表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Overwrite -オーバーライト-  作者: もちぷよ
This is the end of start

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/100

90: Smile


俺は、他よりも物心が着くのが早かったらしい。


生まれた時の記憶を、まだ俺は持っている。


あれは今思えば、酷いことをしてしまったと後悔している……気がする。


でもそれは同時に、この世界の始まりだった。



「おお、これが、この子が! 私を歴史に残してくれる子だ!」


黒い鎧のようなものを着た男性が、俺を抱えた。


一体誰だ? ここはどこだ?


辺りを見渡すと、後ろにはピンク色の液体が流れていたり、すぐ下には女性が倒れていた。しかし彼女はどこか満足そうな顔を見せていた。


「どうした? 産まれてそうそう悪いが、君には仕事してもらうよ」


「あなたは誰?」


俺がそう言った瞬間、白衣を着た男だけでなく、近くにいた無表情の女性もこちらを向いた。


「しゃべ……ったのか?」


「そうですが」


「こんな赤子が、産まれて一日も経っていない赤子が、こんな流暢(りゅうちょう)に喋るだと!?」


なんだ? なんでそんなに驚く。感覚で喋っているから困らせてしまったのかもしれない。


すると白衣の男は俺にヘルメットを被せ、パソコンを眺めた。


すると彼は驚いているようにも、感動しているようにも見えた。


「嘘だろ……間違いない。言語能力の部分だけ多くシワができたり消えたりしている。これはまさか、死人の記憶を呼び起こそうとしているのか? しかし中途半端になってるから言語能力だけが妙に高くなっているんだ」


何を言っているのかさっぱり分からない。


「もし記憶を呼び起こしたら……危険だな」


え?


すると白衣の男は椅子から立ち上がり、俺に近づいてきた。


対して俺は下がるが、すぐ追いつかれてしまう。嫌だ。


「ま……て……」


すると先程見た、倒れている女性が声を出した。


「ほう、自分の子供に腹から突き破られたのに、まだ動くか」


白衣の男はそう言うが、彼女は這いつくばっており、今にも死にそうに見える。


「その子は……その子だけは普通に生活させてやってくれ」


「なんだ? さっきまでこの子を産むことを拒否していたのに、今度は母性が働いたか?」


俺はなんとなく、彼女の方に行った。


俺は立とうとするが、体がまだ発達していないからかあまりまともに動けないので諦めて這いつくばって動いた。これじゃ彼女と同じだ。


すると男は俺の体を持ち上げ、彼女のところまで運んでくれた。


「叶夢。お前の子だ。君の子は随分と頭が良くてな、もしかしたら君の記憶を引き継いでしまうかもしれない。要するに、ある意味で君が転生して、この子に生まれ変わるような展開が起きる可能性がある」


男はしゃがんで俺と同じ目線になって言った。


「彼女を食え。そうすればお前は助かるだろう」


「食うって、あんた正気で……」


「死人は黙れ! 君がトリガーとなってこの子に生まれ変わる展開だけは避けたい。物理的に離すのもいいが、いずれこの子が見つける可能性がある。だからもう取り込ませる。それが一番早い。だよな?」


いや、俺に聞かれても……でも、食えば良いのか。


俺が大きく口を開けた瞬間、俺の口から黒い液体が伸びて出てき始めた。


その液体は彼女の頭、胴、腕、足を包み、頭から自分の口に入っていった。


口の中に入った物は全て液体に変わっていくことが分かる。


俺はその液体を躊躇(ちゅうちょ)する事なく飲んだ。


胴、足が終わり、もともと彼女がいた場所には、ただ血しか流れていなかった。


「素晴らしい。良くやった! 君は初めての、生まれながらの最高の能力者だ!」


褒められた。やった褒められた。


男が俺の事を褒めた時、俺は生まれて初めて、笑顔を知った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ