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そういうわけで、坊ちゃん先輩とは友人になり、学内で会ったら挨拶をするようになった。
お昼休みに学食で会うと、
「一緒に食べるか?」
と声をかけてくれたりする。ありがたい。いい人である。
しかし、その辺りから王子先輩の私を見る目が変わった。
それまでは、その他大勢を見る無関心な目付きだったのが。ゴミ虫を見るような目に変わったのである。
それからは、いろいろヒドかった。
「そんな女の顔を見ながらモノなんか食べられない」
と言われたり。
「ダメ。席はもう一杯だから」
と、たっぷり空いている席を荷物その他で占領して言われたり。
きわめつけは、
「あっ、ゴメン」
なんて言いながら、わざとぶつかって私のお昼ご飯を床にぶちまけてくれたり。
昭和のドラマか!!
と言いたくなるような、ベタ、かつ、ねちこいイヤガラセで、私の昼食への同席を徹底的に妨害してくれたのだった。
それでも私は我慢したのだ。私だって、身の程は知っている。
一般学生である私などが、学内の二大人気者である坊ちゃん先輩と王子先輩と一緒に昼食……なんて、とんでもないことである。
しかし、さすがに。何度も何度も露骨に拒否られると、いい気はしない。
そして、ある日。
私より先に、坊ちゃん先輩がキレた。
「あのな! いいかげんにしろ。女の子相手に、みっともないと思わないのか」
うん。確かに、王子先輩の手口はみっともない。というか、いろいろセコイ。
そうしたら、王子先輩はただでさえ白い顔を更に蒼白にして。
「僕より、その女の方をとるのかっ!」
と、デッカイ声でお叫びになった。
あのう。もしもし?
今度は何のドラマ?
私も坊ちゃん先輩もぽかーんとしている内に、
「もういい! どうせ、僕よりこの女の方を信じるんだろ? 高原のどスケベ! 女好き! バーーカ! 大キライだ!!」
とわめいて、ぷいっとどこかに行ってしまった。
意味が分からん。
その後。午後の授業もすっぽかし、携帯の電源も切って連絡も取れなくなった王子先輩を、坊ちゃん先輩は心配して探し回り。事情が事情なんで、私も放っておけずに一緒に町中を探し回った。
結局、見付けられなかったんだけど。
夜になったから、私は帰っていい、って坊ちゃん先輩に言われた。
最後まで付き合います、って言ったんだけど、坊ちゃん先輩は「女の子を遅くまで引き止めておけないから」って帰らせてくれた。
王子先輩の行動がオカシイだけに、坊ちゃん先輩がいっそう良識のある大人っぽく見えた!
で、その後、坊ちゃん先輩はなんとか王子先輩を見付けて、それで何やら男同士で話がついたらしい。
次の日には、何事もなかったように王子先輩は大学に来ていた。




