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・訂正
前回登場した白衣の男と黒い鎧を着た男は同一人物であり、副社長です。ややこしくなってしまい申し訳ございません。
白衣の男=黒い鎧の男=副社長
俺が彼女の体全てを口の中に入れ終わった瞬間、俺の体から煙を発した。
「な、なんだ、これは一体どういうことだ。エアー」
「彼の体の内側からペネレイトが上昇しています。下がってください」
俺は殻を破るかのように、自分の体を破りさいた。
体を背面から破り、体を上げると、下には元々の自分の体があった。
「脱皮した?」
自分でもよく分からないが、明らかに視野が高くなり、さらにものに掴まって立つことが出来るようになった。
俺の周りには、脱皮すると同時に飛び散った黒い液体が撒きちっていた。
「すごい。素晴らしい。見事だぞ! ……ああ、名前何にしようか。エアー?」
「はい。名前は初めての作品なのでA-1というのはどうでしょうか」
それを聞き白衣の男は皺を寄せる。
「俺が歴史に残るための人。暦とかどうだ」
「実際に使われている名前が多数確認されるため、良いと思います」
俺はそれを聞き、笑顔を表した。
沢山の配線、パイプがある中、中心にポツンと椅子が置いてある、奇妙な部屋。
「さっそく、始めようか」
白衣の男は俺を椅子に縛り付け、ヘルメットみたいなのを被らせた。
「まずは試しだ。この世界は残したいから1個前の世界を取ってもらおう」
白衣の男は四角い箱を壁に差し込んで言った。
「スイッチオン。いってらっしゃい」
彼が壁にはまった箱を押すと、俺はすぐ目を閉じた。
開いた先には、多くの今の自分と同じくらいの大きさの人達が、登り棒やジャングルジム、ブランコに乗って遊んでいる。そんな場所に、ポツンと椅子に座った自分がいた。
「何してるの?」
聞いてきたのは、白い帽子を被った男の子だ。
「逆に君は何してるの?」
「なんだろうね。自分いじめられてるんだ」
「なんで? いじめる人たちから離れればいいじゃん」
俺が問うと、彼は「知らない」首と言うようにを傾げた。
「僕は皆の引き立て役なんだよ。僕が居なきゃ、みんなが集まるあの子が面白くなくなっちゃう。だからいじられても、我慢してるんだ」
俺はただ疑問だった。
「そこまでしてあの子に好かれたいの?」
「え?」
「その子に好かれて、その後君は何をしたいの? 好かれた後は?」
「ずっと隣にいて、ずっと一緒に遊んで、ずっと……とにかく、ずっと居たいの!」
俺はそれを聞き、目から水を流した。涙だ。俺はこの時初めて「悲しい」を知ったのだ。
この子は駄目だ。この言うあの子に依存しすぎている。
別のグループに入ればその依存は和らぐが、この子には無理そうに思える。
いや、俺が救ってあげればいいんだ。
俺という新しい依存先を作れば、この子はいじめから開放されるかもしれない。
食べよう。
そう思った瞬間、再び俺の口から黒い液体が伸び、その子を一瞬で覆った。
今回はこれだけでは終わらず、この伸びた子から次の子へ、また次の子へと繋がっていき、辺り一帯は黒い人でいっぱいになった。
この辺り一帯だけでは無い。なんとなく感覚で分かるが、もっと伸びて、もっと続いている。
早くこのいじめられている子を食べなければいけないのに、この黒い液体が邪魔で口が動かせない。
さらに手も顔も足も全て縛られているので、ただその液体が伸び終わるのを待って約2日。
黒い空を2回見終わった頃、伸びていた液体は口の中に戻っていくと同時に、やっとこの子を食べ、救うことが出来きた。
約1日の食事が終わった瞬間、急に眠くなり、目を閉じて開けると、あの白衣の男たちが居た。
「おお、おおお、おおおおお、ありがとう暦。君の体に、全ての人の肉体と魂が入っている。これで初めの1歩は踏み出すことが出来た。ありがとう」
俺はそれを聞き、以前とは違う、すこし弱い笑顔を見せた。




