痛みの少女、その後
小説カキコで描いていた話の、その後です。その作品のURLは活動報告にでも張っておきます。よろしければ、どうぞ。
私の制服を捲って、腕を確認する。
そこに引かれた線。
毎日朝起きたら、傷をつけてみる。その数は、魔夫ちゃんが居なくなった日から迎えた朝の数。
魔夫ちゃんは、私の顔を見て、笑って、勢いよく頬を叩いた。
大きな音がして、廊下の奥に居る先輩が、目を見開いた。
「痛い?」
魔夫ちゃん。私、頑張ったの。毎日、毎日。生きているんだか死んでいるんだか、よく分からなくなって、夜は眠れないのがほとんどで。でも頑張ったの。今も息をしているの。いつか魔夫ちゃんに会えると信じていたから。だから、頑張れたんだよ。だから、生きてこれたんだよ。
涙でよく見えない。魔夫ちゃんが、滲む。
魔夫ちゃん。行かないで。もう、行かないで。置いていかないで。私の生きる意味は、あなたなんだから。
あなたしか、いないんだから。ずっとそうなんだから。
「うんっ……すっごく、痛いっ」
痛いよ。ジンジンするよ。びりびりするよ。久しぶりだよ。この感覚。すっごい、久しぶりだよ。ついでに今朝付けた切り傷も痛いよ。痛くて、痛くて、涙が止まらないよ。
そんな私の涙を指ですくい上げる魔夫ちゃん。変わらない、優しさがにじんでる。
嬉しいよ、どうしよう。
「……ごめんね」
なんでそんなこと言うの。私は帰って来てくれただけで、私を覚えていてくれただけで、すごく嬉しいんだから。それだけで、幸せなんだから。
ずっと待ってたんだけど、ずっと辛かったけど、そんなの全部涙で出ちゃったよ。嬉しい気持ちしか残ってないよ。
私の幸せが、帰ってきた。
痛みが、帰ってきた。
あの作品で一番気に入っているのはこの二人だったりします。旨い具合にキャラを立てることができなかったとか、反省点の多い作品になってしまいました。