2話 幽霊か、あってみてえな
あれから1か月と数日がたった。
数日前に不思議なニュースがあったので、今俺はこんな夜中に春見咲公園に向かって歩いている。
『先日、春見咲にて謎の殺人事件がありました。死体には体中に切り傷があり、首が取れてしまっていたようです。防犯カメラの映像には犯人は移っておらず、勝手に体に切り傷が出来ていったそうです。また映像をよく見ると目には見えない何かにおびえているようにも見えます。』
ニュースの内容はこんな感じだった。
ふざけているつもりはないが、もしかしたら幽霊になった奏兎と会えるかもと思った俺は、幽霊を探しに来ることにしたのだ。
一応持ち物はビニール傘とノートだ。
ビニール傘は、広げれば盾に、閉じれば武器になる、まあ幽霊に打撃が利くとは思えないが、不審者からは身を守らなければならないため持ってきた。
そしてノートは、幽霊の性質や情報を書きとめるのに使うためである。
さすがにルーシアに言ったら、死んだ彼女のことをバカにしてるのかとか、お前は人の死をそんな感じにして遊ぶのか、とか言われて怒られそうだからやめておいた。
「それにしてもこんなに道って、こんなに真っ暗だったか」
いつも通ってる道よりも少し暗い道に少し疑問を持つ。
俺は、家が春見咲公園まで遠いため、あまりこの周辺を通ることはない。
だから俺の家の近くの道より暗いだけかと思ったが、幽霊が来る前触れと思うことにし、少しワクワクする。
幽霊に会えるかもというワクワクした心と、絶対に奏兎の幽霊を見つけてやるという決意を抱いて、ついに春見咲公園にたどり着く。
「ついた、久しぶりの春見坂公園だ」
前に来た時にはあった木のベンチがなくなって、その代わりに金属のベンチが置いてあったり、砂場の砂が少し減っていたりしていて、少し変わったなという気持ちがわいてくる。
「よし、じゃあ幽霊探すか」
(万が一奏兎じゃない幽霊でも、幽霊が見つかれば奏兎も幽霊になってる可能性を見つけることもできるし、幽霊に殺されても幽霊になった奏兎に会える)
そう思いながらあたりを見渡そうとしたとき、何か銀色のものが一瞬横に映った気がした。
だが気のせいだと思い前のほうを見ると、俺の少し前のところに包丁のような刃物が刺さっている。
「これは、包丁か」
驚きのあまり口から言葉を漏らしながら、ゆっくり後尾を見ると、背後には腹部に赤いしみがついた学校のブラウスとスカートのようなものを着、顔は黒と赤の渦巻いた何かでおおわれていて、手に包丁を持つ人がたっている。
顔が覆われてしまっているため、誰なのか知ることはできないが、なんとなく誰なのか察しがつく。
(マジか、いたわ、こんなに普通に幽霊見れたら誰も苦労しねえっつうのに。1か月は軽くかかると思ってたんだが、でも嬉しい誤算だ。ただこんな感じで出てくるとも思わねえよ、大丈夫かこれ、話通じるか本人だったとしても、こういう状況ばっかりは計算できねえし、とりあえず話しかけるか)
「よお奏兎、久しぶりだな、どうした急にあぶねえもん投げてきて」
話があと少しで終わるところくらいに、奏兎に包丁を投げつけられ、俺の声は少し大きくなってしまう。
投げつけられた包丁はそのまままっすぐに俺めがけてとんできている。
(マジかよ。別人かこりゃ。)
さすがに包丁に当たったらまずいので、包丁の飛び方がどうなるか計算し、計算が終わり俺は、顔を少し左に傾けて包丁をかわす。
(いや、奏兎だな。よく見ると胸に俺らの学校の校章がついてる。じゃあ何でこんな感じに襲ってくるのかがわからねえ。ルーシアは絶対原因じゃないし、この前のデート、何があったんだよ。)
「ナンデ、ヨケレタノ」
奏兎らしき幽霊の声は、奏兎の声と全然聞こえるモスキート音のような声が入り混じった感じの声だった。
「お前ならわかると思うが、計算したんだよ、包丁の動きをな」
怖がったりおびえたりしては、友達に対して悪いとおもったのと、幽霊はおびえられることで狂暴になるという説も、地味に聞いたことがある気がしたので、堂々と言葉を返した。
(俺は奏兎によく、計算でいろんなことを予測してきたから、もしかしたら思い出してくれると思い、計算ってワードで返したが、思い出してくれるだろうか。)
「アッソ、デモツギハナイヨ」
いかにも、何も思ってませんよって感じを出して言い放ってきた。
(無理か。さすがに計算って言っただけでは、さすがに思い出してはくれないよな。何とかこいつの攻撃をよけながらルーシアの話とかすればいいか、でも原因がルーシアだったら控えた方がいいよな。なんにしても話は聞こえてそうだし、俺が狙われる理由でも聞くか)
「なんで俺に向かって包丁を投げる。理由があったら言え」
幽霊に話しかけるときに、どうすればいいかわからなかったため、とりあえず俺は、強い声ではっきりと短めの言葉で質問した。
しかし奏兎らしき幽霊は、質問に答えず、包丁を2本袖から出して投げてくる。
俺は、奏兎の袖の内側から包丁が、ひょっこり出てきたことに少し驚きつつも疑問を持つ。
(あいつ今、どこから出した)
しかし、その疑問に対して考える暇はさすがにないので、飛んできている2本のナイフに思考を移す。
俺の計算で、さすがに2本はよけられないと思い、俺は持ってきていたビニール傘を広げる。
飛んできた2本の包丁はビニール傘に穴をあけたが、持ち手の部分がつきぬけてこなかったのでなんとかガードに成功。
(あぶねえ。貫通しなくてよかった)
俺がナイフを防いだ後に、奏兎は口を開く。
「...ワタシハネ、カレシニ、ウラギラレタンダヨ」
聞き間違えかと思ってしまう。
俺は、奏兎が言った言葉に対し驚きを隠せず、信じられないといわんばかりに俺は、言葉を漏らしてしまう。
「ルーシアが、裏切った」
人物紹介
名前 :奏兎
読み方:かなと
性別 :女
性格 :ムードメーカーで明るい。
説明 :不治の病にかかっており1話の日の前の日に亡くなっている。零の親友でルーシアの彼女。




