1話 物語の始まりはお別れから
ここは、第三春見坂高等学校通称春見坂高校の1年3組の教室だ。
もうすぐ夏休みが始まるからか教室の中は騒がしい。
そんな中、元気がなさそうな雰囲気を出して椅子に座り、下を向いて本をページを15分くらいめくらず、眺めている少年が俺の前に座っている。
その少年は、俺と小学1年生から交流があり、今でも週に1回一緒に遊ぶくらいの中の親友であり名前はルーシアっていう。
ちなみに今は、そのルーシアの元気がなさそうに見えたので、俺は話したら元気になると思い、話しかけたところである。
「なあルーシア、大丈夫か」
「んあ~零か大丈夫だよ。ちょっとショックが大きかったみたい」
ルーシアの声は暗い感じの声から少し明るく声のトーンを上がっていってた。
ちなみに零っていうのは俺のことである。
(ああぁ、気を遣わせたなこりゃ、とりあえず簡単に返して逃げるか)
「まあそうだよな」
そう言った後の返事はやはりなく、2人間に沈黙の空気が流れる。
さすがにしゃべることなどできない空気だからな。
「わりいトイレ行ってくる」
そう言って俺はトイレに行く。(逃げる)
ルーシアの元気がないのは、あいつの彼女であり、俺のもう一人の親友である、奏兎が、前々からかかっていた不治の病で死んだからだ。
昨日、俺にお別れを言いに来ていた。
(もうそろそろかと思っていたが、当たってほしくない予想だったのに。その時にそういえば、奏兎はルーシアと人生最後のデートに行くって言っていたが、ルーシアとの最後のデート、楽しかったかな、あいつ)
朝の5分前のチャイムが鳴り響く。
そろそろ授業が始まってしまうので、俺はトイレを出て教室に向かう。
教室に着く。
教卓のほうを見るといつもとは違って、教室には教科の先生ではなく担任の先生がいる。
俺はなんとなく担任がいる理由に察しがついたが、確定したわけではないため、自分の席に座って静かに、先生の話を聞く準備をする。
30分ちょうどになり先生がいつもよりかなりトーンの落ちた声色でゆっくりと話し出す。
「え~皆さんに悲しいお知らせがあります」
(悲しいお知らせか、察した通りの話になるかもな。)
「え、なになに」
「誰か死んだん」
「死んでたらウケる」
「おいお前ら不謹慎だぞ」
「なんだよ冗談だぞー」
先生の悲しいお知らせという単語に反応した生徒がしゃべったせいでクラス中が騒がしくなった。
(死んでたらウケるって言ったやつ、この後すごい後悔するんだろうな)
そう思っていると先生は、ガヤガヤしたクラスの雰囲気や不謹慎な生徒の発言に対して、不満を感じたのか口を開く。
「静かに」
先生の一言で、自分たちが悲しいお知らせの前にガヤガヤしたり、不謹慎な発言をしたりしたことにたいし、恥ずかしさを感じたらしくクラスが静まりかえっていく。
そのあと少し間をおいて先生は話し出す。
「え~先日、奏兎さんが亡くなりました」
かなりの間が置かれた。
死んでたらウケるって言ったやつは顔が真っ青になり、ガヤガヤしてた生徒は一気に表情が悪くなったり息が詰まったりし、それ以外の生徒は、目を見開いたり、口が開いたり、顔が曇った表情になった生徒も現れる。
(まあそうなるだろうなと思ったわ)
少しも間をおいて先生は、この重い空気の中で急にいつも通りの口調で口を開く。
「皆さんで黙とうしましょう」
全員は目を閉じて呼吸を整え、黙とうを始める。
奏兎が死んだことについて、俺は何も感じないと思っていた。
しかし目を閉じている間に、今までの奏兎との楽しかった思い出、とうの昔に忘れていた奏兎とルーシアとの出会い。
それに一緒にやった学校行事からほかの友達のためにいじめっ子と戦ったあの日のこと、ルーシアが奏兎に告白したあの時のことも頭の中にほとばしる。
なぜか目に小さな水滴がにじみ出てきて少し動揺してしまう。
(もう、あいつとは遊べないんだな)
目を開いて前を向く。
前に座っているルーシアの背中はぴくぴくと動いているのが目に入る。
(そういえば奏兎と俺は、ただの友人だがあいつからしたら彼女だったな)
俺はルーシアのほうがつらい気持ちになっていることに気が付いた。
その後、視線を時計のほうに向けると、時計の長い針が40分になっているのが目に入る。
同時に先生も時計を見、それを見た先生は生徒全員に向かって口を開く。
「それでは臨時の朝のホームルームは終わりです。皆さん1限目の準備をしてください」
そのあとの教室を出ていく先生の背中には、何か寂しさというか悲しさというかわからないけど、そういうたぐいの気持ちが伝わってくる。
人物紹介
名前 :零
読み方:ぜろ
性別 :男
性格 :カッコつけている。頭がいい。
説明 :この物語りの主人公。この世にあるすべての説を信じている。ある程度の物事を計算で把握する ことが出来るが予測なので必ずあってるわけでは無い。たまに変な思考になる。




