表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
謎の王子先輩  作者: 宮澤花
フツウって素晴らしい
47/104


 その手紙の内容。


久住ヒマワリ様。

 僕は体調を崩してしまい、残念ながら数日の間はお顔を拝見することが出来ません。

 熱にうなされる中、思い出すのはアナタのおっしゃった言葉ばかりです。

 母が僕に薬を盛ろうと待ち構えているので、回復するまでもうお便りを出すこともかなわないと思います。

 でも、このことだけは忘れないでいて?

 僕はアナタの言っていたことを忘れられそうにありません。(下線付き)

 ではお元気で。またお顔を見ることが出来るのを、心から待ち望んでおります。

追伸:僕がアナタに言ったことを決して忘れないで         


 何……。コレ。 

「きゃああ? 何コレ? ラブレター?」

 手紙を覗きこんだ麻美ちゃんが、高い声を上げる。


「ヒマワリ! アンタ、王子先輩とどんなことになってるの?! 付き合うの? やっぱり付き合うの?」

「イヤ、あのね」

 私は首を横に振った。

「これ、恨みつらみの詰まったイヤガラセの手紙なんだけど」


「どこが?」

 きょとんとする麻美ちゃん。

 それを説明するには全てを説明しなければならない。理解してもらうのは不可能だろう。

 しかし、私が見たところ手紙の意味は大体以下のような感じ。


(手紙・ヒマワリ訳)

久住ヒマワリ様

 お前のせいで熱を出しちゃったじゃないか! どうしてくれる!

 お前がヘンなオバケ話をするから夢にまで出て来るし!

 眠れなくなっちゃったじゃないか!

 今度会ったらタダじゃすませないから覚えておけよ!!                 

追伸:ステップ忘れてたらコロス

(ヒマワリ訳終わり)


 ああ。今度会ったら私、何をされるんだろう?


「あのー。『母が薬を盛ろうとしてる』って、どんな状況なんですか?」

 麻美ちゃんが坊ちゃん先輩に聞いている。ウン、確かにヘンだね。

 全てがヘンだから、もうツッコむ気もしないんだけど。


「ああ。アイツの家では、アイツかナルさんが倒れると、強力睡眠薬で強制的に安静にさせることになってるんだ」

 坊ちゃん先輩が説明している。

「そうしないと、熱があっても何をしでかすか分からないらしい」

 なんていうか、王子先輩の家だな。どうでもいいけど。


「久住さん。アイツは渡せば分かると言っていたが、大丈夫だったか?」

「ええ。まあ」

 私は真っ暗な表情で答えた。

 高熱を出しているのに、わざわざこんな手紙を書いてイヤガラセをしてくる王子先輩。その存在が、ウザすぎる。


 ため息をつく私をじっと見てから。

「久住さん」

 坊ちゃん先輩は、私の肩に優しく手を置いた。

「事情は分からない。が、もし万が一。あのドアホウに、無理や無体を強いられているなら、俺に相談してくれ」

 きっぱりとした口調で言う。

「その時は、俺がアイツを責任もって排除する!」


 それは、きっと心からの言葉で。

 坊ちゃん先輩のマジメな顔をじっと見ている内、私の心はだんだん温かくなってきた。

 ああ、本当にフツウだ。フツウに心配して、フツウに気遣って、フツウに力になろうとしてくれてる。


 王子先輩と絡んでいると、何一つフツウに進行することがないだけに。

 このフツウさが、限りなく貴重なものに感じられる。

 フツウっていいよね! フツウ万歳!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ