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「不本意なんだけど。仕方ないからお前を高原の友達として認めてやるよ」
顔を合わせるなり、いきなりこう言われた。
アンタは、坊ちゃん先輩の何!?
そして、その上から目線は何!?
私の口からそんな思いがこぼれる前に。
「お前は何様だあ! あやまる立場だろうが、こっちは!!」
坊ちゃん先輩が、思いっきりツッコんでくれたのだったが。
王子先輩。メンドクサ! 女か! アンタは!
いや、私は女だけど、アンタよりはサッパリしている自信がある!
粘着質の男って……ウザい。ウザすぎる。
と、私はしみじみ思った。
それ以来、王子先輩は私のことを、基本「クズひま」と呼んでいる。「クズ」で「ひま」な感じがして、大変感じの悪い呼称である。
「いったい何だ、それは?」
と坊ちゃん先輩がツッコんだら、
「えー? だって、『くずみヒマワリ』さんだから。苗字と名前から二文字ずつ取って、クズひま」
とか、ヘラヘラ笑っておっしゃった。
そこを取らなくてもいいじゃん!!
更に、
「それにしてもさあ。ヒマワリって、ないよね。お前さあ、兄貴いる? 兄貴いて、名前が『しんのすけ』だったら笑っちゃうよね」
とか、せせら笑いながら言いやがる!
気にしてることをっ! 子供の時から、そのネタでどれだけからかわれてきたと思ってるの!
やはり、限りなく発想が小学生っぽい。
しかし、何よりウザいのは。
これだけ普通じゃない振舞いをしまくっていても、周囲がそれをスルーしてくれることである。
あの、「どこから見ても王子様」な見た目の影響力はスゴイ。
たとえ、王子先輩が昼食中、私のトレーにいきなりアマガエルを放り込むという暴挙に出ても。
毛虫を入れても。
アゲハの幼虫を入れても。
でっかいドブネズミを持ち込んでさえ。(これは虫系とは別の意味でビックリした)
みんなはそれを、「なかったこと」として記憶消去してしまうのである!
坊ちゃん先輩に対して、独占欲丸出しなセリフをシャウトしても、みなスルー。
みんな現実より、自分のイメージを守るのだ。
そしてタチの悪いことに、それを本人が熟知している。
そういうわけで今日も彼は皆から「王子先輩」と崇められ、女にモテまくり、それを適当にとっかえひっかえしながら楽しんでいるわけである。
うん。王子先輩のことをかなり知るようになった今なら、ハッキリ言える。
王子先輩は、性格悪い。
気合の入った意地悪女と、小学生男子をミックスして二乗したような性格をしている。
結局、要するに、ひとことで言って、「ウザい」のだった。




