表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
謎の王子先輩  作者: 宮澤花
シンデレラの魔法
79/104

「とにかく。ずっと二人っきりでいたのに、女の子をダンスにも誘わないなんて信じられないな」

 不機嫌に言う王子先輩。

「はああ?」

 坊ちゃん先輩は、完全に赤くなった。


「誤解を招くようなことを言うな。俺たちはただ、お前たちのダンスを見ていただけだ。このとおり、周りに人もいるし、二人っきりになったのは」

 チラッと私を見て、更に赤くなる。

「控室で、ちょっとだけだ」


「そうなの?!」

 驚愕した表情になる王子先輩。

「有り得ない! 余計バカじゃん」

「何を驚いてんのか知らんが、なんか気に障るな、その態度」

 怒る坊ちゃん先輩を無視して、王子先輩は。

 はあああああ、と大きなため息をついた。


「僕がここまでお膳立てしてやってるのに、このダメっぷり」

「だから何なんだ! その意味不明な上から目線、ムカつくぞ」

 そう言われた王子先輩は、キッと坊ちゃん先輩をにらみ返し。


「ウルサイ」

 と呟いて、立ち上がった。

「もういいから、ゴチャゴチャ言ってないでさっさと踊りに行って来い!」

 坊ちゃん先輩の背中を、長い脚で蹴飛ばす。

 

 蹴られた坊ちゃん先輩は、たたらを踏んで私のすぐ傍にまで来た。

「痛い! 何すんだ、このバカ野郎!」

 坊ちゃん先輩の抗議にも、王子先輩は知らんぷりである。

 背中をさすりながら、坊ちゃん先輩はこちらを向いた。


 そうしたら、びっくりするほど近いところに、坊ちゃん先輩の愛嬌のある顔があった。

 私たちは焦った。とっさに、私は下を向き。坊ちゃん先輩は王子先輩の方を振り返る。


「何?」

 面倒くさそうに言う王子先輩。

「僕は、ちゃんと好きな人とダンスして来たよ?」


 は? 話のつながりが見えない。

 坊ちゃん先輩もそう思ったらしく、

「好きな人? お前に?」

 と聞き返す。

 王子先輩は、マジメな顔でウン、とうなずいた。


「誰だよ、いったい?」

 ツッコむ坊ちゃん先輩。私も気になる。

 王子先輩はマジメな顔のままで言った。


「お母さん」

 あー。聞いて損した。


 そんな私たちを、王子先輩は急かす。

「ホラ。さっさとしないと、ダンス終わっちゃうよ?」


 坊ちゃん先輩が、私の方を向いた。

 やっぱり、顔が近い。なんか、ドキドキする。

「えーと、く、久住さん」

 少し裏返り気味な声で、坊ちゃん先輩は言った。

「お、俺とっ! 一曲踊っていただけないか!」


 はい?

「いえ、いいです。同情で誘っていただかなくても。私、元々ダンスとか興味ないですし、別に踊らなくても大丈夫です」

 チラリと王子先輩を見る。

「どうせ、私のダンスなんて最悪ですし」


 坊ちゃん先輩は、いっそう焦った表情になった。

「いや、さっきのは! あのバカについ、つられただけで」

「僕のせいにするなーー」

 床にペッタリ座り込んだ人が、なんか野次をはさんでくる。

 

「うるせーー、黙れ外野! 百パーセントお前のせいなんだよ!!」

 怒鳴りつけてから、坊ちゃん先輩はもう一度私の顔を見た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ