2人に向け、まるで値踏みしているようだ。
2人の声に他の2人も気づく。と武器を握りしめた。それを見て2人も武器を持つ。
「予言者眼」
ソラリスの瞳が淡く黄色の光を放ったかと思うと彼はその瞳で魔物を射抜くように見た。途端に見え出す魔物のHPやMP、攻撃力に弱点。
それを確認し、ソラリスが口を開こうとした時それに気づいたナオが彼に向かって怒鳴った。
「何やってんだよ!!余計な事はするなっ!」
「は?何言ってんだよ。お前がこのギルドの長だとしても俺にそんな事を言う権限はねぇだろ?」
何故、そう怒るのかソラリスには分からない。信用していないからってここまで言うか?
「弱い者は強い者に従えばいい!」
「ハァ??!!んだよそれ?!諦めない意志とやらはいいのかよ?!」
「そんなもの、今は関係ない!俺はお前らなんかこれっぽっちも信用してねぇ!裏切るかもしれねぇやつらにはいい態度だろ?!」
カチンとソラリスの頭に来た。
自己中心すぎる。裏切るかもしれないからってそこまで……。
「てんめぇ…」
ソラリスがナオの胸倉を掴み上げる。
「ソラ!」
「ナオ!」
それをユーリとルルが止めた。そして言う。
「今そんな事で喧嘩してる場合じゃないでしょ?!」
「目の前に敵がいるんだからやめてよ!ナオも言い過ぎ!ナオはそんな自己中心すぎる子じゃないでしょ?!」
ユーリの言葉にハッとナオは我に還ったように視線を彷徨わせた。そして…落ち着いた声で言う。
「………言い過ぎた、すまん」
「嗚呼」
一応の仲直り。
「なんでそこまで?」
ルルが聞くとナオは自らの両腕で体を包み、言った。
「俺はある人に裏切られた。だから……怖いんだ」
恐怖に歪んだ顔で言うナオ。それにルルとソラリスは2人の前に立って、顔だけで振り返りながら言う。
「怖がらないで。ボク達は裏切らないよ、絶対に。だってこんなに頼り甲斐のあるナオなんだから」
「俺も。すげぇいい戦い方をするお前を俺が見間違えるはずがねぇからな」
2人の笑顔にナオの何かが少し、軽くなった気がした。ポンッとユーリがナオの背を叩く。
「2人を信じてみたら?」
心に巻きついた鎖が少し、癒された気がした。
「…………嗚呼、頼むぜ。ルル、ソラリス!」
「「!!」
ナオに名を呼ばれ、2人は真剣な面持ちで武器を握り締め、答えた。
「「うん!/おう」」
「ユーリも頼むぜ」
「まっかせてっ!」
ユーリが叫ぶ。
さあ、4人での『ブラックローズ』の初戦、開幕だ。新たな絆と共に敵を撃て!
めっちゃ話決まってるのに進まないで頭が困惑しております(汗)