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謎の王子先輩  作者: 宮澤花
カボチャの馬車がやってくる
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 それからのことは、もう。思い出すだけで頭がクラクラするというか。


 超満員のすし詰め列車で一時間。当然のように、東京に着いた時には王子先輩の機嫌は最悪。私の傍に立っていた人を、「コイツ痴漢です」と言って駅員さんに突きだしていたし。いやあ、ただ混んでいて私に当たっちゃっただけだと思うけど?


 そのまま、地下鉄に乗り換えて十五分。長い階段をのぼって地上へ。

 大通りを少し歩いたところにある、シャッターのしまった店をノック。

 ここって。超有名ブランド店……。

 そしてなんと、先輩のノックに応えてシャッターが少し上がった!


「連絡しておいた、坪田だけど」

 先輩が不愛想に言うと、

「ちょっとお待ちください」

 と声がして、しばらくして裏からキレイな女の人が出てきた。

 

 で、開店時間前だから、と裏口に連れて行かれ、そこから入店する王子先輩と私。

 先輩は誰もいない店の真ん中にどかっと座って、

「コイツに合う服。派手過ぎなくて上品で、動きやすいヤツ。急いで! 時間ないんだからさ!」

 と注文。

 ひー! 高級店で、店員さんにそんな注文する人いないよ!


 まるでファストフード店で、「コーヒーを席まで持って来い!」と言い付けるクレーマーのような態度だ!

 いや、実際王子先輩がそういうことする現場に居合わせたことはあるけど。


 いくつか店員さんが素敵なワンピースを出してくれて、ひたすら着せ替え人形のように試着する私。結局、先輩が気に入ったのが、紺の上品なワンピース。

 しかし、まだそこから!

 靴だの。靴下だの。アクセサリーだの。下着だの。化粧品だの。

 上から下までブランド店ナイズされる私!

 

 一万円のストッキングなんて。私、おそろしくて足を入れらんないし。

 そして、六千円のパンツとか。

 このおパンツさまに、私のお尻はどう考えても釣り合ってない。


 そして、それ全てにかかったとんでもない金額(ケタは六ケタ)を、王子先輩はこともなげにキャッシュで払った!

 何が起きているの!!


 そのまま、高速で拉致!

 見たことも聞いたこともない美容院に放り込まれる!

 そこの店員さんたちの思うままに髪をカットされ、化粧され。

 もう、自分が誰だか分からなくなった頃にその店を連れ出され、JRのグリーン車で大学の最寄駅へ!!

 もちろん、全て王子先輩の支払い!!


 この人、顔は王子先輩だけど中味は別人じゃないかしら。ハンバーガー屋でポテトを一円単位で割り勘した人とは思えないよ。


 で、十一時半ジャストにすべりこみで大学に到着。そのまま、私は受付へ。お昼を食べに行く人の交代で入る。


「あれ、どうしたの久住さん。気合入ってるね」

 と男子学生には言われ。

「彼氏でも来るの? ちょっと**(ブランド名)っぽいね」

 と女子学生には言われ。


 気合入ってるのは私ではないし、彼氏はいません。

 そして、某ブランドっぽいのではなく、そのものです。

 けど、着るのが私じゃ「っぽい」程度だよね。王子先輩、あなたはムダ金を遣ったよ。後で支払えって言われたらどうしよう。


 その王子先輩は、私を受け付けに送り届けるのと同時に、委員長にどこかに拉致されて行った。

「じゃあ、約束を果たしてもらおう」

 とか言われてたけど。王子先輩、委員長とも仲いいんだな、意外。


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