97: Is it me?
光へ手を伸ばした先には、俺は辺り一帯が真っ黒に染まった、最初の場所へと戻った。
あの光はどこから来たのだろうか。
今思えば、さっきの出来事は妙だ。あれは明らかに俺ではない別の人の記憶……いや、俺がこう話せるのは、元々の言語能力だけを取得しているだけで、実際は誰かの記憶がどこかに存在しているからだ。
俺は、それを思い強く決心した。
俺の個性は、一つじゃなくていい。みんなの影響があってこその俺がいる。
そう思っただけで、心が軽くなった気がした。
辺り一帯に広がった黒は一気に俺に集まり、周りは最初と同じ、殺風景な白い場所へと変化した。
これは、ゲームの世界。でも体はこんなに自由に動かせるわけがない。
いくら技術が進んでいたとしても、俺が考え、行動したことが一瞬でラグなく作動するわけがない。
体を動かせば、現実でも体が動いているはずだ。
俺は試しに、腕をのばして辺りをぐるっと一周したが、何もぶつかる気配はしなかった。
他にも、移動したら壁にぶつかる可能性を信じたが、全く着く気配がしない。
こんなことが? 流石に俺一人の為だけにそんな大きな場所を用意しているわけがない。
俺は試しに、ジャンプをしてみたが、その瞬間、全てがわかった。
「らっか速度が遅い」
つまり、俺は水中にいるんだ。
体の隅から隅まで触ってみたが障害物はなく、裸だったことから、なにか付いている訳でもない気がする。
しかし、俺は顔にだけ違和感を覚えた。
口、目を触ると固いような気がする。しかしこれが何なのかよく分からない。
もしこれがゲームに入っている理由なら、これを外すこと他ないが、わざわざ封印したのに、封印した物が勝手に出れるわけがない。
なので俺は触らないことにした。
何かほかに無いだろうか。
俺は水中であるということから、ジャンプしてくるまり、ちょうど顔が下を向いた瞬間に、黒い液体を手からも出すイメージでいっきに伸ばすと、案の定何かに当たった気がした。
きた。
その感覚だけで、俺は興奮した。
俺は一旦着地し、再び伸びをすると、「パリン!」と音が聞こえ、どんどん目に映る世界は消えていった。
俺は顔に着いた違和感の部分を剥がすと、そこは殺風景な場所でも、黒い場所でもない。研究室のような場所で多くの人が働き、手を止めて俺を見ている。
ここは、現実だ。
「戻った、戻ったのか」
俺はその事実に疲れと喜びを感じた。
しかし休憩などする暇はなく、すぐに警報がなった。
科学者たちはやけに冷静で、みんな揃って俺へ銃口を向けた。
「えええ」
おれは焦ると同時に怖かった。
いや、死ぬから。人を平気で殺すような人達なのか?
しかしそれは間違えで、よく見ると皆、手が震えているのが分かる。
怖いのは俺だけじゃないんだ。というか、俺のせいで怖がっている。人はお互いを怖がるから、本当の信頼を得ることができないのだろう。そう思った。
俺は銃口を向けられるのは承知の上で、全力で真っ直ぐ駆け抜け、扉を突き破った。
たとえ出たとしても、俺に銃弾を打ち込んだ人は一人もいなかった。
安心した次の瞬間、俺は床から足を引っ張られた。
「は?」
まるで穴に落ちたかのように、下へ何かに強く引っ張られ、最終的には大きな体育館のような場所に着いた。
そこでまず目に入ったのは、柊木慶彦。次に彼の周りにいる、あの人たち……あれは、俺か?
こんにちは。いつも読んで下さり、ありがとうございます。
最近、一日置き投稿をせず、金曜日のみ投稿しておりますが、申し訳ございませんが、100話までお付き合いしてください。第100話でこの話を終わらすからです。
ぜひ、最後まで見届けてください。勝手な行動にお詫び申し上げます。
これからも、よろしくお願いします。




