8
「あ、これもおいしいわよ! ありがとね、ヒマワリちゃん」
フォローしてくれる礼子さん。いえ、いいです、無理しないで。
「うちのダメ亭主がこういうの好きだし。ありがとねえ」
ナルさんか。体育系な感じだけど、甘いモノ……。いや、食べそうかな。甘いのも辛いのもいけそう。なんとなく。
「それに、コウちゃんも好きだろ。アイツは何でも食べる」
欣治さんが言った。
「今日も泊りに来るだろ。来たら喜ぶぞ」
え。
「そうなんですか?」
つい、聞いてしまう。
「ああ。週の半分はウチに泊まってるぞ、アイツ。もう、コウちゃんも家族みたいなもんだなあ」
そう言って欣治さんは笑った。
新事実! そこまで癒着してるのか、あの二人!
はあ。道理で仲がいいわけだわ。文字通り、寝食を共にしてるわけね。
「あの。私、そろそろおいとまを」
新事実が分かったところで、立ち上がる。あんまりいても、迷惑だろうし。
「あら。やっぱり、顔くらい見ていったら?」
勧めてくれる礼子さん。いや、でも。
「起こしちゃっても悪いですし」
「あら、あと三時間は起きないわよ。睡眠薬で寝てるから」
坊ちゃん先輩の話はホントだったのか。
「そうでもしないと、何するか分かんなくて」
礼子さんはしみじみとため息をついた。
「四十度近く熱があっても、雨の中に出ようとしたりするんだから。ホント、目が離せないのよ」
それは、熱のせいで幻覚があったとかそういうヤツじゃないんでしょうか。
まあ、確かにそれはコワイかも。眠っててくれた方が安心だよね。
ついでに、一生眠っててくれた方が……という言葉は、適当ではないので自分の中で封殺した。




