表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
謎の王子先輩  作者: 宮澤花
王子先輩と坊ちゃん先輩と私
1/104

 大学構内を、友達とおしゃべりしながら歩いていたら、突然すごい力で腕をつかまれた。

「いたっ?」

 ビックリしたのと痛いので、反射的に腕を確認する。白くて大きな手が、私の腕をつかんでる。


 手から手首、手首から腕、腕から肩……と、たどっていくと。最後にとんでもなくキレイなお顔にたどりついた。

 色白で女の子よりきめの細かい肌。彫りの深い整った顔。色素の薄い茶色の目と、天然茶髪のやわらかそうな髪。

「王子先輩?」

 なんと、学内で知らない者のない、とっても美形でとってもカッコいい王子先輩その人が、なぜだかとってもコワイお顔で私をにらんでる。


「何、やってるんですか」

 思わず聞いてしまうと、先輩は余計に不機嫌そうな顔になって、

「何じゃない。サッサと来い」

 と言って、私を引きずって歩きだした。

 すごい速足で、私はついていくのが精一杯。

 突然の出来事に、みんな呆然としているのか。一緒に歩いていた友達でさえ、追って来てはくれなかった。


 ああ。

 また、学内でヘンな噂が立つ。

 想像しただけで泣けてくるけれど、もう遅い。

 一般人の私に出来るのは、諦めて受け容れることのみ。

 でも。せめてもう少し目立たないように。

 人として最低限の気遣いを。

 求めることは出来ないのだろうか。  


 私を校舎裏の駐車場まで引きずってきた王子先輩は。

「ほら」

 と。なんか、ヘルメットを渡してきた。


「何ですか、これ」

「そんな物も知らないのか。かぶるんだよ」

 いや、それは知ってるんですけど。

「どうしてですか」

「はあ? 何言ってるんだよ。かぶらないと、僕が減点されるだろ!」

 先輩はイライラした調子で言った。

「減点ですか。でも、この辺に現場とかないですし」


 先輩が建築学科の学生だったことを思い出して、現場にでも連れて行かれるのかと私はキョロキョロする。

「久住ヒマワリ。ふざけるな!」

 先輩は、私のフルネームを呼んでキレた。あ、ヤバい。

 この流れは、相当怒ってる。


「ここにある僕のバイクを、お前は何だと思ってるんだよ。これに乗れって言ってるんだ!!」

「乗れって。いや、私、無免許ですし」

「誰もお前に運転しろなんて言ってない! 僕の後ろに乗れ、って言ってるんだ」


「え。イヤです」

 私は反射的に断った。

「バイクの二人乗りは、事故率高いですし。それに、王子先輩の運転とか」

 正直、コワイ。コワすぎる。


「僕の運転が何だって」

 王子先輩はものすごく低い声で言った。

「いいから、乗れ。乗らなきゃ、ここでひき殺す。どっちにする?」

 目がマジだった。

 王子先輩とタンデムとか、あらゆる意味でコワすぎるのだが。やはり私には拒否権はない様子だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ