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「昨晩一時過ぎに、坪田から俺に電話があってね」
委員長は説明した。
「もう寝ていたし、不快だし、時間が時間だから放置しておいたんだけど、あの人、延々と鳴らし続けてねえ」
わあ。やりそう。
「こちらも無視し続けていたんだけど」
メンタル強いな、委員長。
「一時間を超えたところで、さすがに鬱陶しくなって携帯を手に取り」
一時間って! すごい攻防だな!
「電源を落とした」
最終的に切ったんですか! むしろもっと早く切ればいいのに!
「そうしたら、夜中の三時頃、アパートのチャイムを鳴らしまくってドアを乱暴に叩く音が」
うわあ! なんかすごく、続きを聞きたくない展開に!
「近所迷惑だから、さすがに無視できず、チェーンをかけたままドアを開いた」
ウン、無理はないけど、何でそう無闇に防御態勢万全なんですか、委員長。
「怒り狂った坪田が立っていて、開口一番、『こんな時間にヒトを自分の家まで来させるなんて、何を考えているんだよ』と」
あー。うん、もうまざまざと思い描ける、その情景。
で、そこまでして王子先輩が委員長に伝えたかったことが。
「今日の午前中、私の予定を明けさせろ」
というものだったらしく。
完全に目が覚めてしまった委員長は、そこからシフト表の作り直しを初め、明け方まで仕事していたそうである。
なんか、スミマセン委員長。私のせいじゃないけど。
「ウン、付き合ってないなら別にいいんだ。ただ、坪田っていろいろアレだから」
そうですね、分かります。とうなずくと。
「いや、そういう意味じゃなくてね。いやいや、そういう意味もあるんだけど、坪田はいろいろ危ないから。久住さんは真面目だから、合わないと思って。じゃ、朝からお節介ですまなかったね。俺はもう大学に行くから」
って。まだ七時前なんだけど、委員長。働き者だな!
しかし。いったい、何なんだ。相変わらず謎すぎる王子先輩の行動。
そう思った時。
私の家の扉を破壊的に叩く音が!!
深夜に負けず劣らず早朝の騒音は迷惑なので、仕方なく速やかに玄関を開ける。ああ、私も委員長みたいにチェーンをつけたまま応対したい。けど、それをやったらものすごく怒るんだろうなあ。
ドアを開けると予想通り。
昨夜、「もうこんなボロアパートには来ないから」とか言っていた人が部屋の前に立っていた。
「おはようございます、王子先輩」
言い切る暇もなく。
「何だよお前、そのカッコウは!」
先輩が怒りだした。
「寝間着ですけど。起きたばっかりなんですよ、どうしたんですか。こんなに早くから」
「いつまで寝てるんだよ! 今日は服を買いに行くっていっただろう!」
さらに怒る王子先輩。
その話、本気だったのかい。
とにかく、家の外でわめかれていてもみっともないので、中に入れる。
「買ってくれるというのはありがたいんですが。こんなに早く来られても、どこのお店もやってませんよ」
「バカだな! そんなの手を打ってあるから、早く支度しろ。樫村が十一時半にはお前を大学によこせ、って言うんだ。急いで行かないと、時間が足りないじゃないか」




